管理栄養士の過去問
第32回
食べ物と健康 問52
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問題
第32回 管理栄養士国家試験 食べ物と健康 問52 (訂正依頼・報告はこちら)
油脂の物理化学的性質に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
- けん化価は、構成脂肪酸の不飽和度を示す。
- ヨウ素価は、構成脂肪酸の平均分子量を示す。
- 酸価は、油脂中の遊離脂肪酸量を示す。
- 屈折率は、油脂の酸化により低下する。
- 粘度は、油脂の酸化により低下する。
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この過去問の解説 (3件)
01
食用油脂の多くはグリセロールに脂肪酸が3つつながったトリアシルグリセロールです。揚げ処理過程で、揚げ種より出る水分により加水分解され、遊離脂肪酸ができます。酸価は、「油脂1g中に存在する遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムの㎎数」なので、これにより油脂の酸化状態が分かります。
1.誤りです。
けん化価とは、「1gの油脂をけん化するのに必要な水酸化カリウムの数」です。一定量の油脂の中には、短鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸に比べ、脂肪酸は多く含まれます。脂肪酸の数が多いと、けん化する水酸化カリウムが増えるので、けん価も大きくなります。
2.誤りです。
ヨウ素価は、「油脂100gに付加することのできるヨウ素のg数のこと」です。ヨウ素は、炭素の二重結合と結合しやすいので、ヨウ素量が分かれば、炭素の二重結合の割合を知る事ができます。以上のことから、ヨウ素価は脂肪酸の不飽和度の指標になります。
4.誤りです。
屈折率とは、物質中への光の進み方の指標です。油脂は、酸化すると色が濃くなり、光が進みにくくなるので、屈折率は油脂の酸化により上昇します。
5.誤りです。
油脂が酸化すると、油脂の脂肪酸に酸素が2つ結合します。そのような状態になると、分子が大きくなり粘りがでるので、粘度が上昇します。
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02
けん化価は構成脂肪酸の不飽和度ではなく、分子量を示しています。
(2)×
ヨウ素価は構成脂肪酸の二重結合量を示しています。
(3)〇
(4)×
屈折率は油脂の酸化により増加します。
(5)×
油脂の粘度は酸化により増加します。
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03
解説
(1) けん化価は、油脂1gを加水分解するために必要な水酸化カリウムのmg数のことです。
つまり脂肪酸が長くなり分子量が大きくなると油脂1gあたりのモル数が少なくなりけん化価は少なくなります。
けん化価が大きい=分子量が小さい=短鎖脂肪酸が多い
けん化価が小さい=分子量が大きい=長鎖脂肪酸が多い
となり、構成脂肪酸の不飽和度を表していません。
(2) ヨウ素価は、油脂に含まれる二重結合の量を示し、油脂100gに付加されるヨウ素のg数で表されます。
二重結合が多いと不飽和脂肪酸が多いということになりますので、ヨウ素価は大きくなります。
ヨウ素価が大きい=不飽和脂肪酸が多い(植物性油脂や魚油)=酸化しやすい
ヨウ素価が小さい=不飽和脂肪酸が少ない(動物性油脂)=酸化しにくい
となり、構成脂肪酸の平均分子量を表していません。
(3) 劣化した油脂にはトリアシルグリセロールが分解されたことにより遊離脂肪酸が含まれます。
これを測定し油脂の劣化具合を示しています。
(4) 屈折率は、構成脂肪酸により変化する指標です。
長鎖脂肪酸や不飽和脂肪酸が多い=屈折率が大きい
短鎖脂肪酸や飽和脂肪酸が多い=屈折率が小さい
となります。
油脂は酸化すると重合体や二量体が生成されるため、屈折率も大きくなります。
(5) 油脂が酸化することにより重合物が生成され、増えます。
そのため粘度は高くなります。
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