管理栄養士の過去問
第37回
午後の部 問38

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問題

第37回 管理栄養士国家試験 午後の部 問38 (訂正依頼・報告はこちら)

消化管機能が保たれている重症外傷患者である。受傷後2日目から経腸栄養法を開始した。誤っているのはどれか。1つ選べ。
  • 投与ルートは、経鼻胃管とする。
  • 経腸栄養剤は、半消化態栄養剤とする。
  • 投与目標量は、25~30kcal/kg標準体重/日とする。
  • 開始時の投与速度は、200mL/時とする。
  • 血糖値の目標は、180mg/dL以下とする。

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この過去問の解説 (3件)

01

経腸栄養法の具体的な活用についての問いです。

今回は、以下3つがポイントとなります。

 ・消化管機能が保たれている。

 ・重症外傷患者である。

 ・受傷後2日目から経腸栄養法を開始した。

選択肢1. 投与ルートは、経鼻胃管とする。

正しいです。

経腸栄養の投与ルートは、

短期であれば「経鼻胃管ルート」もしくは「経鼻十二指腸・空腸ルート」を、

長期であれば「胃ろう」もしくは「空腸ろう」のどちらかを選択します。

今回は重症外傷患者であるため、短期の「経鼻胃管ルート」もしくは「経鼻十二指腸・空腸ルート」を利用します。

そして、外傷患者であることから、胃・腸ともに消化管として利用できる「経鼻胃管ルート」を選択します。

選択肢2. 経腸栄養剤は、半消化態栄養剤とする。

正しいです。

経腸栄養剤には、「天然濃厚流動食」「半消化態栄養剤」「消化態栄養剤」「成分栄養剤」の4種類があります。

この中で消化管機能が正常な患者に適応となるのが「半消化態栄養剤」です。

「天然濃厚流動食」は咀嚼や嚥下の障害によって長期の経腸栄養が必要な患者に、

「消化態栄養剤」「成分栄養剤」は消化管機能が正常ではない患者に、それぞれ適しています。

選択肢3. 投与目標量は、25~30kcal/kg標準体重/日とする。

正しいです。

「日本版重症患者の栄養療法ガイドライン」より、投与目標量では以下の簡易式を用いることができます。

 必要エネルギー量 = 体重(kg)× 25~30kcal

選択肢4. 開始時の投与速度は、200mL/時とする。

誤りです。

通常の胃ろうの場合、投与速度は200~300mL/時以下で開始し、徐々に速度を上げていきます。

しかし、今回は重症外傷患者のため、投与はより慎重に、低速で行う必要があります。

そのため、200mL/時は適当ではありません。

選択肢5. 血糖値の目標は、180mg/dL以下とする。

正しいです。

重症外傷患者であるため、術後のように侵襲ストレスによって血糖が高値になります。

また、経腸栄養剤や食事の変更、食欲の低下などによって低血糖にもなりやすくなっているため、厳しい血糖コントロールを行うと低血糖のリスクを上げてしまいます。

以上のことから、血糖値の目標は通常よりも高値な180mg/dL以下とします。

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02

経腸栄養開始時についての問題です。

消化管機能が保たれている」「重症外傷患者」というポイントに注意します。

選択肢1. 投与ルートは、経鼻胃管とする。

正しいです。

消化管の機能が保たれているため、経腸栄養を選択することができます。

経腸栄養が短期間の場合は経鼻ルートを、長期間になることが予測される場合は胃瘻や腸瘻を選択します。

外傷患者の回復後は経口摂取への移行が予測されるため、経鼻胃管が適切と考えられます。

選択肢2. 経腸栄養剤は、半消化態栄養剤とする。

正しいです。

消化管機能が保たれているため、成分栄養剤や消化態栄養剤ではなく、半消化態栄養剤を選択することができます。

選択肢3. 投与目標量は、25~30kcal/kg標準体重/日とする。

正しいです。

ストレス係数の大きい重症外傷では、ハリスベネディクトの式では過剰な栄養量となるため、25~30kcal/kg標準体重/日などの推算式が推奨されています。

選択肢4. 開始時の投与速度は、200mL/時とする。

誤りです。

重症患者では、誤嚥予防のため持続投与が推奨されています。

10~20 mL/時から開始し、徐々に投与速度を速めていきます。

選択肢5. 血糖値の目標は、180mg/dL以下とする。

正しいです。

侵襲により、グルカゴンやコルチゾールなどのストレスホルモンが分泌され、インスリン抵抗性が増大することによって高血糖となります。

そのため、通常時よりも高い180mg/dL以下が目標値とされています。

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03

経腸栄養法は、経口摂取は不能であるが腸管の使用が可能な患者に対して、病態や栄養状態に応じた必要摂取量を確保することを目的としています。

病態に応じた投与方法を理解しておきましょう。

選択肢1. 投与ルートは、経鼻胃管とする。

正しいです。

経鼻胃管では、チューブを胃管から消化管へ挿入します。

経腸栄養管理が4週間以内と予想されるときに用いられます。

誤嚥の危険性がない場合はチューブの先端を胃内に留置する経鼻胃管、

誤嚥の危険性がある場合はチューブの先端を十二指腸や空腸に留置する経鼻腸管とします。

選択肢2. 経腸栄養剤は、半消化態栄養剤とする。

正しいです。

半消化態栄養剤は、たんぱく質、脂質、糖質が一部消化されている状態となっています。

消化管機能が保たれているため、適しています。

選択肢3. 投与目標量は、25~30kcal/kg標準体重/日とする。

正しいです。

過剰なエネルギーの投与は高血糖、脂肪肝、高炭酸ガス血症の原因となります。

外傷後1週間のエネルギー量の設定は 25~30kcal/kg標準体重/日 とし、徐々に目標量へ増量することが望ましいです。

一般には基礎エネルギー消費量(BEE)に活動係数、ストレス係数を乗じて求めます。

選択肢4. 開始時の投与速度は、200mL/時とする。

誤りです。

重症患者では開始時の投与速度は10mL/時とします。

8~24時間ごとに投与スピードを上げます。

選択肢5. 血糖値の目標は、180mg/dL以下とする。

正しいです。

重症患者ではインスリン抵抗性が増大し、糖新生亢進しているため高血糖になりやすい状態です。

目標血糖値は180mg/dL以下としています。

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