管理栄養士の過去問
第36回
午前の部 問20

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問題

第36回 管理栄養士国家試験 午前の部 問20 (訂正依頼・報告はこちら)

生体エネルギーと代謝に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • 電子伝達系は、コエンザイムA(CoA)を含む。
  • 電子伝達系では、二酸化炭素が産生される。
  • 脱共役たんぱく質(UCP)は、熱産生を抑制する。
  • ATP合成酵素は、基質レベルのリン酸化を触媒する。
  • クレアチンリン酸は、高エネルギーリン酸化合物である。

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この過去問の解説 (4件)

01

×1.電子伝達系は、コエンザイムA(CoA)を含む。

→誤りです。

電子伝達系は、コエンザイムA(CoA)を含みません

コエンザイムA(CoA)はクエン酸回路、脂肪酸の合成と酸化、アセチル化、コレステロール合成にに含まれます。

コエンザイムA(CoA)を含む回路として代表的なものは解糖系(EM経路)で、ピルビン酸を原料とし、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体の働きによって生成されます。

×2.電子伝達系では、二酸化炭素が産生される。

→誤りです。

電子伝達系では、二酸化炭素は産生されません

電子伝達系では、最後の段階で還元物質であるNADHなどの電子伝達体を電子伝達系で酸化し、酸素に電子を伝えてを生成します。

×3.脱共役たんぱく質(UCP)は、熱産生を抑制する。

→誤りです。

脱共役たんぱく質(UCP)は、熱産生を促進します。

褐色脂肪細胞では,膜内外に形成されたプロトン濃度勾配エネルギーを脱共役たんぱく質(UCP)が積極的に解消することにより非震え熱産生が誘導、つまり促進されます。

× 4.ATP合成酵素は、基質レベルのリン酸化を触媒する。

→誤りです。

ATP合成酵素は、基質レベルのリン酸化ではなく酸化的リン酸化を触媒します。

基質レベルのリン酸化とは、高エネルギー化合物からアデノシン二リン酸(ADP)、またはグアノシン二リン酸(GDP)を転移させてアデノシン三リン酸(ATP)、またはグアノシン三リン酸(GTP)を作る酵素反応を指します。

◯5.クレアチンリン酸は、高エネルギーリン酸化合物である。

→正解です。

クレアチンリン酸はリン酸化されたクレアチンであり、骨格筋にとって重要なエネルギー貯蔵物質です。

分解することでリン酸を放出しADPからATPを再合成します。

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02

正答は【5】です。

1.×

電子伝達系は、ミトコンドリアの内膜(クリステ)に存在し、酸化還元反応を連続的に起こして、電子を伝達する系です。主な経路は、NADH→フラビン→CoQ→シトクロムb→cl→c→aa3→・・・なので、CoAは含みません。

2.×

解糖系、クエン酸回路、さらに電子伝達系の反応系を経て、二酸化炭素と水、そしてATPが産生されます。電子伝達系では、「ATP」が産生されます。

3.×

脱共役たんぱく質とは、ミトコンドリアの内膜の水素イオン透過性を高めて、電子伝達のエネルギーを熱に変えるたんぱく質のことです。脱共役たんぱく質は、熱産生ではなく、「活性酸素の発生やATPの合成を抑制」します。

4.×

ATP合成酵素ではなく、「ピルビン酸キナーゼ」が触媒します。

5.

クレアチンリン酸は、高エネルギーリン酸化合物であり、運動時のエネルギー供給源として活用されます。ATPも、高エネルギーリン酸化合物です。

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03

生体エネルギーと代謝に関する記述は日常的に使うことが少なく勘違いしやすいものです。

質問内容をよく見て解答しましょう。

選択肢1. 電子伝達系は、コエンザイムA(CoA)を含む。

× 電子伝達系は、コエンザイムA(CoA)を含みません

【コエンザイムAとは】

コエンザイムAは、パントテン酸が酸素反応を受けることで生合成される物質です。

クエン酸回路や、β酸化回路の補酵素として使われます。

選択肢2. 電子伝達系では、二酸化炭素が産生される。

× 電子伝達系では、酸素が電子の受容体として働き、水が産生されます。

選択肢3. 脱共役たんぱく質(UCP)は、熱産生を抑制する。

× 脱共役たんぱく質(UCP)は、熱産生を抑制しません。

【脱共役たんぱく質(UCP)とは】

酸化的リン酸化のエネルギーを生成する前に、ミトコンドリア内膜の内外に形成されたプロトン勾配(電子伝達系により生じた水素イオンの濃度差でATP合成の原動力)を解消します。

その結果、ATP合成に使われていたエネルギーは熱として放出されます。(ATPを生成しない)

選択肢4. ATP合成酵素は、基質レベルのリン酸化を触媒する。

× ATP合成酵素は、酸化的リン酸化によりATPを合成する酵素です。

【解糖系 基質レベルのリン酸化とは】

基質レベルのリン酸化とは、高エネルギーリン酸化合物が、ADPをリン酸化しATPやGTPを生成することです。

解糖系では、基質レベルのリン酸化によりグルコース1分子あたり2ATPが生成されます。

選択肢5. クレアチンリン酸は、高エネルギーリン酸化合物である。

〇 クレアチンリン酸は、高エネルギーリン酸化合物です。

【クレアチンリン酸】

・骨格筋のエネルギー貯蔵物質です。

・クレアチニンのアミノ基にリン酸が結合した物質です。

・高エネルギーリン酸化合物です。

まとめ

生体エネルギーと代謝は基礎的なことですが、しっかりと覚えていないと勘違いしやすいものです。復習しておきましょう。

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04

エネルギー産生の仕組み(解糖系ー電子伝達系)について確認しておきましょう。

選択肢1. 電子伝達系は、コエンザイムA(CoA)を含む。

電子伝達系は、コエンザイム Q(CoQ)を含みます。

選択肢2. 電子伝達系では、二酸化炭素が産生される。

電子伝達系では、ATP、水が産生されます。

選択肢3. 脱共役たんぱく質(UCP)は、熱産生を抑制する。

脱共役たんぱく質(UCP)は、脂肪酸のβ酸化により熱産生を促進します。

選択肢4. ATP合成酵素は、基質レベルのリン酸化を触媒する。

ピルビン酸キナーゼ(PK)は、基質レベルのリン酸化を触媒します。

選択肢5. クレアチンリン酸は、高エネルギーリン酸化合物である。

正解です。

まとめ

エネルギー産生の仕組み(解糖系ー電子伝達系)について確認しておきましょう。

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