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管理栄養士の過去問 第37回 午後の部 問37

問題

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胃切除患者における術前・術後の病態と栄養管理に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
   1 .
経口補水は、術前2~3時間まで可能である。
   2 .
術後の早期経腸栄養法の開始は、腸管バリア機能を障害する。
   3 .
早期ダンピング症候群では、低血糖症状が認められる。
   4 .
胃全摘術後は、カルシウムの吸収量が増加する。
   5 .
胃全摘術後は、再生不良性貧血が認められる。
( 第37回 管理栄養士国家試験 午後の部 問37 )
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この過去問の解説 (3件)

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胃切除は胃がんや胃潰瘍の根治療法として行われます。

胃切除に伴い発生する生理・生化学的な影響による合併症と栄養管理について理解しておきましょう。

選択肢1. 経口補水は、術前2~3時間まで可能である。

正しいです。

術前経口補水療法という点滴に代わる水・電解質を補給する方法があります。

術前2~3時間まで経口補水は可能です。

選択肢2. 術後の早期経腸栄養法の開始は、腸管バリア機能を障害する。

術後の早期経腸栄養法の開始は、腸管バリア機能の障害を予防します

術後の早期は輸血管理ですが、1~2日後より水分摂取を開始し、吐き気などなければ流動食を開始します。

合併症予防のために、早期に腸管を使用することが大切です。

選択肢3. 早期ダンピング症候群では、低血糖症状が認められる。

後期ダンピング症候群では、低血糖症状が認められます。

早期ダンピング症候群は、食後20~30分後に起こり、冷や汗、動悸、脱力感や、腹痛・下痢などの腹部症状が生じます。

高浸透圧の食物が急速に空腸に移行するため腸粘膜が刺激されて起こります。

後期ダンピング症候群は、食後の2~3時間後に起こり、空腸への急激な糖質の移動によりインスリンが過剰に分泌し、低血糖が生じます。

脱力感、めまい、冷や汗などが生じます。

選択肢4. 胃全摘術後は、カルシウムの吸収量が増加する。

胃全摘術後は、カルシウムの吸収量が減少します。

術後は食事摂取量の減少やカルシウム吸収に必要なビタミンD生成量が脂肪の吸収不良にともない減少すること、胃切除による減酸に伴う消化物のアルカリ化などのため、カルシウム吸収阻害が起こり、骨吸収が促進されます。

骨塩量が減少し、骨粗鬆症、骨軟化症の原因となります。

選択肢5. 胃全摘術後は、再生不良性貧血が認められる。

胃全摘術後は、鉄欠乏性貧血巨赤芽救性貧血が認められます。

鉄欠乏貧血は、胃切除により鉄の吸収が阻害するために生じます。

巨赤芽救性貧血はビタミンB12や葉酸の吸収阻害により起こるものです。

ビタミンB12の吸収は胃酸、ペプシン、キャッスル内因子が必要で、胃全摘後はこれらが欠如するために生じます。

術後5~6年後に起こります。

再生不良性貧血は、骨髄での血球産生が低下して起こる貧血です。

付箋メモを残すことが出来ます。
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胃切除によって起こる栄養障害や術前・術後の注意点について確認していきましょう。

選択肢1. 経口補水は、術前2~3時間まで可能である。

正しいです。

手術前の体液管理において、「術前経口補水療法」という方法があります。

経口補水液を摂取することで、点滴と同じように水・電解質を補給することができます。

この方法では、術前2~3時間まで経口補水が可能です。

選択肢2. 術後の早期経腸栄養法の開始は、腸管バリア機能を障害する。

術後の早期経腸栄養法の開始は、腸管バリア機能の障害を予防します。

早期経腸栄養とは、多くの場合、侵襲後(手術後やICU入室)おおむね24時間以内、遅くとも48時間以内に開始される経腸栄養のことをさします。

早期経腸栄養は、絶食による腸管バリア機能の低下やバクテリアルトランスロケーションの予防に有効です。

(バクテリアルトランスロケーション:絶食により腸を使用しない状態が続くと、腸管粘膜が萎縮や脱落し、腸内細菌や毒素が血中・リンパ組織中に侵入しやすくなり、感染症にかかりやすくなってしまう状態。敗血症の原因にもなる。)

選択肢3. 早期ダンピング症候群では、低血糖症状が認められる。

低血糖症状が認められるのは、「後期ダンピング症候群」です。

早期ダンピング症候群(食後30分)

 時間:食後30分

 症状:冷や汗、動悸、めまい、腹痛、下痢など

 理由:胃の切除により、腸へ食物が急速に流入するため

後期ダンピング症候群

 時間:食後2~3時間

 症状:動悸、脱力感、頭痛、指先のふるえ

 理由:腸での急速な糖質吸収によってインスリンが過剰分泌され、低血糖が起きるため

選択肢4. 胃全摘術後は、カルシウムの吸収量が増加する。

カルシウムは胃酸によって溶かされ、小腸で吸収されます。

よって、胃全摘術後は胃酸の分泌が減少するため、カルシウムの吸収量は減少します。

また、胃切除後に生じやすい脂肪吸収障害によって、カルシウムの吸収を助ける脂溶性ビタミンDが吸収されにくくなることも、要因の一つと考えられます。

選択肢5. 胃全摘術後は、再生不良性貧血が認められる。

胃全摘術後は、鉄欠乏性貧血巨赤芽球性貧血が認められます。

鉄欠乏性貧血

胃切除によって胃酸やペプシンの分泌が減少し、鉄分の吸収障害が起こるため。

巨赤芽球性貧血

胃切除によって胃酸やビタミンB12の吸収に必要な内因子が失われ、ビタミンB12の吸収障害が起こるため。

また、肝臓に貯蔵されたビタミンB12も術後5年ほどで枯渇してしまうため。

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胃切除前後の病態と、栄養管理に関する問題です。

選択肢1. 経口補水は、術前2~3時間まで可能である。

正しいです。

絶飲食と点滴に代わる方法として、術前経口補水療法があります。

経口補水液であれば、2~3時間前まで摂取が可能です。

術前の空腹感や口渇によるストレスを軽減できるほか、点滴などの器具や技術が不要なため安全かつ簡便といったメリットがあります。

選択肢2. 術後の早期経腸栄養法の開始は、腸管バリア機能を障害する。

絶食が長期にわたると、腸管バリア機能が低下します。

術後の早期経腸栄養法の開始は、その予防に効果的です。

選択肢3. 早期ダンピング症候群では、低血糖症状が認められる。

早期ダンピング症候群では、食後30分以内に腹痛や嘔吐、頭痛、頻脈、動悸などが認められます。

浸透圧の高い食物が小腸に急激に流入することによって起こります。

低血糖症状が認められるのは、後期ダンピング症候群です。

急激な血糖値の上昇によりインスリンが過剰分泌され、食後2~3時間後に低血糖症状(めまい、冷や汗、動悸など)をきたします。

選択肢4. 胃全摘術後は、カルシウムの吸収量が増加する。

胃全摘後は胃酸の分泌がなくなる影響により、カルシウムの吸収率が低下します。

選択肢5. 胃全摘術後は、再生不良性貧血が認められる。

胃全摘術後に起こる貧血には2種類あります。

1つ目は、鉄欠乏性貧血です。

胃酸の分泌が損なわれることにより、鉄の吸収率が低下します。

2つ目は、巨赤芽球性貧血です。

胃粘膜から分泌される、ビタミンB12を吸収するための内因子が失われるためです。

肝臓に貯蔵されているビタミンB12が欠乏する術後5年程度で起こります。

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