管理栄養士の過去問
第37回
午後の部 問30

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問題

第37回 管理栄養士国家試験 午後の部 問30 (訂正依頼・報告はこちら)

血液透析患者の1日当たりの目標栄養量である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • エネルギーは、25kcal/kg標準体重とする。
  • たんぱく質は、1.5g/kg標準体重とする。
  • カリウムは、3,000mgとする。
  • リンは、たんぱく質量(g)×15mgとする。
  • 飲水量は、2,000mLとする。

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この過去問の解説 (3件)

01

血液透析は、ダイアライザー(透析器)の中の透析膜を介して、患者の血液と透析液との間で、血液中の尿毒物質や水分の除去、体内に不足する物質の補給を行う治療法です。

日本腎臓学会による食事療法基準に準じます。

選択肢1. エネルギーは、25kcal/kg標準体重とする。

エネルギーは、30~35kcal/kg標準体重とします。

性別、年齢、合併症、身体活動度により異なります。

選択肢2. たんぱく質は、1.5g/kg標準体重とする。

たんぱく質は0.9〜1.2g/kg標準体重とします。

適正量を摂取することで、異化亢進による体たんぱく質の崩壊を抑制し、たんぱく質代謝産物の体内貯留を予防します。

選択肢3. カリウムは、3,000mgとする。

カリウムは、2,000mg以下とします。

血液透析ではカリウム制限が必要ですが、

腹膜透析では、高カリウム血症でない場合はカリウム制限はありません。

選択肢4. リンは、たんぱく質量(g)×15mgとする。

正しいです。

リンは、たんぱく質1g中に約12~14mg含まれます。

食品添加物にはリン酸化合物としてリンが使用されているため、注意が必要です。

選択肢5. 飲水量は、2,000mLとする。

飲水量はできるだけ少なくします。

透析で除去する水分量が増えると、体に負担がかかります。

また、ナトリウム過剰摂取による血液浸透圧値の上昇は口渇の原因となり、過剰な飲水を招くことから、食塩と水分の管理は重要です。

食塩は6g未満とします。

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02

血液透析患者の食事療法は、日本腎臓学会による「慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版」を参考に行います。

血液透析患者はこの基準の「ステージ5D」に該当します。

【ステージ5Dの食事療法基準】

  エネルギー : 30~35(kcal/kg標準体重)

  たんぱく質 : 0.9~1.2(g/kg標準体重)

    食塩  : <6(g)

   カリウム : ≦2,000(mg)

    リン  : ≦たんぱく質(g)×15(mg)

   飲水量  : できるだけ少なく

上記を参考に選択肢を見ていきましょう。

選択肢1. エネルギーは、25kcal/kg標準体重とする。

エネルギーは、30~35kcal/kg標準体重とします。

選択肢2. たんぱく質は、1.5g/kg標準体重とする。

たんぱく質は、0.9~1.2g/kg標準体重とします。

選択肢3. カリウムは、3,000mgとする。

カリウムは、≦2,000mgとします。

選択肢4. リンは、たんぱく質量(g)×15mgとする。

正しいです。

リンは、≦たんぱく質(g)×15mgとします。

選択肢5. 飲水量は、2,000mLとする。

飲水量、できるだけ少なくします。

まとめ

透析には、「血液透析(HD)」「腹膜透析(PD)」があります。

血液透析:週に2~3回、1回につき3~5時間

腹膜透析:1日に4回交換、24時間連続で行う

腹膜透析も「ステージ5D」に該当しますが、血液透析と異なる部分があります。

以下、太字で示した部分に注意しましょう。

エネルギー : 30~35(kcal/kg標準体重

タンパク質 : 0.9~1.2(g/kg標準体重

  食塩  : PD 除水量(L)×7.5+尿量(L)×5(g)

カリウム : 制限なし

  リン  : ≦たんぱく質(g)×15(mg)

 飲水量  : PD 除水量+尿量

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03

血液透析中の患者の栄養管理に関する問題です。

選択肢1. エネルギーは、25kcal/kg標準体重とする。

エネルギーは、30~35kcal/kg標準体重が目標となります。

選択肢2. たんぱく質は、1.5g/kg標準体重とする。

たんぱく質は0.9〜1.2g/kg標準体重が目標です。

選択肢3. カリウムは、3,000mgとする。

カリウムの目標量は≦2000mgです。

選択肢4. リンは、たんぱく質量(g)×15mgとする。

正しいです。

たんぱく質1gあたりに、リンは15mg含まれており、リン摂取量はたんぱく摂取量と相関します。

リン制限=たんぱく質制限といえます。

選択肢5. 飲水量は、2,000mLとする。

飲水量はできるだけ少なくすることが望ましいとされています。

水分をとりすぎると、透析で十分に除水ができず、むくみや心臓の負担につながります。

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