管理栄養士の過去問
第37回
午後の部 問19

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問題

第37回 管理栄養士国家試験 午後の部 問19 (訂正依頼・報告はこちら)

BMI 17.5kg/m2の患者。むせるので食事はつらいとのことで、嚥下障害による経口摂取量の不足と評価した。嚥下調整食について本人と家族に指導し、むせの状態や食事摂取量、体重の経過を観察することとした。この症例におけるSOAPとその内容の組合せである。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • S ――――――――― BMI 17.5kg/m2
  • O ――――――――― 嚥下障害による経口摂取量の不足と評価した。
  • A ――――――――― むせるので食事はつらい。
  • P(治療計画) ――― むせの状態や食事摂取量、体重の経過を観察する。
  • P(教育計画) ――― 嚥下調整食について本人と家族に指導する。

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この過去問の解説 (3件)

01

SOAPは問題志向型診療録(POMR)のひとつであり、多くの医療機関で利用されているカルテ記載方法です。

それぞれの問題に応じて実施した栄養療法・教育内容をS.O.A.Pの4項目に分けて記載します。

S(subjective data)は主観的データで、患者自身、家族が直接訴えた内容を記載します。

食事に対する意識、食嗜好の変化、疾病に対する考え方などです。

O(objective data)は客観的データです。

摂取栄養素量、身体測定値、血液検査値、治療内容、病状、服薬状況などを記載します。

A(assessment)は実施された使用療法・教育の評価、考察を記載します。

SとOで得られた情報を元に臨床的評価、栄養ケアの評価を行います。

P(plan)は患者の抱えている問題点を明らかにしたうえで、具体的な解決方法について計画します。

Pには以下の3種類があります。

・モニタリング計画(Mx:Monitoring plan)

・治療計画(Rx:receipt plan)

・教育計画(Ex:educational plan)

それぞれの項目内容を理解しておきましょう。

選択肢1. S ――――――――― BMI 17.5kg/m2

BMIは、客観的データ O にあたります。

選択肢2. O ――――――――― 嚥下障害による経口摂取量の不足と評価した。

嚥下障害による経口摂取量の不足と評価することは、評価、考察であり、A にあたります。

選択肢3. A ――――――――― むせるので食事はつらい。

むせるので食事がつらいということは患者が訴えた内容であるため、主観的データ S にあたります。

選択肢4. P(治療計画) ――― むせの状態や食事摂取量、体重の経過を観察する。

むせの状態や食事摂取量、体重の経過を観察することは、P(モニタリング計画)にあたります。

P(治療計画)では、エネルギー量、栄養素量などの設定、食品構成、調理形態の選択などの栄養療法のための計画を記載します。

選択肢5. P(教育計画) ――― 嚥下調整食について本人と家族に指導する。

正しい組合せです。

P(教育計画)では、患者や家族に対する栄養教育の計画を記載します。

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02

SOAPは実際の医療現場でもよく使われている記載方法です。

Subject(主観的情報)

Object(客観的情報)

Assessment(評価)

Plan(計画)

さらにPlanには「治療計画」「モニタリング計画」「教育計画」があります。

それぞれの内容を押さえておきましょう。

選択肢1. S ――――――――― BMI 17.5kg/m2

S(主観的情報)は、主に患者本人の主訴を指します。

この問題では「むせるので食事はつらい」という部分がSに当てはまります。

体重やBMIなどの情報は、O(客観的情報)にあたります。

選択肢2. O ――――――――― 嚥下障害による経口摂取量の不足と評価した。

O(客観的情報)は、診察や検査から得られる情報を指します。

この問題では「BMI 17.5kg/㎡」の部分が当てはまります。

「嚥下障害による経口摂取量の不足と評価」はA(評価)にあたります。

選択肢3. A ――――――――― むせるので食事はつらい。

A(評価)は記載者によるアセスメント内容です。

「嚥下障害による経口摂取量の不足と評価」といった部分が当てはまります。

「むせるので食事はつらい」は患者の主訴であり、S(主観的情報)にあたります。

選択肢4. P(治療計画) ――― むせの状態や食事摂取量、体重の経過を観察する。

治療計画は、食事療法などの計画を指します。

この問題文にはありませんが、「1600kcal/日の食事療法」などの計画が一例です。

むせの状態や食事摂取量、体重の経過を観察するのは、モニタリング計画にあたります。

選択肢5. P(教育計画) ――― 嚥下調整食について本人と家族に指導する。

正しい組合せです。

教育計画は、問題点を解決するための、患者や家族への栄養指導などの計画を指します。

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03

行った栄養管理や栄養指導については、記録を残しておく必要があり、記録の書き方には「SOAP(叙述的記録)」という方法があります。(叙述的:物事について順序通りに述べること)

SOAPでは以下の内容で記録を作成します。

S(Subjective date:主観的データ)

 患者の訴える主観的な症状や病歴

 例:最近疲れやすい、運動不足を感じている、体重が増えた気がする

O(Objective date:客観的データ)

 客観的な診療や検査の結果

 例:身長〇cm、体重〇kg、血圧〇/〇mmHg、推定食事摂取量〇kcal

A(Assessment:アセスメント)

 SとOから考えられる問題点を、医療従事者がどのように考え、判断したか

 例:BMIが高値であり、エネルギーの過剰摂取と運動不足が原因と考えられる肥満である

P(Plan:計画)

 Aを踏まえて立てられた計画

 計画には、モニタリグ計画(Mx)、栄養治療計画(Rx)、栄養教育計画(Ex)の3種類があります。

 例:食事摂取量を〇kcalにし、運動習慣を身につける

選択肢1. S ――――――――― BMI 17.5kg/m2

「BMI 17.5kg/m2」は客観的なデータになるため、「O」が正しい組み合わせとなります。

選択肢2. O ――――――――― 嚥下障害による経口摂取量の不足と評価した。

「嚥下障害による経口摂取量の不足」は、S(むせるので食事はつらい)O(BMI 17.5kg/m2から考えられる問題点を判断した記録です。

そのため、「A」が正しい組み合わせとなります。

選択肢3. A ――――――――― むせるので食事はつらい。

「むせるので食事はつらい」は主観的なデータになるため、「S」が正しい組み合わせになります。

選択肢4. P(治療計画) ――― むせの状態や食事摂取量、体重の経過を観察する。

「むせの状態や食事摂取量、体重の経過を観察する」のは、「モニタリグ計画(Mx)」に当たります。

そのため、「P(モニタリグ計画)」が正しい組み合わせです。

選択肢5. P(教育計画) ――― 嚥下調整食について本人と家族に指導する。

正しい組合せです。

「嚥下調整食について本人と家族に指導する」のは、「栄養教育計画(Ex)」に当たります。

そのため、「P(栄養教育計画)」が正しい組み合わせです。

まとめ

SOAPのそれぞれの項目に「何」を記録していくのか、実際の事例報告などを読みながら確認していくと理解しやすくなります。

教科書の例などを参考に、確認しておきましょう。

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