管理栄養士の過去問 第36回 午前の部 問51
この過去問の解説 (3件)
✕1 .ヒスタミンは、ヒスチジンの重合反応によって生成される。
誤りです。
ヒスタミンは、ヒスチジンの重合反応によって生成されません。
ヒスタミンは、食品中に含まれるヒスチジンにヒスタミン産生菌の酵素が作用し、
ヒスタミンに変換されることにより生成します。
✕2 .飽和脂肪酸は、多価不飽和脂肪酸よりも自動酸化が進行しやすい。
誤りです。
飽和脂肪酸は、多価不飽和脂肪酸よりも自動酸化が進行しにくいです。
不飽和脂肪酸は、脂質の自動酸化を起こしやすい脂肪酸です。
二重結合の間のメチレン基の水素が光や熱などの影響で引き抜かれて
脂質ラジカルが発生し、それが酸素と反応 することで過酸化脂質となります。
✕3 .硫化水素は、でんぷんの変質で発生する。
誤りです。
硫化水素は、食肉の含硫アミノ酸が微生物によって分解されて発生します。
でんぷんの変質でよく知られているのは「糊化」と「老化」です。
〇4 .過酸化物価は、油脂の酸化における初期の指標となる。
正解です。
過酸化物価は、油脂の酸化における初期の指標となります。
油の自動酸化初期において生成するヒドロペルオキシド、
または過酸化物の含有量を測定して、その油の初期段階における
酸化劣化の度合を示します。
✕5 .K値は、生鮮食品中におけるアミノ酸の分解の指標となる。
誤りです。
K値は、生鮮食品中におけるアデノシン三リン酸(ATP)の分解の指標となります。
K値とは、ATP関連化合物(核酸関連物質)全体に占める
HxR(イノシン)とHx(ヒポキサンチン)の割合を示したものです。
正答は【4】です。
1.×
ヒスタミンは、脱炭素反応によりアミノ酸からアミンと二酸化炭素を生成します。
2.×
油脂の酸化は、主に不飽和脂肪酸で起こり、二重結合が多いほど自動酸化は進行しやすいです。多価不飽和脂肪酸は、二重結合が2個以上あるので、飽和脂肪酸よりも自動酸化が進行しやすいです。
3.×
硫化水素は、動物性食品が腐敗すると発生します。
4.〇
過酸化物価とは、油脂の初期酸化を示す指標で、油脂1kg中のヒドロペルオキシド(過酸化物質)をmg当量数で示します。
5.×
K値とは、生鮮食品中におけるATP関連化合物に対する分解物である、HXR(イノシン)・HX(ヒポキサンチン)の割合(%)を示します。
主に魚介類や食肉の、鮮度の判定に使用されます。
鮮度の低下とともに、K値は大きくなります。
食品成分の変質について解説していきます。
ヒスタミンは、ヒスチジンの脱炭酸反応によって生成されます。
不飽和脂肪酸は二重結合があるため、脂肪酸同士の分子間が広く、分子間力が小さいため、二重結合がない飽和脂肪酸と比べ、自動酸化が進行しやすいです。
硫化水素は、システインやメチオニンなどの含硫アミノ酸の変質で発生します。
過酸化物価は、油脂の初期酸化を示す指標です。
K値は生鮮食品中におけるATPの分解の指標となり、鮮度の低下とともに上昇します。
【K値の適用範囲】
・刺身用/20%
・加熱用/40%
・初期腐敗/60%
以上、食品成分の変質についての解説でした。
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