管理栄養士の過去問 第37回 午前の部 問39
この過去問の解説 (3件)
この問題では、それぞれの貧血の特徴を検査値と共に覚えておく必要があります。
鉄欠乏貧血は小球性低色素貧血であり、MCVが80以下、MCHCが31以下となります。
MCVは、正球性正色素貧血では81~100、大球性正色素貧血では101以上となります。
ビタミンB12欠乏性貧血は大球性正色素貧血です。
MCVの数値より、選択肢から除外されます。
こちらが正解です。
再生不良性貧血とは、赤血球(RBC)、白血球(WBC)、血小板(PLT)の減少による貧血です。
それぞれの基準値は、
RBC:男性410~530万/μL、女性380~480万/μL
WBC:3800~9500万/μL
PLT:14~40万/μL
となります。
溶血性貧血では総ビリルビン値が上昇します。
通常、肝臓で間接ビリルビンが直接ビリルビンへ変換されるのですが、ヘモグロビン代謝産物のビリルビンが多くなり、変換は追いつかず、間接ビリルビンが増えてしまうからです。
総ビリルビンの基準値は0.3~1.2mg/dL です。
今回の値は正常値であるため選択肢から除外されます。
ひとつひとつ選択肢を絞って正解を導きましょう。
検査値から患者の病態を正確に把握しましょう。
まず、問題文中から血液検査において、網状赤血球が低値、MCV・MCH・MCHCは通常値であることが分かります。
このことから血液系に疾患があることが予想されますが、赤血球容積や色素は標準的であることがわかります。
これらの情報から、どの疾患に当てはまるのかを検討しましょう。
不適です。
鉄欠乏性貧血は小球性低色素性貧血です。
そのためMCV、MCH、MCHCは低下すると考えられますが、本問題ではこれらの値が正常です。
不適です。
ビタミンB12欠乏による貧血は巨赤芽球性貧血です。
この貧血は大球性正色素性の貧血でMCVの数値が高くなりますが、この問題の患者はMCV値が正常です。
正しいです。
再生不良性貧血は骨髄の造血幹細胞の減少が原因による貧血で、WBC、RBC、血小板、網状赤血球が減少する疾患です。
問題文から網状赤血球が低値であることが分かります。
また、女性の血液検査基準値は
WBC3000~7800/µL(男性は3600~9000/µL)、
RBC353~466万/µL、
血小板13.8~30.9万/µL
です。
本問題の女性はWBC、RBC、血小板いずれも低値であることが分かります。
以上より、この女性は再生不良性貧血であると考えられます。
不適です。
溶血性貧血は赤血球の破壊によって生じる貧血で、網状赤血球や血清ビリルビン値が増加します。
問題文から網状赤血球は低下していることが分かり、血清総ビリルビン検査基準値は0.2~1.2㎎/dLで基準値内であることが分かります。
これらのことから溶血性貧血ではないと言えます。
このような問題では初めに検査値を確認し、異常値のもの(高値、低値)と基準値におさまっているものをピックアップしましょう。
そこから問題文の患者の疾患を絞り込み、選択肢に上がっている疾患と丁寧に比較して解答を絞りましょう。
今回の問題文の網状赤血球のように、問題文中に基準値を記載してもらえる場合もありますが、WBCなどのように基準値がか記載されない場合もあります。
そのため、検査値で比較頻度が高いWBCやRBC、血小板値などはすぐに検討できるように基準値を覚えておきましょう。
貧血の種類と検査値、病態の原因や症状など確認しましょう。
×
鉄欠乏性貧血では、MCV、MCH、MCHCの低下がみられますが、正常値です。
鉄欠乏性貧血の多くは小球性低色素性貧血であり、
血清鉄低値、フェリチン値低値を示します。
×
ビタミンB12欠乏性貧血による巨赤芽球性貧血は、大球性高色素性貧血で
MCV、MCHは高値となりますが、正常値です。
〇
再生不良性貧血は、WBC、RBC、血小板がすべて減少する疾患です。
WBC 1,060/μL(基準値3000~7800/μL)
RBC 186万/μL(基準値353~466万/μL)
血小板8万/μL(基準値13.8~30.9万/μL)
すべて基準値以下であり、再生不良性貧血であることがわかります。
×
溶血性貧血では、総ビリルビン値が上昇します。
総ビリルビン基準値は0.2~1.2mg/dLで、基準値範囲内です。
溶血性貧血では、赤血球が多く破壊され、血液中に肝臓で処理できないほどの
ビリルビンが過剰に増加します。
貧血に関しては、種類が多いですが原因と検査値は異なっているので、
それぞれの特徴を確認しておきましょう。
病態の特徴と検査値との関係を押さえておくと、文章題や比較問題でも
間違いなく解くことができるでしょう。
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