管理栄養士の過去問
第36回
午後の部 問117
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問題
第36回 管理栄養士国家試験 午後の部 問117 (訂正依頼・報告はこちら)
食事・食品が医薬品に及ぼす影響に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
- 高たんぱく質食は、レボドパ(L−ドーパ)の吸収を促進する。
- 高脂肪食は、EPA製剤の吸収を抑制する。
- ヨーグルトは、ビスホスホネート薬の吸収を促進する。
- グレープフルーツジュースは、カルシウム拮抗薬の代謝を抑制する。
- セント・ジョーンズ・ワートは、シクロスポリンの代謝を抑制する。
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この過去問の解説 (4件)
01
1 .高たんぱく質食は、レボドパ(L−ドーパ)の吸収を促進する。
✖⇒吸収を阻害します。レボドパとはパーキンソン病患者に処方されることのあるネオドパストンの主成分です。レボドパは脳内でドーパミンに変化し、脳内で不足した分を補うことでパーキンソン症状を改善します。
2 .高脂肪食は、EPA製剤の吸収を抑制する。
✖⇒特筆して本選択肢のような特徴はありません。ただし、EPA製剤を使用する状況下では高脂肪食はふさわしくありません。つまり吸収抑制の影響はなくとも、正しく服用するためには高脂肪食は避けるべきと言えます。
*EPA製剤とは脂質異常症の治療薬であり、血液中のトリグリセリド値を下げたり、血液が固まりやすくなることを防いだりする作用もあります。
3ヨーグルトは、ビスホスホネート薬の吸収を促進する。
✖⇒カルシウムを多く含む乳製品は、ビスホスホネート薬(骨粗鬆症治療薬)の吸収を阻害し、薬の効果を弱くすることが分かっています。
4 .グレープフルーツジュースは、カルシウム拮抗薬の代謝を抑制する。
〇⇒グレープフルーツジュースに含まれる苦味成分(フラノクマリン)カルシウム拮抗薬の分解を阻害(=代謝を抑制)するため、薬の効果が強くなることが分かっています。
5 .セント・ジョーンズ・ワートは、シクロスポリンの代謝を抑制する
✖⇒セント・ジョーンズ・ワートはビタミンKが豊富に含まれており、ワーファリン(抗血液凝固薬)の効果を減弱する特徴があります。
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02
解答は【4】です。
1.×
高たんぱく質食は、レボドパの吸収を阻害します。
2.×
EPA製剤を使用するときに、高脂肪食はふさわしくありません。
3.×
ビスホスホネート製剤は、カルシウム含有食品(牛乳やヨーグルト)の摂取により、薬剤の作用が弱まってしまいます。
4.〇
カルシウム拮抗薬(血圧降下・血管拡張薬)は、グレープフルーツの摂取により、カルシウム拮抗薬を代謝する酵素が阻害され、血圧降下作用が強まってしまいます。
5.×
シクロスポリン(免疫抑制剤)は、セントジョーンズワート(ハーブの一種)の摂取により、血中の濃度が低下し、薬剤の作用が弱まってしまいます。
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03
食事・食品が医薬品に及ぼす影響に関して見ていきましょう。
高たんぱく質食は、レボドーパ(Lドーパ)の吸収を阻害します。
EPA製剤を使用する状況下において、高脂肪食は適切ではありません。
ヨーグルトは、ビスホスホネート薬の吸収を阻害します。
正解です。
セント・ジョーンズ・ワートは、シクロスポリンの代謝を促進します。
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04
食事や食品が医薬品に及ぼす影響があるので、病院では禁食や、提供するタイミングを変更して食事提供を行います。
では問題をみていきましょう。
✖ 高たんぱく質食は、レボドパ(L⁻ドーパ)の吸収を促進しません。
レボドパは、パーキンソン病の治療薬です。
高たんぱく質食でレボドパの吸収は遅くなります。
✖ 高脂肪食は、EPA製剤の吸収を抑制しません。
EPA製剤は、高脂血症の治療薬です。
血液中の脂質を低下させます。
✖ ヨーグルトは、ビスホスホネート薬の吸収を促進しません。
ビスホスホネート薬は骨吸収抑制剤です。
カルシウムと結合力が高いので、空腹時に水で飲みます。
ヨーグルトはカルシウムの多い食品なので、薬と同時刻に食べないようにします。
〇 グレープフルーツジュースは、カルシウム拮抗薬の代謝を抑制します。
カルシウム拮抗薬は、高血圧の薬です。
グレープフルーツジュースとカルシウム拮抗薬を一緒に摂ると、カルシウム拮抗薬の代謝を抑制し、血液中の薬の濃度が上昇して血圧が下がりすぎてしまう可能性があります。
✖ セント・ジョーンズ・ワートは、シクロスポリンの代謝を抑制しません。
シクロスポリンは、免疫抑制剤です。
セント・ジョーンズ・ワートは、シクロスポリンなどの医薬品の代謝を亢進させるので、薬理効果が減弱します。
食事や食品と医薬品の関係を覚えて、正確な栄養管理ができるようにしていきましょう。
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