管理栄養士の過去問
第37回
午後の部 問9

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

第37回 管理栄養士国家試験 午後の部 問9 (訂正依頼・報告はこちら)

小学生の野菜嫌いを改善するための取組を行うことになり、プリシード・プロシードモデルに基づくアセスメントを行った。準備要因のアセスメント項目として、最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • 野菜に興味を示す児童の割合
  • 野菜に触れる授業の回数
  • 便秘気味の児童の割合
  • 家庭で野菜料理を意識して食べさせている保護者の割合
  • 農業体験ができる地域の農園の数

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

プリシード・プロシードモデルとは、ヘルスプロモーションの計画・評価・実施に関するモデルです。

診断と計画に関わる第1段階から第4段階を「プリシード」、

実施と評価に関わる第5段階から第8段階を「プロシード」といいます。

この問題の準備要因は第3段階、教育・エコロジカルアセスメントに含まれるものです。

行動・環境目的を達成させるための動機づけに関する準備要因(知識・信念・認識・態度など)

継続を支援する強化要因(周囲からの支援など)

行動変容や環境改善を可能にする実現要因(実現するための技術や資源など)があります。

選択肢1. 野菜に興味を示す児童の割合

野菜に興味を示す児童の割合は準備要因の態度にあてはまります。

選択肢2. 野菜に触れる授業の回数

野菜に触れる授業の回数は、環境改善を可能にする実現要因に当てはまります。

選択肢3. 便秘気味の児童の割合

便秘気味の児童の割合は、QOL・健康状態です。

第1段階で対象集団が自分自身のニーズやQOLをどう考えているのか把握し、第2段階で健康問題を具体的に特定します。

選択肢4. 家庭で野菜料理を意識して食べさせている保護者の割合

家庭で野菜料理を意識して食べさせている保護者の割合は、小学生の野菜嫌いを改善することを継続する強化要因にあてはまります。

選択肢5. 農業体験ができる地域の農園の数

農業体験ができる地域の農園の数は、行動変容や環境改善を可能にする実現要因にあてはまります。

参考になった数11

02

プリシード・プロシードモデルについての問題です。

プリシード・プロシードモデルとは、ヘルスプロモーション活動展開のためのモデルの1つです。

診断と計画に関わる「プリシード」(第1~4段階)

実施と評価に関わる「プロシード」(第5~8段階)から構成されています。

この設問では、このうちの第3段階「教育/エコロジカルアセスメント」の3つの要因についての問われています。

・準備要因

・強化要因

・実現要因

それぞれの内容をおさえておきましょう。

選択肢1. 野菜に興味を示す児童の割合

準備要因です。

準備要因とは、対象の知識、態度、信念、認識、価値などのことです。

選択肢2. 野菜に触れる授業の回数

野菜に触れる授業の回数は、実現要因にあたります。

選択肢3. 便秘気味の児童の割合

健康のアセスメントにあたります。

選択肢4. 家庭で野菜料理を意識して食べさせている保護者の割合

家族のサポートなどは強化要因にあたります。

選択肢5. 農業体験ができる地域の農園の数

行動を実現させるために必要な受け皿や、身近な設備などは、実現要因に該当します。

参考になった数7

03

プリシード・プロシードモデルとは、健康増進プログラムの実践モデルです。

対象者のQOLの向上を最終目標とし、計画立案から実施、評価までを8段階にまとめた、体系的なモデルとなります。

今回の問いとなっている「準備要因」とは、8段階あるプリシード・プロシードモデルの第3段階「教育/エコロジカルアセスメント」に含まれる3つの要因のひとつです。

以下に、3つの要因について記載します。

準備要因

ある行動をするために、必要な知識や態度のこと

(例:知識、態度、信念、自信、価値観、自己効力感(セルフエフィカシー)など)

強化要因

対象者がある行動を起こし、その起こした行動の継続を助ける社会的支援のこと

(例:生活面のサポート(手段的支援)、友人や家族など周囲の反応(情緒的支援)、行動後の達成感、報酬など)

実現要因

ある行動を実現させるための技術や資源のこと

(例:技術、設備、場所、保健・福祉・医療サービスや施設の近接性などの社会資源)

選択肢1. 野菜に興味を示す児童の割合

正しいです。

「野菜に興味を示す」のは、「野菜嫌いを改善する」という行動に必要な態度です。

そのため、準備要因のアセスメント項目となります。

選択肢2. 野菜に触れる授業の回数

実現要因に当たります。

「野菜に触れる授業」は、「野菜嫌いを改善する」という行動につながる社会資源となります。

選択肢3. 便秘気味の児童の割合

プリシード・プロシードモデルにおける第2段階「疫学アセスメント」に当たると考えられます。

第2段階「疫学アセスメント」では、第1段階でアセスメントした QOL に影響を及ぼしている健康問題や、その指標について設定します。

選択肢4. 家庭で野菜料理を意識して食べさせている保護者の割合

強化要因に当たります。

「家庭で野菜を意識して食べさせている」ことは、野菜嫌いの改善後、その行動を「継続させる手助け(強化要因)」となります。

「家庭で野菜料理を意識して食べさせている保護者の割合」を調べることで、野菜嫌い改善の継続性をアセスメントすることができます。

選択肢5. 農業体験ができる地域の農園の数

実現要因に当たります。

「農業体験ができる地域の農園の数」は、「野菜嫌いを改善する」という行動につながる社会資源となります。

まとめ

プリシード・プロシードモデルに関する問いでは、今回のように選択肢が「準備要因」「強化要因」「実現要因」のどれに当たるのか考えるものが多く出題されます。

迷ったときには、まず「行動を起こす本人について(準備要因)」なのか、「周りの社会的支援(強化要因)」なのか、「技術や社会資源(実現要因)」なのか、そのほかの段階なのか、という基準をもとに判断していきましょう。

参考になった数6