管理栄養士の過去問
第34回
午前の部 問89

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問題

第34回 管理栄養士国家試験 午前の部 問89 (訂正依頼・報告はこちら)

妊娠期の栄養に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • 胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを低減させるために、妊娠前からビタミンCを付加的に摂取する。
  • 妊娠悪阻は、ウェルニッケ脳症の原因になる。
  • β-カロテンの大量摂取は、胎児奇形をもたらす。
  • 妊娠中の低体重は、産後の乳汁産生不足の原因にならない。
  • 鉄の需要は、妊娠初期に比べ後期に低下する。

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この過去問の解説 (3件)

01

正答は(2)

1.(誤)
胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを低減させるために、妊娠前から葉酸を付加的に摂取します。
神経管閉鎖障害とは、脳や脊髄等の中枢神経系(神経管)が形成される妊娠4~5週頃に起こる先天異常です。
神経管閉鎖障害に葉酸の摂取不足が関与していると考えられています。

2.(正)
妊娠悪阻は、ウェルニッケ脳症の原因になります。
ウェルニッケ脳症とは、ビタミンB1(チアミン)の欠乏によって起こる脳症の事です。
妊娠悪阻の悪化により、ビタミンB1が欠乏し、これによりウェルニッケ脳症が発症する可能性があります。

3.(誤)
ビタミンAの大量摂取は、胎児奇形をもたらす原因となります。
β-カロテンはプロビタミン(生体内でビタミンに変換される物質)Aです。
その為、大量摂取しても必要量のみがビタミンAに変換されます。
この事から、β-カロテンを大量に摂取しても胎児奇形をもたらす原因にはなりにくいと考えられます。

4.(誤)
妊娠中の低体重は、産後の乳汁産生不足の原因となります。
加えて、低体重児出産のリスクを高める原因となります。

5.(誤)
鉄の需要は、妊娠初期に比べ後期に増加します。
母体の血液量増加と胎児への供給量増加により、鉄の需要は増加していきます。

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02

正解は 2 です

1:誤
胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを低減させるために、
妊娠前から葉酸を付加的に摂取します。

2:正
妊娠悪阻によるビタミンB1欠乏はウェルニッケ脳症の原因となります。
その他、悪心や嘔吐、脱水や代謝性アシドーシス、重症になると
脳神経障害を引き起こす可能性があります。

3:誤
妊娠中のビタミンAの大量摂取は、胎児奇形をもたらす可能性があります。
特に妊娠初期のレバーや鰻の過剰摂取には注意が必要です。

4:誤
妊娠中の低体重は、低出生体重児となりやすく、
母乳量の減少にもつながると言われています。

5:誤
鉄の負荷量は妊娠初期と比較すると中期と後期で増加します。
初期は+2.5mg、中期と後期は+9.5mgとなっています。

参考になった数2

03

1.神経管閉鎖障害の発症リスクを低減させるために必要な栄養素は、葉酸です。脳や脊髄などの中枢神経系の元が作られるのは妊娠4~6週ごろと言われているため、妊娠初期の妊婦だけでなく妊娠を希望する女性は食事に加えてサプリメントなどの栄養補助食品からも付加的に葉酸を摂ることが推奨されています。


2.正解です。妊娠悪阻は、治療が必要になるほどつわりが重症化した状態を指します。何度も嘔吐を繰り返し、ほとんど食事ができない状態が一日中続くのが特徴です。その結果体内は飢餓状態になり、血中・尿中ケトン体の増加、低たんぱく血症、ビタミンB1不足が生じます。このビタミンB1不足がウェルニッケ脳症の原因となります。


3.妊娠中、ビタミンAを大量摂取すると胎児奇形が起こる可能性があります。一方で、日本人の食事摂取基準2020年版においてビタミンAは胎児への移行蓄積量を考慮し妊娠後期で付加量が設定されています。緑黄色野菜などに含まれるβ-カロテンは体内で必要な分だけビタミンAに変換されるため、過剰症は起こりにくいとされています。


4.妊娠中の低体重は産後の乳汁産生不足の原因となるほか、低体重児になるリスクが高くなります。


5.妊娠中は、母体の血液量増加、胎盤への血液供給、胎児の育成などにより鉄の必要量が増加します。日本人の食事摂取基準2020年版において、鉄の負荷量は妊娠初期よりも中期・後期の方が増加しています。

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