管理栄養士の過去問 第36回 午後の部 問134
この過去問の解説 (3件)
1 .食道全摘術後反回神経麻痺 ――――― 嚥下調整食
〇⇒術後は嚥下障害が起こりやすいため、嚥下調整食が推奨されます。
2 .胃全摘術後後期ダンピング症候群 ―― 高炭水化物食
✖⇒ダンピング症候群は、食物が急速に腸へ流れ込むことで、栄養素を短時間で吸収することにより急激な血糖値の状況によって症状が現れる早期ダンピング症候群と、インスリンが過剰に分泌され低血糖になることで症状が現れる後期ダンピング症候群の2種があります。特に早期ダンピング症候群の予防には、炭水化物(糖質)の少ない食事が推奨されます。
3 .膵頭十二指腸切除術後 ――――――― 高脂肪食
✖⇒膵頭(膵臓が十二指腸と接する部分)十二指腸切除は、膵頭の周囲にできた腫瘍に対して行う手術です。つまり膵臓に疾患があり、行われた手術ということになりますので、膵炎の発症・進展因子である脂肪を多く摂取することは望ましくありません。基本的には低脂肪食が推奨されます。
4 .小腸広範囲切除術後 ―――――――― カルシウム制限
✖⇒小腸は(切除した部位によって異なりますが、)切除によって栄養素を十分に吸収することが出来にくくなります。例えば回腸末端を切除した場合、ビタミンB12が吸収されにくくなります。他にもタンパク質、糖質、脂肪、ビタミンやミネラルなども吸収量が減少しますが、カルシウムもその栄養素の一つです。よってカルシウムを制限する必要はありません。
5 .大腸全摘術後 ――――――――――― 水分制限
✖⇒大腸を全摘出した後は、水分の吸収不良により水分が大量に排泄されてしまうため、水分を制限してしまうと脱水状態になってしまいます。そのため水分制限をする必要はありません。反対に、積極的な水分の摂取が推奨されます。
解答は【1】です。
1.〇
食道全摘術後反回神経麻痺では、嚥下障害に陥ることがあるので、食物形態を工夫しなければいけません。
摂食量が不足しがちになるので、長期間経管栄養法や静脈栄養による補助的なものが、必要になることも多いです。
2.×
後期ダンピング症候群とは、食後2~3時間後に冷や汗やめまい、悪心、脱力感などが現れることです。
食後急激に糖が吸収されるために、多くのインスリンが分泌され、糖の吸収低下後にもインスリン過剰による低血糖を引き起こします。
発症時に備えて、応急摂取する糖分を所持することや、頻回食や間食をこまめにとり予防します。
3.×
膵頭十二指腸切除術後は、高脂肪食ではなく、低脂肪食が推奨とされています。
4.×
カルシウムを制限する必要はありません。
5.×
大腸全摘手術後は、脱水予防のために、積極的な水分の摂取が推奨とされています。
消化器疾患術後及びその合併症と栄養管理のポイントを抑えておきましょう。
正解です。
術後は嚥下障害が起こりやすいため、嚥下調整食が推奨されます。
<後期ダンピング症候群>
食物が腸内に急激に流入⇒小腸から急激に糖分が吸収⇒血糖値上昇(一過性)⇒インスリンの過剰分泌⇒低血糖発作
上記より、後期ダンピング症候群では少量頻回食が推奨されます。
膵頭十二指腸切除術後は低脂肪食が推奨されます。
小腸広範囲切除術後は小腸の吸収面積が減少するため、栄養素の吸収低下が起こります。
そのため、カルシウムを制限する必要はありません。
脂質については、消化不良により脂肪便をきたすことがあるため制限します。
大腸全摘手術後は脱水予防のために、積極的な水分の摂取が推奨とされています
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