管理栄養士の過去問
第36回
午後の部 問180

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問題

第36回 管理栄養士国家試験 午後の部 問180 (訂正依頼・報告はこちら)

K透析クリニックに勤務する管理栄養士である。
患者は、47歳、女性。糖尿病腎症により、週3回の血液透析を行うため通院している。
身長150cm、ドライウエイト50kg、標準体重50kg、尿量200mL/日、透析間体重増加量4kg(中2日)。透析前の血液検査値は、HbA1c 7.6%、尿素窒素53mg/dL、クレアチニン8.5mg/dL、ナトリウム139mEq/L、カリウム4.8mEq/L、リン4.8mg/dL。普段の食事内容を聞き取った(表1)。

聞き取った食事内容から、1日当たりの栄養素等摂取量を概算した値である。改善すべき点として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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  • エネルギー 1,500kcal
  • たんぱく質 50g
  • カリウム 2,000mg
  • 水分 2,100mL

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この過去問の解説 (3件)

01

①× 血液透析ではエネルギーは30~35kcal/BWkg/日としています。この方の標準体重は50㎏なので1500kcal~1750kcalです。範囲内なので改善する必要はございません。

②× たんぱく質は0.9~1.2g/BWkg/日です。この方の標準体重は50㎏なので45g~60gです。範囲内なので改善する必要はございません。

③× 血液透析ではカリウムの摂取量は2000㎎以下としています。よって、改善する必要はございません。

④○ 血液透析では具体的な数値は定められていませんが、できるだけ少なく制限するとなっているので改善する必要があります。

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02

血液透析を行っていることに注意し、血液透析での食事療法に沿って回答しましょう。

選択肢1. エネルギー 1,500kcal

血液透析でのエネルギー量は30~35kcal/体重/日です。患者は50kgであり、1,500~1,750kcal/日となるためエネルギー量を改善する必要はありません。

選択肢2. たんぱく質 50g

血液透析でのたんぱく量は0.9~1.2/体重/日です。患者は50kgであり、45~60g/日となるためたんぱく量を改善する必要はありません。

選択肢3. カリウム 2,000mg

血液透析でのカリウム量は2,000mg/日以下です。そのため改善する必要はありません。

選択肢4. 水分 2,100mL

血液透析での水分量はできるだけ少なくとされています。「体に入る水」と「体から出る水」の差が体に溜まる水分量になります。患者は透析が週3回のため、2~3日分の水分が体に溜まることになります。

今回の患者の場合を概算すると、

体に入る水→[飲料水+食物中水分](2100ml)+代謝水(200ml) = 2300ml

体から出る水→汗や呼吸(900ml)+尿(200ml)+糞便(100ml) = 1200ml

となり、かなり多くの水分が貯留することになります。

均衡をとるためには飲料水と食物中水分で1000mlを目指すことが良いでしょう。

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03

血液透析患者の食事療法を理解しておきましょう。

選択肢1. エネルギー 1,500kcal

不適切です。

血液透析患者のエネルギ量は 30~35kcal/kgBW/日 です。

この患者の標準体重は50kgであり、必要エネルギー量は 50kg × 30~35kcal = 1500~1750kcal となります。

そのため改善は必要ありません。

選択肢2. たんぱく質 50g

不適切です。

血液透析患者のたんぱく質量は 0.9~1.2g/kgBW/日 です。

この患者に標準体重は50kgであり、必要たんぱく質量は 50kg × 0.9~1.2g = 45~60g となります。

よって、改善の必要はありません。

選択肢3. カリウム 2,000mg

不適切です。

血液透析患者のカリウム量は 2000mg/日以下 となっています。

そのため改善の必要はありません。

選択肢4. 水分 2,100mL

適切です。

血液透析患者の水分量は できるだけ少なく(15ml/kgDW/日以下) となっています。

この患者の場合、ドライウエイト50kg × 15ml = 750ml 以下とすべきであり、改善すべき項目であるといえます。

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