管理栄養士の過去問
第31回
食べ物と健康 問65

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問題

第31回 管理栄養士国家試験 食べ物と健康 問65 (訂正依頼・報告はこちら)

食品の保存に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
  • 乾燥は、食品中の自由水の割合を高める。
  • 塩漬は、食品中の自由水の割合を高める。
  • 酢漬は、水素イオン濃度を低下させる。
  • 冷蔵では、保存性が低下する野菜類がある。
  • CA(ControlledAtmosphere)貯蔵では、庫内の二酸化炭素濃度を低下させる。

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この過去問の解説 (3件)

01

1.乾燥は、食品中の自由水の割合を低くします。
乾燥により水分が除去され、水分活性が低下します。
乾燥は水分活性を下げ、微生物が水分を利用しにくくします。

※水分活性※
食品中の水分状態を表す指標(食品水分中に占める自由水の割合)。自由水の量が少ないと水分活性は低下します。

2.塩漬は、食品中の自由水の割合を低くします。
食塩に自由水を結合させ、水分活性を低下させます。これにより、微生物の増殖を抑制します。

3.酢漬は、水素イオン濃度を上昇させます。
水素イオン濃度が増加することでpHが下がり、微生物の生成を抑制します。

4.正しいです。
熱帯・亜熱帯原産の果実・野菜で低温障害が起こりやすいです。品質が劣化します。
バナナ、レモン、さつまいもなどが該当します。

5.CA貯蔵では、庫内の二酸化濃度を上昇させます。
CA貯蔵とは、保蔵環境ガスの組成と濃度を保存する品目・品種・熟度などに合わせて人為的に調節した貯蔵方法を言います。酸素濃度を低く(2~10%)、二酸化炭素濃度を高く(2~10%)し、呼吸作用を不活性化させます。
この方法により、クライマクテリック型果実(バナナ、りんご、洋梨、もも、メロン、パパイヤ、マンゴー、トマト等)のクライマクテリックライズ(呼吸量の急激な増加)の発現が遅れ、追熟が抑制されます。その結果、長期保存が可能になります。

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02

1.乾燥は、食品中の自由水の割合を低くします。
 水分除去により、浸透圧が上昇して自由水を減少させ、水分活性が低下して、微生物の生育や成分変化の反応も抑制します。

2.塩漬は、食品中の自由水の割合を低くします。
 高い食塩濃度による浸透圧上昇を脱水作用で自由水が減少し、水分活性が低下して微生物の増殖が抑制されます。

3.酢漬は水素イオン濃度を増加させます。
 酢漬は水素イオン濃度を増加させて、pHを低下させます。pHを低下させると酵素たんぱく質の酸変性、及び酵素反応の抑制・停止されます。

4.正しいです。
 熱帯・亜熱帯原産の果実・野菜で低温障害が多く起こり、保存性が低下します。
 低温障害が発生すると、果皮の小陥没や果皮・果肉・種子の褐変・軟化・追熟不良などの症状がみられます。バナナ、レモン、パイナップル、マンゴー、ピーマン、なす、きゅうり、さつまいもなどで発生します。

5.CA貯蔵では、庫内の二酸化炭素濃度を増加させます。
 CA貯蔵では酸素濃度を低く(2~10%)、二酸化炭素濃度を高く(2~10%)にする貯蔵法です。
 この貯蔵は呼吸などの生理作用を抑え、貯蔵中に追熟するクライマクテリック型果実(バナナやりんご)のクライマクテリックライズ(呼吸量の急激な増加)の発現が遅れて追熟が抑制され、長期保存が可能になります。

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03

1)×:乾燥は、食品中の自由水の割合を「下げます」
自由水の割合を下げることで、水分活性が低くなり、微生物の増殖を抑制することができます。(2についても同様です)
2)×:塩漬は、食品中の自由水の割合を「下げます」
3)×:酢漬は、水素イオン濃度の割合を「高めます」
水素イオン濃度が上昇することで、pHが酸性に傾き、微生物の生成を抑制できます。らっきょう漬けなどを想像するとわかりやすいでしょう。
4)◯:熱帯・亜熱帯原産の果物や野菜(バナナ、レモン、さつまいもなど)は低温障害が起こり、保存性が低下します。
5)×:CA貯蔵は庫内の二酸化炭素濃度を「上昇させます」
CA貯蔵とは、酸素濃度を低く、二酸化炭素濃度を高くすることで、果実が呼吸することを抑え、追熟を抑制し、保存期間を長く保つことができる保存方法です。

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