管理栄養士の過去問
第36回
午後の部 問130

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

第36回 管理栄養士国家試験 午後の部 問130 (訂正依頼・報告はこちら)

60歳、男性。胃全摘術後10年を経過し、貧血と診断された。ヘモグロビン値10.2g/dL、フェリチン値200ng/mL(基準値15~160ng/mL)、MCV 110fL(基準値79~100fL)、MCHC 31%(基準値26.3~34.3%)。この貧血の原因として考えられる栄養素である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • ビタミンB1
  • ビタミンB12
  • ビタミンC
  • カルシウム

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (4件)

01

正解:(2)ビタミンB12

対象者の赤血球指数をみてみると、MCV(平均赤血球容積)が基準値よりも大きい値であることが分かります。この場合巨赤芽球性貧血が最も疑われる症状です。

そのため、巨赤芽球性貧血の原因となるビタミンB12を選択することが最もふさわしいと言えます。

<胃全摘手術後の貧血について>

・鉄欠乏性貧血

 胃の全摘手術を行うと、胃酸分泌が減少するなどの要因により、半年程度で鉄の不足による鉄欠乏性貧血が起こることが多いです。

・巨赤芽球性貧血

 胃の全摘手術から5年~10年ほど経過すると、胃の壁細胞から内因子分泌が減少することでビタミンB12の吸収が阻害され、巨赤芽球性貧血が起こることが多いです。

なぜ巨赤芽球性貧血は数年後に発症しやすいかというと、ビタミンB12はある程度人体内で貯蔵されており(人体内…5~10mg/1日の必要量…2.5μg)、さらに腸肝循環により再利用もされています。そのため鉄と比べ、徐々に減少していくため数年間は巨赤芽球性貧血を発症するリスクが低いのです。

赤血球指数による貧血の識別をもう一度確認しておきましょう!

参考になった数16

02

解答は【2】です。

MCVが101≦、MCHCが31~35%なので、巨赤芽球性貧血です。

この男性は、胃全摘手術を行っているので、ビタミンB12欠乏による貧血となります。

胃切除を行うと、胃酸の還元作用不足により鉄分の吸収が低下するので、半年~1年後に、鉄欠乏性貧血を引き起こすこともあります。

胃切除後3~6年では、キャッスル内因子が欠乏して、ビタミンB12の吸収も低下するので、巨赤芽球性貧血となることがあります。

参考になった数5

03

MCV 110fL、MCHC 31%より巨赤芽球性貧血が疑われます。

そのため、巨赤芽球性貧血の原因となるビタミンB12を選択することが最もふさわしいと言えます。

 

小球性低色素性貧血正球性正色素性貧血大球性正色素性貧血
MCV≦8081~100101≦
MCHC≦3031~3531~35
鑑別疾患・鉄欠乏性貧血

・溶血性貧血

・腎性貧血

・巨赤芽球性貧血

参考になった数2

04

胃にはビタミンB12の吸収に関わる内因子があり、胃全摘術をしているとビタミンB12欠乏になります。

 

MCV≧101fL、MCHC31~35

胃全摘術のためビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血です

選択肢1. ビタミンB1

✖ ビタミンB1は貧血の原因として考えられる栄養素ではありません

 

ビタミンBが欠乏すると脚気になります。

選択肢2. ビタミンB12

〇 ビタミンB12は貧血の原因として考えられる栄養素です

 

胃全摘術のためビタミンB12の吸収障害となり、巨血芽球性貧血になります

選択肢3. ビタミンC

✖ ビタミンCは貧血の原因として考えられる栄養素ではありません

 

ビタミンCが欠乏すると壊血病になります。

選択肢4. カルシウム

✖ カルシウムは貧血の原因として考えられる栄養素ではありません

 

血液凝固作用のあるカルシウムは、欠乏すると骨粗鬆症になります。

選択肢5. 鉄

✖ は貧血の原因として考えられる栄養素ではありません

 

【鉄欠乏性貧血の場合】

MCV≦80(男性は、110fL)

MCHC≦30(男性は、31%)

血清フェリチンは低下します。

まとめ

胃全摘術を行うと3~6年という長時間をかけてビタミンB12欠乏となり巨血芽球性貧血になります。覚えておきましょう。

 

 

参考になった数0