管理栄養士の過去問
第36回
午後の部 問123

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問題

第36回 管理栄養士国家試験 午後の部 問123 (訂正依頼・報告はこちら)

膵炎の栄養管理に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • 急性膵炎の初期には、血清アミラーゼ値が低下する。
  • 急性膵炎発症後の経口摂取開始時には、高たんぱく質食とする。
  • 慢性膵炎代償期の再燃時には、血清リパーゼ値が低下する。
  • 慢性膵炎非代償期には、疼痛が増強する。
  • 慢性膵炎非代償期には、脂肪摂取量の制限を緩和できる。

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この過去問の解説 (4件)

01

1 .急性膵炎の初期には、血清アミラーゼ値が低下する。

 ✖⇒血清アミラーゼ値は上昇します。

急性膵炎は、何らかの要因により活性化を受けた膵酵素(アミラーゼ等)が膵臓やその周囲組織を自己消化する急性病変です。この時にアミラーゼ等の消化酵素は血中へ流れ出てしまうため、血清アミラーゼ値は上昇します

2 .急性膵炎発症後の経口摂取開始時には、高たんぱく質食とする。

 ✖⇒糖質を中心とした流動食から開始します。良質で消化に良い植物性タンパク質や魚類中心の食事が良いですが、高たんぱく室食にする必要はないと考えられます。脂質は10g/日以下、順調な食事摂取が可能であるならば30g/日までは増量することができますが、基本的には低脂肪食が推奨されます。

3 .慢性膵炎代償期の再燃時には、血清リパーゼ値が低下する。

 ✖⇒代償期では、膵臓の外分泌機能は保たれていますので、血清リパーゼ値は上昇します

4 .慢性膵炎非代償期には、疼痛が増強する。

 ✖⇒非代償期には疼痛は軽減または消失します。非代償期はもはや膵臓は機能しておらず、痛みを引き起こすような消化酵素の外分泌も起こらないからです。

5 .慢性膵炎非代償期には、脂肪摂取量の制限を緩和できる

 〇⇒非代償期では、栄養状態の改善のためエネルギー制限は推奨されていません。適正量は40~60g/日を目安とします。

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02

解答は慢性膵炎非代償期には、脂肪摂取量の制限を緩和できる。です。

選択肢1. 急性膵炎の初期には、血清アミラーゼ値が低下する。

×

急性膵炎では、血清アミラーゼの値は高値となります。

選択肢2. 急性膵炎発症後の経口摂取開始時には、高たんぱく質食とする。

×

経口摂取開始時には、たんぱく質と脂質の摂取は控え、炭水化物中心の食事内容とします。

食事形態は、流動食~粥食へと徐々に開始し、栄養量を漸増させます。

選択肢3. 慢性膵炎代償期の再燃時には、血清リパーゼ値が低下する。

×

慢性膵炎の代償期の再燃時には、血清リパーゼ値は高値となります。

選択肢4. 慢性膵炎非代償期には、疼痛が増強する。

×

慢性膵炎の非代償期には、痛は増強せず、体重の低下が生じないように定期的にモニタリングをすることが重要です。

選択肢5. 慢性膵炎非代償期には、脂肪摂取量の制限を緩和できる。

慢性膵炎の非代償期には、栄養量は主として糖尿病食に順次、脂質の摂取は、必ずしも制限は必要ではありません。

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03

膵炎の栄養管理に関する問題です。

 

【急性膵炎】

急性膵炎は膵臓の消化酵素により膵臓や周囲の組織を消化する疾患です。

膵炎の発症時には血中や尿中にアミラーゼやリパーゼが増加します。

急性期は膵臓を安静にするため、基本的には絶食にします。

 

【急性膵炎発症後】

急性膵炎発症後、病状が安定してくると食事が開始になります。

水分から開始して、次に糖質を中心とした流動食、分粥食に移行します。

脂質は1日10g以下、蛋白質は低脂肪のものを少量から始めます。

再燃があれば絶食に戻します。

 

【慢性膵炎】

慢性膵炎は、膵臓がアルコールの多飲や胆石症によって線維化や石灰化が進み、徐々に内分泌や外分泌機能が低下していく疾患です。

 

【慢性膵炎代償期】

慢性膵炎代償期は、膵臓の内分泌や外分泌が維持されている状態です。

膵臓の外分泌は維持されているので、膵酵素(アミラーゼ、リパーゼ)の上昇があります。

 

【慢性膵炎非代償期】

慢性膵炎非代償期は、膵臓の内分泌や外分泌が機能不全になった状態です。

腹痛は軽減しますが、消化吸収不良をおこします。

膵酵素は合成、分泌不全のため、膵酵素(アミラーゼ、リパーゼ)は低下します。

 

選択肢1. 急性膵炎の初期には、血清アミラーゼ値が低下する。

✖ 急性膵炎の初期には、血清アミラーゼ値は低下しません

 

血清アミラーゼ値は上昇します

選択肢2. 急性膵炎発症後の経口摂取開始時には、高たんぱく質食とする。

✖ 急性膵炎発症後の経口摂取開始には、高たんぱく質食ではありません

 

再発防止のために過食を控えます

選択肢3. 慢性膵炎代償期の再燃時には、血清リパーゼ値が低下する。

✖ 慢性膵炎代償期の再燃時には、血清リパーゼ値が低下しません

 

膵臓の外分泌機能は維持されているので、血清リパーゼ値は上昇します

選択肢4. 慢性膵炎非代償期には、疼痛が増強する。

✖ 慢性膵炎非代償期には、疼痛が増強しません

 

慢性膵炎非代償期には、疼痛が軽減または消失します

選択肢5. 慢性膵炎非代償期には、脂肪摂取量の制限を緩和できる。

〇 慢性膵炎非代償期には、脂肪摂取量の制限を緩和できます

 

慢性膵炎非代償期は栄養状態の管理が重要です。

便中へ脂肪を排出してしまうので、不適切な脂肪制限は行いません

まとめ

膵炎は急性膵炎と慢性膵炎があり、時期によって食事療法が異なります。

しっかり区別して覚えましょう。

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04

膵炎には急性膵炎と慢性膵炎があります。

それぞれ症状や食事療法が異なるためしっかりポイントを抑えましょう。

選択肢1. 急性膵炎の初期には、血清アミラーゼ値が低下する。

急性膵炎の初期には、血清アミラーゼ値が上昇します。

選択肢2. 急性膵炎発症後の経口摂取開始時には、高たんぱく質食とする。

急性膵炎発症後の経口摂取開始時には、炭水化物を主とした食事とします。

選択肢3. 慢性膵炎代償期の再燃時には、血清リパーゼ値が低下する。

慢性膵炎代償期の再燃時には、血清リパーゼ値が上昇します。

選択肢4. 慢性膵炎非代償期には、疼痛が増強する。

慢性膵炎非代償期には、疼痛が軽減します。

選択肢5. 慢性膵炎非代償期には、脂肪摂取量の制限を緩和できる。

正解です。

慢性膵炎非代償期では便中への脂肪損失があることから、不適切な脂肪制限は行いません。

適正量は40~60g/日を目安とします。

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