管理栄養士の過去問 第36回 午後の部 問133
この過去問の解説 (3件)
1 .悪液質では、食欲が亢進する。
✖⇒悪液質(カヘキシー)とは、脂肪組織と骨格筋が消耗する病態であり、がんなどで著明な悪液質を引き起こします。この症状からもわかるように、食欲は減退します。
(食欲が更新していれば脂肪組織や骨格筋は増加していくはずです。)
2 .悪液質では、除脂肪体重が増加する。
✖⇒徐脂肪体重=骨格筋量と考えると、(1)で説明したような悪液質の症状には当てはまりません。よって徐脂肪体重は減少すると言えます。
3 .不可逆的悪液質では、35~40kcal/kg標準体重/日のエネルギー投与が必要である。
不可逆的悪液質とは、栄養障害が元に戻らない状態の悪液質ということです。不可逆的ではなければ、25~30kcal/kg標準体重/日を目安としますが、不可逆的悪液質の場合、経口摂取が可能であれば自由な摂取(好きな食事・食品)が推奨されています。また、経口摂取が不可能な場合は、本人や家族の希望を重要視したうえで、5~15/kcal/kg標準体重/日(200~600kcal)が推奨されています。(不可逆的悪液質は生命予後3か月以内であることとされています。)
4 .がんと診断された時から、緩和ケアを開始する。
〇 正解です
5 .緩和ケアでは、心理社会的問題を扱わない。
✖⇒心理社会的問題も扱います。第3期がん対策推進計画では、「がんと診断された時から身体的・精神心理的・社会的苦痛等に対する適切な緩和ケアを、患者の療養の場所を問わず提供できる体制を整備していく必要がある。」とされています。
解答は【4】です。
1.×
悪液質では、炎症性サイトカインによる代謝異常および食欲不振による食事摂取量の減少のほか、多因子的な原因をもつと考えられています。
2.×
悪液質では、脂肪量の減少の有無に関わらず、筋肉量が減少する特徴があります。
成人では、体重減少が生じ、小児では成長障害がみられる場合があります。
3.×
不可逆的悪液質(悪液質が進展した状態)では、栄養投与量に反応しない段階と定義されています。
代謝異常が高度になる終末期に向けて、栄養投与量を減量することが妥当と考えられています。
4.〇
がんと診断されたときから、緩和ケアが推進されています。
そのため、早期がん患者も対象となります。
5.×
緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者と、その家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと対処を行うことにより、苦しみを予防し、和らげることでQOLを改善するアプローチです。
がんは宿主から栄養素を奪い増殖し続けることから、がん患者では栄養障害がみられます。
悪質液では、食欲が減退します。
悪質液では、除脂肪体重が減少します。
不可逆的悪液質では栄養投与に反応しないため、エネルギー投与量を減らします。
そのため、35~40 kcal/kg 標準体重/日のエネルギー投与は過剰と考えられます。
正解です。
早期がん患者も対象となります。
緩和ケアでは、心理的社会的問題を扱います。
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