管理栄養士の過去問
第37回
午後の部 問36

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問題

第37回 管理栄養士国家試験 午後の部 問36 (訂正依頼・報告はこちら)

進行大腸がん患者に対し、4週間の放射線療法を開始したところ、イレウスをきたした。治療を継続するため長期の栄養管理が必要である。この患者に対して、現時点で選択すべき栄養投与方法として、最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • 経口栄養
  • 経鼻胃管による経腸栄養
  • 胃瘻造設による経腸栄養
  • 末梢静脈栄養
  • 中心静脈栄養

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この過去問の解説 (3件)

01

栄養投与方法を決める際には、以下のことを順番に確認していきましょう。

・消化管は機能しているかどうか

  している ⇒ 経腸栄養

  していない ⇒ 静脈栄養

・栄養管理は短期か長期のどちらになるのか

  経腸栄養の場合:短期 ⇒ 経鼻胃、経鼻十二指腸、経鼻空腸

          長期 ⇒ 胃ろう、空腸ろう造設

  静脈栄養の場合:短期 ⇒ 末梢静脈栄養

          長期 ⇒ 中心静脈栄養

今回はイレウス(腸閉塞)のために腸の消化管が機能していないこと、長期の栄養管理が必要ということがポイントです。

選択肢1. 経口栄養

腸の消化管が機能していないため、経口栄養は適当ではありません

選択肢2. 経鼻胃管による経腸栄養

腸の消化管が機能していないため、経腸栄養は適当ではありません

選択肢3. 胃瘻造設による経腸栄養

腸の消化管が機能していないため、経腸栄養は適当ではありません

選択肢4. 末梢静脈栄養

腸の消化管が機能していないため、栄養投与方法は静脈栄養の選択になります。

今回は放射線療法を継続するため、長期の栄養管理が必要です。

末梢静脈栄養は、2週間以内をめどにした、短期間の栄養管理に適した静脈栄養になるため、今回は適当ではありません

選択肢5. 中心静脈栄養

適当です。

腸の消化管が機能していないこと、長期の栄養管理が必要となることから、中心静脈栄養が適当となります。

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02

イレウス(腸閉塞)は単純に腸内腔がつまってしまう機械的な腸閉塞と、

腸の蠕動運動が阻害されて起こる機能的な腸閉塞に大きく分けられます。

腹痛、悪心、嘔吐、排ガス、排便の停止などがみられます。

術後の癒着、悪性新生物、異物混入や食事残渣などが原因となります。

それぞれの栄養投与法を理解し、病態に応じて適正なものを選択できるようにしておくことが大切です。

選択肢1. 経口栄養

不適当です。

イレウスの場合、腸が閉塞しているため、腸を使用して消化する経口摂取、経腸栄養を行うことはできません。

経口栄養は摂取、嚥下、消化機能が正常の場合に可能です。

選択肢2. 経鼻胃管による経腸栄養

不適当です。

経鼻胃管は鼻腔から胃にチューブを留置し行います。

経腸栄養は口からの食事摂取が不十分な場合の栄養補給方法ですが、消化管機能が正常な場合に行います。

短期間(4週間以下)の栄養投与の場合に用いられます。

選択肢3. 胃瘻造設による経腸栄養

不適当です。

胃瘻は、腹壁から胃に瘻孔を造設し、チューブを胃に留置する栄養投与法です。

長期間(4週間以上)の栄養投与が必要な場合に用いられます。

選択肢4. 末梢静脈栄養

不適当です。

静脈栄養は栄養素を直接血液循環に送り込む方法です

消化管を使用しないため、イレウスでも適用される栄養投与法ですが、末梢静脈栄養は2週間未満の短期間の栄養管理に用いられます。

投与できるエネルギー量の最大が1200kcalと少ないためです。

選択肢5. 中心静脈栄養

適当です。

中心静脈栄養では、内頚静脈または鎖骨下静脈などから心臓に近い大静脈(中心静脈)までカテーテルを挿入し、栄養素を投与します。

1日のエネルギー量を確保でき、2週間以上の長期間の栄養投与が可能です。

この患者は長期の栄養管理が必要であるため、適当であると考えられます。

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03

栄養投与経路に関する問題です。

JSPENのフローチャートが参考になります。

選択肢1. 経口栄養

イレウスをきたしているため消化管機能は正常ではなく、経口摂取は不適合です。

選択肢2. 経鼻胃管による経腸栄養

消化管機能に異常がある場合、経腸栄養は選択しません。

イレウスの他、難治性の嘔吐や下痢、消化管虚血がある場合も消化管を用いた栄養投与はできません。

選択肢3. 胃瘻造設による経腸栄養

消化管機能に異常がある場合、経腸栄養は選択しません。

選択肢4. 末梢静脈栄養

消化管が使えない場合、残されたルートは静脈栄養になります。

ただし、末梢静脈栄養から投与できる栄養量には限りがあるため、長期の栄養投与向きではありません。

選択肢5. 中心静脈栄養

適当です。

消化管が使えない場合、静脈栄養が用いられます。

静脈栄養の期間が長期にわたる場合、十分なエネルギー量やたんぱく質量が投与できる中心静脈栄養が選択されます。

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