管理栄養士の過去問
第36回
午後の部 問136

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問題

第36回 管理栄養士国家試験 午後の部 問136 (訂正依頼・報告はこちら)

妊娠20週の妊婦、34歳。身長151cm、体重56kg、非妊娠時体重52kg(BMI 22.8kg/m2)、標準体重50kg、妊娠高血圧症候群と診断された。心不全および腎不全は見られない。この妊婦の栄養管理に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • エネルギー摂取量は、1,700kcal/日とする。
  • たんぱく質摂取量は、40g/日とする。
  • 食塩摂取量は、3g/日とする。
  • 水分摂取量は、500mL/日以下とする。
  • 動物性脂肪は、積極的に摂取する。

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この過去問の解説 (4件)

01

妊娠高血圧症候群では以下のように栄養管理を行います。

・エネルギー 

 30kcal/kg標準体重/日

 ※ただし、非妊娠時のBMIが24以下の場合は上記に加え200kcal/日を付加します。

・タンパク質 

 1.0g/kg標準体重/日

・食塩 

 7~8g/日

 過度な食塩制限はしません

 (妊娠高血圧症候群では循環血液量が減少しているため、病態を悪化させる可能性があるからです。)

・水分 

 食塩と同様の理由で水分量も基本的には制限しません

 ※ただし、尿量が500ml以下もしくは肺水腫がある場合は前日尿量に500mlを加えた量まで制限を設ける場合があります。

・動物性脂肪 

 動物性脂肪と糖質は制限、高ビタミン食を推奨するとされています。

 動物性脂肪を制限する理由の一つとして、飽和脂肪酸の多い動物性脂肪を多く摂取することは動脈硬化に起因する可能性が高まることが挙げられます。そして動脈硬化はますます高血圧を悪化させる要因となります。よって動物性脂肪を制限する必要があると考えられます。

以上の説明より、以下の選択肢はこのように説明ができます。

1 .エネルギー摂取量は、1,700kcal/日とする。

 ⇒30kcal × 50kg/日 + 200kcal/日 =1700kcal/日

2 .たんぱく質摂取量は、40g/日とする。

 ✖⇒1.0g × 50kg/日 =50g

3 .食塩摂取量は、3g/日とする。

 ✖⇒7~8g/日

4 .水分摂取量は、500mL/日以下とする。

 ✖⇒制限しない

5 .動物性脂肪は、積極的に摂取する。

 ✖⇒制限する

★知識のワンポイント★

妊娠期ごとの週数のちがいは覚えられていますか?

妊娠初期…~13週6日

妊娠中期…~14週0日~27週6日

妊娠後期…28週0日~

参考になった数22

02

解答は【1】です。

1.

エネルギー摂取量は、

 非妊娠時BMI24以下:30kcal×標準体重(kg)+200kcal/日

       24以上:30kcal×標準体重(kg)            

とされています。

この妊婦の非妊娠時のBMIは22.8kg/m2なので、

 「30kcal×50kg+200kcal=1,700kcal」となるので、適切です。

2.×

たんぱく質の摂取量は、「標準体重(kg)×1.0g/日」が推奨とされています。

そのため、この妊婦の標準体重は50kgなので、たんぱく質の摂取量は50g/日となります。

3.×

食塩の摂取量は、7~8g/日程度となっています。

妊娠高血圧症候群患者においては、循環血液量が減少していることが多いので、極端活急激な食塩摂取量制限は、さらなる循環血液量の減少や、胎盤血流量の低下を引き起こし、病態悪化の危険性が指摘されています。

4.×

口渇を感じない程度の摂取が望ましいとされています。

1日あたり尿量が500ml以下や、肺水腫の場合は、前日の尿量に500mlを加える程度に制限することがありますが、それ以外は制限をしません。

5.×

動物性脂肪と糖質の摂取量は制限し、高ビタミン食とするのが望ましいとされています。

参考になった数5

03

妊娠高血圧症候群の治療では原則安静とし、食事療法が用いられます。

選択肢1. エネルギー摂取量は、1,700kcal/日とする。

正解です。

 

【エネルギー】

非妊娠時のBMIが

①≧24

30kcal×理想体重(kg)+200kcal/日

②24≦

30kcal×理想体重(kg)/日

 

本設問は①に当てはまるため、

30kcal×50kcal+200kcal/日=1700kcal/日となります。

(理想体重は「身長(m)×身長(m)×22」で求められるため、1.51×1.51×22=50kgとなります。)

選択肢2. たんぱく質摂取量は、40g/日とする。

【たんぱく質】理想体重×1.0g/日

 

本設問に当てはめると、50×1.0=50g/日となります。

選択肢3. 食塩摂取量は、3g/日とする。

食塩摂取量は7~8g/日に制限します。

極端な塩分制限は胎児への血流を減少させるため勧められません。

選択肢4. 水分摂取量は、500mL/日以下とする。

1日尿量500mL以下や肺水腫では水分制限を行いますが、それ以外は制限しません。

口渇を感じない程度の摂取が望ましいです。

選択肢5. 動物性脂肪は、積極的に摂取する。

動物性脂肪は制限します。

参考になった数1

04

妊娠高血圧症候群は、妊娠時に高血圧を認めた場合に診断されます。

高血圧とは、収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上です。

 

選択肢1. エネルギー摂取量は、1,700kcal/日とする。

〇 「エネルギー摂取量は、1,700kcal/日とする」は正解です

 

現在の肥満指数はBMI24.5㎏/m(<25)

標準体重は50㎏

50×30kcal/日=1,500kcal

妊娠による付加量は妊娠20週は妊娠中期なので、+250kcal

エネルギー摂取量は、1,750kcalです。

選択肢2. たんぱく質摂取量は、40g/日とする。

✖ 「たんぱく質摂取は、40g/日とする」は間違いです

 

腎臓機能の低下は見られないため、たんぱく質制限は行いません。

選択肢3. 食塩摂取量は、3g/日とする。

✖ 「食塩摂取は、3g/日とする」は間違いです

 

軽度な減塩を推奨しているので、3g/日は適切ではありません。

選択肢4. 水分摂取量は、500mL/日以下とする。

✖ 「水分摂取は、500mL/日以下とする」は間違いです

 

妊娠高血圧症候群のみでは、水分の制限は行いません。

選択肢5. 動物性脂肪は、積極的に摂取する。

✖ 「動物性脂肪は、積極的に摂取する」は間違いです

 

動物性脂肪を積極的に摂取することは推奨されていません。

まとめ

妊娠高血圧症候群は安静が基本で入院による管理が必要です。

 

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