管理栄養士の過去問
第31回
応用力問題 問193

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問題

第31回 管理栄養士国家試験 応用力問題 問193 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み問いに答えよ。

Kリハビリテーション病院に勤務する管理栄養士である。入院患者の栄養管理を行っている。
患者は、75歳、女性。2か月前に脳梗塞を発症し、左⽚⿇痺と嚥下障害に対するリハビリテーションが必要と判断されたために、胃瘻による栄養管理を施行され、本院に転院した。
身長151cm、体重42kg、血圧(服薬あり)144/94mmHg。血清アルブミン値3.7g/dL。

この患者の病棟から、「朝食時も昼食時も投与後に嘔吐した」と連絡があった。このまま嘔吐を繰り返した場合、特に注意すべき事項である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
  • 下痢
  • 胃潰瘍
  • 誤嚥性肺炎
  • 瘻孔周囲の炎症

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この過去問の解説 (3件)

01

 胃瘻で嘔吐をする原因は①栄養剤の注入する量が多い②正しい姿勢(上半身を起こし、右向き)で注入できていない③栄養剤が身体に合っていない④消化管運動機能が低下している、等が挙げられます。

 以上をふまえて解説します。

1.×
 胃瘻で下痢を起こす原因は①栄養剤の注入スピードが速い②栄養剤の細菌感染③栄養剤に含まれる脂肪や乳糖が身体に合っていない④栄養剤が冷たい、等が挙げられます。
 嘔吐を繰り返して起こる症状ではありません。

2.×
 胃瘻で胃潰瘍を起こす原因は、PEGカテーテルの内部ストッパー先端の突起、あるいはストッパー自体が胃粘膜後壁に接触することなどが挙げられます。
 接触によって潰瘍が生じ、ときに出血性ショックを起こすこともあります。
 胃潰瘍は嘔吐を繰り返して起こる症状ではありません。

3.○
 胃瘻の方は、消化管運動機能が落ちている人が多く、胃に停滞しやすいため、食道へ逆流するケースがあります。
 嚥下能力が低下している方も多く、嘔吐した場合は肺に入り、誤嚥性肺炎になるリスクが高いです。(逆流性誤嚥による誤嚥性肺炎)

4.×
 胃瘻で瘻孔周囲の炎症を起こす原因は①PEGカテーテルによる圧迫②瘻孔からの漏出液によってただれる③細菌感染④膠原病やアトピー反応、接触性皮膚炎など免疫学的反応等があります。
 嘔吐を繰り返して起こる症状ではありません。

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02

胃瘻(経腸栄養)のときに嘔吐する原因として、栄養剤の高い浸透圧、急速注入、高い脂肪含量、低い温度、栄養剤内での細菌増殖などが挙げられます。

また、胃瘻の代表的な合併症として誤嚥性肺炎があり、さらにこの患者は、嚥下障害があるため嘔吐物による誤嚥性肺炎になりやすくなっています。

よって、この患者が嘔吐を繰り返したときに注意するべきことは、誤嚥性肺炎が最も適切だと言えます。

その他の下痢、胃潰瘍、瘻孔周囲の炎症は胃瘻によって起こる合併症です。

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03

片麻痺や嚥下障害もあり、嘔吐物が誤って気管の方に入ってしまい誤嚥性肺炎を引き起こす危険性があります。
そのため1~4の選択肢のなかでも最も注意して観察すべきなのは誤嚥性肺炎です。

参考になった数1