管理栄養士の過去問
第31回
応用力問題 問196

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問題

第31回 管理栄養士国家試験 応用力問題 問196 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み問いに答えよ。

K介護老人保健施設に勤務する管理栄養士である。
食事時間には、入所者のミールラウンドを行い、栄養管理のための情報収集を行っている。
入所者は、75歳、男性。BMI18.0kg/m2。常食を自立摂取しているが、食事中にむせがあり、がらがら声になることがある。食事摂取量は減少し、6か月で10%の体重減少を認める。

栄養アセスメントの結果を踏まえ、ミールラウンドにおいて、注意して観察すべき事項である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
  • 食事に要する時間
  • 食事への意欲
  • 食べこぼし
  • 食事中の姿勢

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この過去問の解説 (3件)

01

 この入所者は、食事中にむせがあり、がらがら声になることがあるため、嚥下障害があることを念頭に置き、誤嚥を防ぐために注意して観察すべき事項を選択しましょう。

1.×
 嚥下障害があると、飲み込む力が弱くなってしまい、喉に食べ物が残った感じがして何度も飲み込んで残ったものをきれいにしようとします。
 そのため、食事に時間がかかり、疲れてしまいます。
 食事時間が以前より長くなっていたら嚥下障害の可能性があります。
 食事に要する時間を観察することも重要ですが、栄養アセスメントの段階で嚥下に問題があることは分かっているので、最も注意して観察するべき事項ではありません。

2.×
 高齢者の食欲低下の原因は、①身体的に病気や障害があるため②精神的な落ち込み③認知機能の低下、などがあります。
 嚥下障害は①に含まれ、食事の意欲低下の一因となります。
 食事への意欲を観察することも重要ですが、栄養アセスメントの段階で嚥下に問題があることは分かっているので、最も注意して観察するべき事項ではありません。

3.×
 食べこぼしが起こるタイミングのタイプと原因は以下になります。
①口まで運ぶ間(箸やスプーンが上手く使えない、手の筋力が落ちた)
②口に入れるとき(手や口の運動が上手くいっていない、腕等の稼動域が減っている、口に運動麻痺がある)
③噛み始めてから(唇が閉じていない、頬や舌の筋力が低下している、大領の食べ物を口に入れている)
④飲み込んだ瞬間(飲み込む時に口が開く、飲み込む時に舌が前に出る)
 食べこぼしも嚥下障害の症状です。
 食べこぼしの観察も重要ですが、栄養アセスメントの段階で嚥下に問題があることは分かっているので、最も注意して観察するべき事項ではありません。

4.○
 誤嚥予防には食事中の姿勢が重要です。
 椅子に座っている姿勢が後ろに傾いていないか、足のかかとが床についているか、といった点を観察します。
 車椅子の場合は、フットレストから足を下ろして床に足がついているかを観察します。
 ベッド上で食事をする場合は、この入所者は自立摂取なので、ベッドを椅子のように90度にギャッジアップして背もたれを作ります。
 90度では苦しい場合は、30度のギャッジアップにします。

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02

ミールラウンドとは入所者の食事の様子を観察しに回ることです。
高齢者の誤嚥の理由として、食事中の姿勢が正しくないことが多いとされています。
高齢であること、むせやがらがら声になること、10%の体重減少があるといった状況からも、可能性が高いのは
1:食事の早食いによるむせ や
2:食欲の低下
3:食べこぼし
といったことよりも、4の「食事中の姿勢」の可能性が高いので注意して観察することが必要です。

参考になった数4

03

この入所者には嚥下障害を引き起こしているため、ミールラウンド(食事観察)では誤嚥予防のために食事中の姿勢を注意して観察しなければいけません。

嚥下障害がある場合、食事中の姿勢は座位やセミファーラー位、ファーラー位(仰向けで寝た状態で、上半身を15~30°<セミファーラー位>、45~60°<ファーラー位>に傾けた状態のこと)が良いとされています。

よって、正解は4です。

1.×
嚥下障害があると、飲み込む力が弱くなり飲み込もうとする回数が増えるため、食事時間も長くなります。

2.×
問1と同様で食事時間が長くなることで疲れてしまい、食事への意欲が無くなってきてしまいます。

3.×
嚥下障害と同時に唇を閉じる力も弱くなってしまうため、食べこぼしが増えます。

しかし、1.2.3.の事項も嚥下障害の特徴として重要なことですが、まずは「食事中の姿勢」に気をつけることが重要です。

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