管理栄養士の過去問 第36回 午後の部 問121
この過去問の解説 (3件)
解答は【4】です。
脂質異常症とは、血液中の脂質のうち、LDL-C、TG、HDL-Cのうち、いずれか1つ以上が異常値を示す疾患です。
1.×
飽和脂肪酸の摂取は、血清コレステロールやTGの値を上昇させるので、積極的な摂取は推奨とされません。
2.×
トランス脂肪酸も、飽和脂肪酸と同様に、LDL-C値を増加させ、HDL-C値を低下させ、さらに血管内皮機能の障害や、インスリン抵抗性を引き起こします。
3.×
果糖などの過剰摂取は、血清TG値の増加や、VLDL合成作用増強に関係するので、積極的な摂取は推奨されません。
4.〇
水溶性の食物繊維は、胆汁酸の吸収を抑制して、LDL受容体活性を増加させて、LDL値を低下させます。
さらに、腸内での糖・脂質の消化酵素の活性を阻害し、食後の吸収を抑制するため、インスリン抵抗性を改善します。
従って、積極的な食物繊維の摂取が推奨とされます。
5.×
エタノールは、アルコールの一種です。
アルコールの過剰摂取は、肝臓でのVLDL合成を高め、血清TG値の上昇と、HDL値の低下を招くので、積極的な摂取は推奨とされません。
脂質異常症ガイド2018年版(本設問に該当する箇所を抜粋)では、
炭水化物において
・食物繊維はできるだけ多くとる(25g/日以上)
・ショ糖、ブドウ糖、果糖の過剰摂取に注意する
とされています。
脂質においては、
・飽和脂肪酸の多い食品をとりすぎない
・工業由来のトランス脂肪酸の摂取を控える
とされています。
アルコールにおいては、
・25g/日以下に抑える
とされています。
以上より、(4)食物繊維が最もふさわしく、他の選択肢はふさわしくないと言えます。
脂質異常症の治療は、比較的リスクが少ない時期には、食事内容の改善を中心として生活習慣を是正し、それでも効果が得られなかった場合には薬物療法を考慮します。
飽和脂肪酸はLDLコレステロール値の上昇につながるため、積極的な摂取は推奨されません。
同じ脂質であれば、飽和脂肪酸ではなくn-3系多価不飽和脂肪酸の摂取量を増やします。
トランス脂肪酸も飽和脂肪酸と同様に、LDLコレステロール値を増加させるため、積極的な摂取は推奨されません。
果糖の過剰摂取は中性脂肪の増大や肥満をきたすおそれがあるため、積極的な摂取は推奨されません。
水溶性食物繊維には糖質とコレステロールの吸収を抑制する作用があるため、積極的な摂取が推奨されます。
エタノール(アルコール)の過剰摂取は中性脂肪値の上昇を招くため、25g/日以下に抑えます。
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