管理栄養士の過去問
第37回
午前の部 問6

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問題

第37回 管理栄養士国家試験 午前の部 問6 (訂正依頼・報告はこちら)

対象集団の有病率とスクリーニングの精度に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • 有病率が高くなると、敏感度は低くなる。
  • 有病率が高くなると、特異度は高くなる。
  • 有病率が高くなると、偽陽性率は高くなる。
  • 有病率が低くなると、陽性反応的中度は低くなる。
  • 有病率が低くなると、陰性反応的中度は低くなる。

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題では、スクリーニング検査で使用される言葉の意味と計算の仕方を理解しておく必要があります。

敏感度とは「疾病に罹っている者が検査で陽性となる割合」のことです。

特異度とは「疾病に罹っていない者が検査で正しく陰性と判定できた割合」のことです。

敏感度が高くなれば特異度は低くなり、

敏感度が低くなれば特異度は高くなります。

選択肢1. 有病率が高くなると、敏感度は低くなる。

有病率とは、対象集団中に疾病に罹っている者が存在する割合のことです。

有病率は特異度、敏感度に左右されません。

選択肢2. 有病率が高くなると、特異度は高くなる。

特異度が高くなるのは、敏感度が低くなるときです。

選択肢3. 有病率が高くなると、偽陽性率は高くなる。

有病率が高くなっても、偽陽性率は変わりません

「偽陽性率 = 1 − 特異度」で求められるため、特異度が高くなると、偽陽性率が低くなります。

選択肢4. 有病率が低くなると、陽性反応的中度は低くなる。

正しいです。

陽性反応的中度とは、検査で陽性となった者のうち実際に疾患に罹っている者の割合のことです。

有病率が高くなると、陽性反応的中度は高くなり、有病率が低くなると陽性反応中度は低くなります。

選択肢5. 有病率が低くなると、陰性反応的中度は低くなる。

陰性反応的中度とは、検査で陰性となった者のうち、実際に疾病がなかった者の割合のことです。

有病率が低くなると、陰性反応的中度は高くなります。

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02

スクリーニング検査の精度を判断する問題です。

それぞれの値が「どの集団に関する」「なんの割合か」を区別しておくことが重要です。

敏感度当該疾病があるのうちスクリーニング検査陽性

特異度当該疾病がないのうちスクリーニング検査陰性

偽陽性率当該疾病がないのうちスクリーニング検査陽性

偽陰性率当該疾病があるのうちスクリーニング検査陰性

陽性反応的中度スクリーニング検査陽性のうち当該疾病がある

陰性反応的中度スクリーニング検査陰性のうち当該疾病がない

これらを表などでまとめておくと整理して記憶しやすくなります。

選択肢1. 有病率が高くなると、敏感度は低くなる。

不適です。

敏感度疾病がある人のうちスクリーニング検査で陽性判断がされた人の割合です。

疾病がある人の割合(有病率)の影響は受けません。

選択肢2. 有病率が高くなると、特異度は高くなる。

不適です。

特異度疾病がない人のうちスクリーニング検査で陰性判断がされた人の割合です。

有病率の影響は受けません。

選択肢3. 有病率が高くなると、偽陽性率は高くなる。

不適です。

偽陽性率疾病がない人のうちスクリーニング検査で陽性判断がされた人の割合す。

有病率の影響は受けません。

選択肢4. 有病率が低くなると、陽性反応的中度は低くなる。

正しいです。

陽性反応的中度スクリーニング検査で陽性と判断された人のうち、実際に疾病に罹患している人の割合を表しています。

そのため、有病率が低くなると陽性反応的中度も低下します。

選択肢5. 有病率が低くなると、陰性反応的中度は低くなる。

不適です。

陰性反応的中度スクリーニング検査で陰性と判断された人のうち、実際に疾病がない人の割合を示したものです。

そのため、有病率が低くなると陰性反応的中度は高くなります。

まとめ

有病率は陽性反応的中度・陰性反応的中度には影響を及ぼしますが、その他の数値には影響を及ぼしません。

陽性反応的中度陰性反応的中度スクリーニング結果のうち疾病があるかないかで算出されます。

そのため、疾病の有無はこれらの値を計算する際に分子になります。

(例:陽性反応的中度=疾病がある人/スクリーニング検査陽性の人)

このことから、有病率(疾病の有無の割合)はこの二つの値に影響を及ぼします

反対に、その他4つの値(敏感度特異度偽陽性率偽陰性率)は有病率が分母となります。

(例:敏感度=スクリーニング陽性の人/疾病がある人)

このことから、有病率はこれら4つの値には影響を及ぼしません。

言い換えると、有病率がどうであろうとその有病率の中での比較となるため、影響を及ぼさないと言えます。

今回の問題のように様々な数値との相互関係もしっかりと理解しておきましょう。

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03

有病率とスクリーニング精度に関する問題です。

有病率や敏感度、特異度など、用語の意味や疾患の有無と検査結果など

理解しておく必要があります。

選択肢1. 有病率が高くなると、敏感度は低くなる。

×

有病率とは、ある時点における対象疾患の患者数の割合のことであり、

敏感度(病気の人を検出する能力)の影響は受けません。

選択肢2. 有病率が高くなると、特異度は高くなる。

×

有病率とは、ある時点における対象疾患の患者数の割合のことであり、

特異度(病気に罹患していない人を検出する能力)の影響は受けません。

選択肢3. 有病率が高くなると、偽陽性率は高くなる。

×

偽陽性率とは、ある疾患に罹患していない場合でも検査結果が陽性となることであり、

有病率の影響を受けません。

選択肢4. 有病率が低くなると、陽性反応的中度は低くなる。

陽性反応的中度とは、検査結果で陽性となった人のうち、

真に疾患を有している人の割合をいいます。

有病率が低くなると、陽性反応的中度も低くなります。

選択肢5. 有病率が低くなると、陰性反応的中度は低くなる。

×

陰性反応的中度とは、検査結果で陰性となった人のうち、

真に疾患を有していない人の割合をいいます。

有病率が低くなると、陰性反応的中度は高くなります。

まとめ

有病率、敏感度と特異度、陽性反応的中率と陰性反応的中率などの用語と、

疾患と検査結果(陽性、陰性、偽陽性、偽陰性)など

表にして理解し、計算もできるようにしましょう。

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