管理栄養士の過去問
第36回
午後の部 問128
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問題
第36回 管理栄養士国家試験 午後の部 問128 (訂正依頼・報告はこちら)
30歳、女性、甲状腺機能亢進症。BMI 20kg/m2、標準体重45kg。この患者の栄養管理に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
- エネルギーは、20~25kcal/kg標準体重/日とする。
- たんぱく質は、0.8~1.0g/kg標準体重/日とする。
- カルシウムは、650~1,000mg/日とする。
- ヨウ素は、3,000μg/日以上とする。
- 水分の補給は、700mL/日以下とする。
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この過去問の解説 (4件)
01
解答は【3】です。
1.×
甲状腺機能亢進症の場合、エネルギーは35~40kcal/kg標準体重とし、体重の増減により調整します。
2.×
体たんぱくの異化傾向があるので、1.0g/kg体重以上は確保し、可能であれば、体重1kgあたり1.2~1.5gとします。
3.〇
カルシウムの尿中排泄量が増えるので、1日あたり650~1,000mgを確保します。
4.×
ヨウ素を多量に含む海藻類や、ヨウ素が添加された食品の摂取を控えます。
ヨウ素の摂取量を制限する場合は、ヨウ素制限食(0.3mg/日以下)を徹底します。
5.×
甲状腺機能亢進症は、発汗量が増加するため、脱水予防のために水分摂取量の制限は行いません。
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02
1 .エネルギーは、20~25kcal/kg標準体重/日とする。
✖⇒代謝の亢進により、消費エネルギー量が増加します。そのため20~25kcal/kg標準体重/日は少ないです。高エネルギー食が推奨されていますので、35~40kcal.kg標準体重/日程度がふさわしいとされています。
2 .たんぱく質は、0.8~1.0g/kg標準体重/日とする。
✖⇒異化亢進によりタンパク質必要量は増加するため、本選択肢の量ではやや不足であると考えられます。
3 .カルシウムは、650~1,000mg/日とする。
〇⇒甲状腺機能亢進症では骨吸収と骨形成の両方が促進されていますが、やや骨吸収の方が強く働きやすく、骨塩量が減少傾向にあります。ほかにも様々な要因がありカルシウムが不足しやすい傾向にあるため、本選択肢がふさわしいと考えられます。
4 .ヨウ素は、3,000μg/日以上とする。
✖⇒食事摂取基準では推奨量が130μg/日とされており、ヨウ素摂取量を避けるべき疾患では全くふさわしくない選択肢であると言えます。
5 .水分の補給は、700mL/日以下とする。
✖⇒甲状腺機能亢進症では代謝亢進による発汗で、水分の積極的摂取(2~3L程度/日)が必要です。
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03
甲状腺機能亢進症の栄養管理の基本は十分なエネルギーとたんぱく質、水分摂取と、過剰なヨウ素摂取を控えるのが一般的です。
✖ エネルギーは、20~25kcal/㎏標準体重/日は間違いです。
エネルギーは35~40kcal/㎏標準体重/日として、体重の増減をみながら調節します。
✖ たんぱく質は、0.8~1.0g/㎏標準体重/日ではありません。
たんぱく質は、1~1.5g/㎏標準体重/日とします。
〇 カルシウムは、650~1,000mg/日とします。
尿中にカルシウムは排泄されるので、積極的な摂取が推奨されます。
✖ ヨウ素は、3,000㎍/日ではありません。
ヨウ素の過剰摂取は控えます。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で、ヨウ素3,000㎍/日は耐用上限量です。
✖ 水分の補給は、700mL/日以下ではありません。
700mL/日以下は少ない量です。
水分代謝は亢進しているので、十分な摂取量を必要としています。
甲状腺機能亢進症は20~40歳の女性に多い病気です。
ポイントを抑えて覚えましょう。
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04
~甲状腺機能亢進症の栄養管理のポイント~
★十分なエネルギーおよびたんぱく質の摂取
★十分な水分の摂取
★過剰なヨード摂取を避ける
甲状腺機能亢進症では代謝亢進のため、より多くのエネルギーが必要となります。
そのため、エネルギーは35~40 kcal/kg 標準体重/日となります。
甲状腺機能亢進症ではたんぱく質の代謝も亢進するため、より多くのたんぱく質が必要となります。
そのため、たんぱく質は1.2~1.5g/kg 標準体重/日となります。
正解です。
甲状腺機能亢進症ではカルシウムの尿中排泄量が増えるため、650~1,000mg/日とします。
甲状腺機能亢進症では過剰なヨード摂取は控えます。
ヨウ素の推奨量は130μg/日であり、3000μg/日以上の摂取は過剰であるため不適切です。
甲状腺機能亢進症では代謝亢進による発汗のため、積極的な水分摂取が必要です。
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