管理栄養士の過去問
第31回
応用力問題 問199

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問題

第31回 管理栄養士国家試験 応用力問題 問199 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み問いに答えよ。

A市役所に勤務する管理栄養士である。大規模災害発生時の危機管理として、住民への食生活支援を担当する立場にある。
2015年9月1日に発生した震度6強の地震により、9月7日現在、A市内では15の避難所に約3,000人の住民が生活している。すでに支援物資が届き始め、各避難所の避難者の特徴を把握し、巡回支援を行うところである。

自治体として行う各避難所への対応である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
  • ⼗分な量の主食を追加提供する。
  • 市の職員が分担して、各避難所で炊き出しを行う。
  • 乳児全員に、粉ミルクを提供する。
  • 食事制限のある患者に対して、個別に食事への配慮を行う。

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この過去問の解説 (3件)

01

災害が起こってすぐに
・備蓄食材を使用して献立を実施する
・炊き出しの手配
など食の確保をまずおこないます。
9/1の災害で一週間たっており、食料の確保はできているため次に避難者の特徴を把握してより適切な食事の支援をする必要があるので
4が適切です。

3:乳児への栄養は、母乳栄養が可能な乳児には母乳を与えるので、全員に提供するのは誤りです。

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02

災害発生時の流れ
《フェーズ0:災害発生後24時間以内》
 ①地域の被災状況の把握
 ②被災者への栄養・食生活支援体制整備(食料・水・病者用食料の確保、炊き出し計画、人材確保)
《フェーズ1:災害発生後72時間以内》
 ①明確な状況把握
 ②被災者への栄養・食生活支援体制整備(炊き出しの実施と配分計画、食料・人材等の支援要請、普通の食事ができない者への対応、栄養指導用のチラシ等の作成・配布、避難所における巡回栄養相談の計画)
《フェーズ2:災害発生後4日から2週間》
 ①明確な状況把握と共有
 ②被災者への栄養・食生活支援体制整備(炊き出しの実施と栄養管理、普通の食事ができない者への対応、避難所における巡回栄養相談の実施、避難所食事状況調査の実施)
 ③仮設住宅移行に伴う自立食生活支援
《フェーズ3:災害発生後3週間から2ヶ月》
 フェーズ2と同様
《フェーズ4:災害発生後2ヶ月以降》
 ①地域の復興状況及び被災者の栄養・食生活状況の把握と情報の共有化(食生活環境の把握、被災者の身体状況や栄養・食生活状況の把握)
 ②訪問栄養指導等の実施
 ③活動の評価・改善

1.×
 被災直後には、生活に必要なエネルギー(カロリー)を確保することを最優先とし、おにぎりやお菓子、パンなどが提供されています。
 こういった食事が続くと健康状態を維持するために必要な栄養素を確保できず、体調を崩す恐れがあるので、支援物資が届き始めたこの時点では不足している栄養素を補える食料の提供が望まれます。

2.×
 地域での炊き出しの計画は、概ね24時間以降に行い、炊き出しの実施は概ね災害発生後72時間以内に行います。

3.×
 救援物資の粉ミルクは、必要性のある乳児のみに提供します。

4.○
 これまでに把握した避難者の情報をもとに食事制限のある方を優先して栄養状態の確認や栄養相談を実施し、その人に合った食事の配慮を行うことが必要です。

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03

この問題では、自治体による「災害発生一週間後」の避難所への対応が問われています。

災害時の支援は時間経過とともに変わっていきます。さまざまな自治体で災害時の栄養管理ガイドラインが作成されているので確認しておいてください。

1.×
災害発生直後は、菓子パンやおにぎりなどといった主食になるものが支援物資として届く傾向があります。すると、たんぱく質やミネラルなど栄養のバランスが崩れがちになります。

そのため、災害発生一週間後は足りない栄養素を補えるような食品を提供することが大切です。

2.×
炊き出しの開始は災害発生72時間以内が望しいとされています。

3.×
乳児全員ではなく、母乳栄養が可能な乳児には母乳で対応してもらいます。

4.〇
災害発生一週間後は栄養の偏りや慢性疲労の蓄積から体調不良者が増加します。
そこで自治体では、慢性疾患の重症化を予防するために事前に把握しておいた食事制限のある患者に対して個別に食事への配慮を行います。

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