管理栄養士の過去問
第36回
午後の部 問125
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問題
第36回 管理栄養士国家試験 午後の部 問125 (訂正依頼・報告はこちら)
70歳、男性。くも膜下出血後、意識がなく、経腸栄養剤のみにて3週間経過したところで、血清ナトリウム値150mEq/L、ヘマトクリット値55%、ツルゴール(皮膚の緊張度)の低下を認めた。投与エネルギー量の設定を変更せずに対処した栄養管理に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
- 1.0kcal/mLから2.0kcal/mLの栄養剤に変更した。
- たんぱく質エネルギー比率の低い栄養剤に変更した。
- 脂肪エネルギー比率の高い栄養剤に変更した。
- 投与するナトリウム量を増やした。
- 投与する水分量を増やした。
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この過去問の解説 (4件)
01
1 .1.0kcal/mLから2.0kcal/mLの栄養剤に変更した。
✖⇒本設問の対象者にはエネルギー濃度を上げる必要はないと考えられます。
2 .たんぱく質エネルギー比率の低い栄養剤に変更した。
✖⇒本設問の対象者にはタンパク質エネルギー比率を下げる必要はないと考えられます。
(肝臓や腎臓の疾患がある等の場合はタンパク質エネルギー比率下げる必要が生じると考えられます)
3 .脂肪エネルギー比率の高い栄養剤に変更した。
✖⇒ 本設問の対象者には脂肪エネルギー比率を上げる必要はないと考えられます。
(他の栄養素比率を下げる必要がある場合等は、脂肪エネルギー比率を上げる必要が生じると考えられます。)
4 .投与するナトリウム量を増やした。
✖⇒本設問の対象者には、ナトリウム投与量を増やす必要はないと考えられます。
5 .投与する水分量を増やした。
〇⇒成人男性のヘマトクリット値基準値は40~50%で、本設問の対象者は55%とやや高い値が出ています。ヘマトクリット値が高いことは、赤血球の割合が多い状態であることを示唆します。この場合、血液を作る骨髄に異常がある疾患か、脱水症状による赤血球濃度の上昇などがあります。よって、脱水状態を改善するため、投与する水分量を増やした本選択肢が最もふさわしいと考えられます。
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02
解答は【5】です。
検査値について、みていきましょう。
・血清ナトリウム値 150 mEq/L → 基準値:135-147mEq/lなので、やや高い
・ヘマトクリット値 55% → 基準値:40-48%なので、やや高い
➡ 上記より、「脱水」が疑われます。
・ツルゴールの低下
➡ ツルゴールテストとは、皮膚をつまみ、皮膚の戻る時間を計る触診を
行うことで、脱水の評価をします。皮膚が元の状態に戻るまでに2秒
以上かかる場合は、ツルゴールの低下と判断し、脱水の可能性を疑い
ます。
1.×
高密度に変更はしません。
2.×
たんぱく質は十分に摂取する必要があるので、変更はしません。
3.×
脂肪エネルギー比率も変更しません。
4.×
ナトリウム量は、制限をする必要があります。
5.〇
検査値、およびツルゴールの低下より、脱水が疑われるので、水分量を増やすことが最も適切です。
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03
血清ナトリウム値150mEq/L、ヘマトクリット値55%、ツルゴールの低下は脱水です。
【血清ナトリウム値(正常値は136~143mEq/L)】
体液中のナトリウムを失うと発症する低張脱水性脱水はナトリウムが低下し、体液中の水分を失う高張性脱水はナトリウムが上昇します。
【ヘマトクリット値(男性の正常値は40~50%)】
血中に含まれる赤血球の割合のことで、脱水症状があると相対的に高くなります。
【ツルゴール低下】
脱水のため、皮膚の張りが低下してシワシワになることです。
✖ 「1.0kcal/mLから2.0kcal/mLの栄養剤に変更した」は間違いです。
1.0kcal/mLの栄養剤に入っている水分は100kcalあたり約80g、2.0kcal/mLの栄養剤に入っている水分は100kcalあたり約35gです。脱水は改善されません。
✖ 「たんぱく質エネルギー比率の低い栄養剤に変更した」は間違いです。
たんぱく質エネルギー比率の低い栄養剤は脱水を改善しません。
✖ 「脂肪エネルギー比率の高い栄養剤に変更した」は間違いです。
脂肪エネルギー比率の高い栄養剤は脱水を改善しません。
✖ 「投与するナトリウム量を増やした」は間違いです。
投与するナトリウム量を増やしても脱水は改善されません。
〇 「投与する水分量を増やした」は正解です。
投与する水分量を増やすことで脱水を改善する可能性があります。
ナトリウム値、ヘマトクリット値などの基準値を覚えて、脱水の判断を行いましょう。
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04
患者の血液検査値や症状として、血清ナトリウム値やヘマトクリット値高値、ツルゴール(皮膚の緊張度)の低下がみられることから、高張性脱水が疑われます。
エネルギー濃度を変更する必要はないと考えられます。
たんぱく質エネルギー比率を下げる必要はないと考えられます。
脂質エネルギー比率を下げる必要はないと考えられます。
ナトリウム投与量を増やす必要はないと考えられます。
高張性脱水ではナトリウムの損失以上に水分が失われるため、投与する水分量の増加が必要であると考えられます。
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