管理栄養士の過去問
第37回
午後の部 問40

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問題

第37回 管理栄養士国家試験 午後の部 問40 (訂正依頼・報告はこちら)

公衆栄養活動に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • エンパワメントとは、地域の人々の結束力を示すものである。
  • ハイリスクアプローチでは、対象を限定せず、全体への働きかけを行う。
  • ヘルスプロモーション活動の一環として行われる。
  • コミュニティオーガニゼーションは、自治体が行う。
  • 医療機関に通院中の者は、対象としない。

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この過去問の解説 (3件)

01

公衆栄養活動に関する問題です。

選択肢1. エンパワメントとは、地域の人々の結束力を示すものである。

エンパワメントとは、個人や組織間での対話・ 傾聴・行動という過程を経て、自分たちや社会をコントロールする力をつけることです。

選択肢2. ハイリスクアプローチでは、対象を限定せず、全体への働きかけを行う。

ハイリスクアプローチは、より高いリスクを持つ人に対象を絞って行う疾病予防、すなわち、二次予防です。

対象を限定せず、全体への働きかけを行うのは、ポピュレーションアプローチ(一次予防)です。

選択肢3. ヘルスプロモーション活動の一環として行われる。

正しいです。

オタワ憲章では、目標実現のための活動方法として「健康な公共政策づくり」「健康を支援する環境づくり」「地域活動の強化」「個人技術の開発」「ヘルスサービスの方向転換」を挙げており、公衆栄養活動はその一環にあたります。

選択肢4. コミュニティオーガニゼーションは、自治体が行う。

コミュニティオーガニゼーションは、そのコミュニティに属するメンバー自身が、共通の課題解決に向けて取り組むプロセスのことです。

選択肢5. 医療機関に通院中の者は、対象としない。

公衆栄養の三次予防として疾病が発生した後の重症化予防があり、医療機関に通院中の者も対象となります。

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02

公衆栄養活動とは、人間の疾病予防や健康増進、QOL(生活の質)の向上を目指し、地域社会で組織的に行っていく活動のことです。

自然環境に配慮した活動であることも大切にしています。

選択肢1. エンパワメントとは、地域の人々の結束力を示すものである。

エンパワメントとは、組織を構成する一人ひとりが、持っている本来の能力を発揮し、自分の意思決定によって自発的に行動できるよう支援(環境や仕組みを整えたり)することです。

地域の人々の結束力を示すものではありません。

選択肢2. ハイリスクアプローチでは、対象を限定せず、全体への働きかけを行う。

対象を限定せず、全体への働きかけを行うのは、「ポピュレーションアプローチ」です。

●ポピュレーションアプローチ

対象:低リスク群や、高リスクと低リスクの間にある人々を含む集団全体

役割:一次予防

●ハイリスクアプローチ

対象:高リスク群

役割:二次予防

選択肢3. ヘルスプロモーション活動の一環として行われる。

正しいです。

ヘルスプロモーションとは、「人々が自らの健康をコントロールし、改善できるようにするプロセス」のことです。

公衆栄養活動は、ヘルスプロモーション活動の一環として行われます。

選択肢4. コミュニティオーガニゼーションは、自治体が行う。

コミュニティオーガニゼーションは、「地域住民」が行います。

コミュニティオーガニゼーションとは、地域住民が、その地域で抱える課題を自分たちで解決させるために取り組むプロセスのことです。

自治体(都道府県や市区町村の行政など)や管理栄養士などの専門家は、このプロセスを行うのではなく、支援する立場にあります。

選択肢5. 医療機関に通院中の者は、対象としない。

医療機関に通院中の者も対象とします。

予防医学には、一次予防・二次予防・三次予防という段階があります。

一次予防疾病の予防や健康の維持増進(予防接種など)

二次予防疾病の早期発見、早期治療、重症化の予防

三次予防疾病の再発防止、リハビリテーション(通院や人工透析など)

「医療機関に通院中の者」は、公衆栄養活動の二次予防や三次予防の対象となります。

まとめ

公衆栄養学の問いでは、「エンパワメント」や「コミュニティオーガニゼーション」などの専門用語が頻出します。

カタカナの専門用語が多く混乱しやすいため、専門用語はひとつのノートにまとめるなど、内容が混ざらず正しく覚えられるようにできるとよいですね。

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03

公衆栄養活動とは、個人、集団を対象として食や栄養の観点から健康維持、増進および疾病の予防を目的とし、健康、栄養の課題を解決することです。

選択肢1. エンパワメントとは、地域の人々の結束力を示すものである。

エンパワメントとは、問題を抱える組織や個人が持っている力を発揮して、自らの力で行動変容を実行、維持できるようにすることです。

選択肢2. ハイリスクアプローチでは、対象を限定せず、全体への働きかけを行う。

ポピュレーションアプローチでは、対象を限定せず、全体への働きかけを行います。

ハイリスクアプローチでは、リスクの高い者に限定して働きかけを行います。

選択肢3. ヘルスプロモーション活動の一環として行われる。

正しいです。

ヘルスプロモーションは、1986年オタワ憲章でWHOによって提唱されました。

「人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善することができるようにするプロセス」と定義されています。

選択肢4. コミュニティオーガニゼーションは、自治体が行う。

コミュニティオーガニゼーションは、地域住民が行います。

コミュニティーオーガニゼーションとは、コミュニティ(地域社会)の中でコミュニティーメンバーが課題を認識し、解決に向けて一緒に取り組む活動のことです。

地域住民自らの主体的な行動となります。

選択肢5. 医療機関に通院中の者は、対象としない。

医療機関に通院中の者も、対象とします

公衆栄養の予防医学には

一次予防(健康増進・予防)

二次予防(早期発見・早期治療)

三次予防(障害軽減・再発予防)

があります。

医療機関に通院中の者は三次予防の対象に当てはまります。

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