管理栄養士の過去問
第36回
午後の部 問186

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問題

第36回 管理栄養士国家試験 午後の部 問186 (訂正依頼・報告はこちら)

K介護老人福祉施設に勤務する管理栄養士である。多職種で栄養ケア・マネジメントを実施している。
入所者は、90歳、女性。末期がんと診断されている。自分が食べられなくなったときには、胃瘻を造設しないと入所時から話していた。
以前は、軟菜食を自分で摂取していたが、1か月前から、介護者が食事介助している。食べ物を口に運ぶと、口を開けてゆっくり食べるが、食事の後半は疲労がみられ、傾眠やむせることもある。排便は1週間に1回、尿量は減少しており、口腔内や腋窩の乾燥がみられる。
身長153cm、体重37kg、体重減少2kg/3か月、血圧の低下、呼吸数の低下、下肢の浮腫あり。

本人および家族を交えたカンファレンスにおいて、予後を踏まえて栄養補給の方法について話し合った。本人の希望を尊重し、積極的な延命処置はしないことになった。栄養ケアの目標に関する記述である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
  • 経鼻経管栄養法により栄養補給し、栄養状態を維持する。
  • 嚥下訓練を行い、経口摂取の機能を維持する。
  • 本人が食べたい食事を尊重し、対応する。
  • 食事は提供せず、水分のみを提供する。

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この過去問の解説 (3件)

01

問題文に「積極的な延命措置はしないことになった」とあることから、終末期のケアとして本人の意思を最優先として安らかに過ごしていくためのケアを行っていく方向性になったことがわかります。栄養補給についても同様に、本人が満足のいく形に変更していく必要があります。

選択肢1. 経鼻経管栄養法により栄養補給し、栄養状態を維持する。

栄養補給を変更し栄養状態を維持することは、積極的な延命措置に当たります。今回はそれを行わないという方向性に決まったことから、この選択肢は不正解です。

選択肢2. 嚥下訓練を行い、経口摂取の機能を維持する。

90歳という高齢で末期がんであることに加え、「食事の後半は疲労がみられ、傾眠やむせることもある」という記載から疲れやすくなっている状態が伺えます。嚥下訓練にはかなりの労力を要するため、今回の患者には適切ではありません。そのためこの選択肢は不正解です。

選択肢3. 本人が食べたい食事を尊重し、対応する。

積極的な延命措置を行わず本人の意思を尊重するという点で当てはまるため、この選択肢が正解です。

選択肢4. 食事は提供せず、水分のみを提供する。

多少の食事摂取はできるため、それも制限してしまうと急速に病気が進行してしまいます。食事に楽しみを見出している場合はそれすらも奪ってしまうことになるため、本人の意思を尊重しながら変更していく必要があります。そのためこの選択肢は不正解です。

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02

本人の希望を尊重し、積極的な延命処置はしないとのことなので、本人の食べたい食事を尊重し、対応することがこの選択肢の中だと最良と考えられます。

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03

患者の状態にあった選択をすることが大切です。

90歳、末期がん、胃瘻造設希望なしであり、本人と家族とのカンファレンスにおいて、「積極的な延命処置はしないということになった」とあります。

このことを踏まえて考えていく必要があります。

選択肢1. 経鼻経管栄養法により栄養補給し、栄養状態を維持する。

不適切です。

「積極的な延命処置はしない」とあります。

経鼻経管栄養法により栄養補給をし栄養状態を維持することは延命処置にあたります。

選択肢2. 嚥下訓練を行い、経口摂取の機能を維持する。

不適切です。

「食事の後半は疲労がみられ、傾眠やむせることもある」とあります。

嚥下訓練を行い、経口摂取の機能を維持することは90歳の末期がんの患者には難しく、本人も延命処置は希望していないため、適していません。

選択肢3. 本人が食べたい食事を尊重し、対応する。

適切です。

栄養管理をするより、予後を踏まえて、本人の希望を尊重し、食べたい食事に対応することが望ましいです。

選択肢4. 食事は提供せず、水分のみを提供する。

不適切です。

「食事の後半は疲労がみられ、傾眠やむせることもある」とありますが、予後を踏まえて食事を制限する必要はありません。

本人の希望を尊重することが大切です。

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