管理栄養士の過去問
第37回
午後の部 問7

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問題

第37回 管理栄養士国家試験 午後の部 問7 (訂正依頼・報告はこちら)

減量を目的とした支援内容である。ナッジの考え方を活用した支援として、最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • 減量することのメリットを考えてもらう。
  • 減量に成功したときのご褒美を考えてもらう。
  • 食べたものを記録してもらう。
  • ご飯茶碗を小さくすることを勧める。
  • 栄養成分表示を見て、食品を選ぶように勧める。

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この過去問の解説 (3件)

01

ナッジとは、人を望ましい行動へと促す仕組みや手法のことです。

英語(nudge)では、「ひじで軽くつつく」「そっと押して動かす」という意味もあり、人の行動変容をそっと促す手法とされています。

人々を「強制することのない」仕組み、というところもポイントです。

選択肢1. 減量することのメリットを考えてもらう。

ヘルスビリーフモデルを活用した支援となります。

ヘルスビリーフモデルとは、代表的な健康行動理論の一つです。

人が健康によい行動を行う可能性を高める要因として、以下の2つを挙げています。

①脅威の認識

このままだと、自分が病気や合併症になる可能性が高いと危機感を感じること

自分が病気や合併症になると、健康面・経済面・社会面などで重大だと感じること

②メリットとデメリットのバランス

健康によい行動を行うことのメリットとデメリット考えた時に、メリットの方が自分にとって大きいと感じること

選択肢2. 減量に成功したときのご褒美を考えてもらう。

オペラント強化を活用した支援となります。

オペラント強化とは、行動直後の刺激を変化させることで、その行動をコントロールする方法です。

例えば、運動をする、という行動の直後に、「ほめる」という刺激を加えると、その行動(運動をする)が増える、という例が挙げられます。

選択肢3. 食べたものを記録してもらう。

セルフモニタリングを活用した支援となります。

セルフモニタリングでは、問題となっている行動を観察・記録・評価することで、自分の行動を客観的に把握し、その行動をコントロールする方法です。

選択肢4. ご飯茶碗を小さくすることを勧める。

ナッジの考え方をを活用した支援です。

これは、ナッジの考え方である「デフォルトオプション」を活用しています。

「デフォルトオプション」とは、人間のあらかじめ設定された「初期設定」に従いたいという心理を活用したもので、定食にあらかじめサラダをつけておくと野菜摂取量が増える、などの例が挙げられます。

選択肢5. 栄養成分表示を見て、食品を選ぶように勧める。

人々を「強制することのない」仕組みであるナッジに当てはまりません。

まとめ

イメージのつきにくいナッジですが、以下のように身近な事例もあります。

・エスカレーターではなく階段を使いたくなるように、階段にイラストや「〇段目まで登ると〇カロリー消費」などの言葉を表記する

・放置自転車の被害がある場所に、「ここは自転車捨て場です。ご自由にお持ちください」と張り紙をしたところ、放置自転車がなくなった

いくつか事例を知っておくと判断しやすくなるので、ぜひ日常でナッジを活用したものがないか、探してみてください。

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02

ナッジとは、無意識下に働きかけ、相手が自発的に望ましい行動をとれるよう後押しすることです。

強制したり、経済的なインセンティブを大きく変えたりしないことが重要です。

選択肢1. 減量することのメリットを考えてもらう。

減量することのメリットを考えてもらうことは、意思決定バランスに当てはまります。

意思決定バランスとは、行動を起こそうというときのメリット・デメリットのことです。

選択肢2. 減量に成功したときのご褒美を考えてもらう。

減量に成功したときのご褒美を考えてもらうことは、オペラント強化に当てはまります。

オペラント強化とは、行動した後の報酬などの刺激によって、その望ましい行動が増えることです。

選択肢3. 食べたものを記録してもらう。

食べたものを記録してもらうことは、セルフモニタリングにあてはまります。

セルフモニタリングとは、自身の行動を観察、記録することです。

それを評価することにより、望ましい行動へとつなげることができます。

選択肢4. ご飯茶碗を小さくすることを勧める。

ナッジの考え方を活用した支援として適切です。

ご飯茶碗を小さくすることで、無意識に食事量が減り、減量につながります。

選択肢5. 栄養成分表示を見て、食品を選ぶように勧める。

栄養成分表示を見て、食品を選ぶように勧めることは、無意識ではないため、ナッジの考え方を活用した支援とはいえません。

参考になった数3

03

「ナッジ」とは、望ましい行動が起こりやすいように後押しする仕組みやアプローチのことです。

選択肢1. 減量することのメリットを考えてもらう。

ヘルスビリーフモデルの有益性の認識にあたります。

選択肢2. 減量に成功したときのご褒美を考えてもらう。

オペラント強化にあたります。

選択肢3. 食べたものを記録してもらう。

セルフモニタリングの技法です。

選択肢4. ご飯茶碗を小さくすることを勧める。

適当です。

ご飯茶碗のサイズという「環境」を変えることで、ご飯の量を減らすという行動変容が促されます。

選択肢5. 栄養成分表示を見て、食品を選ぶように勧める。

環境や仕組みを変えるナッジを活用したアプローチではありません。

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