管理栄養士の過去問
第37回
午後の部 問68

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問題

第37回 管理栄養士国家試験 午後の部 問68 (訂正依頼・報告はこちら)

給食の品質管理に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • 設計品質は、ABC分析で評価する。
  • 適合(製造)品質は、期末在庫量で評価する。
  • 適合(製造)品質は、検食で評価する。
  • 総合品質は、ISO 14001で評価する。
  • 総合品質は、給与栄養目標量で評価する。

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この過去問の解説 (3件)

01

食事を効率的・経済的に提供し、満足度を高めるために給食において品質を管理することは重要です。

また、品質の改善を目的とし、品質管理を行うことが重要です。

給食の品質管理は以下の3つの項目に分けられています。

〇設計品質〇

利用者のニーズを反映した献立やレシピを作成することです。

給与栄養目標量の設定・調理方法・加熱条件・調理従事者の作業分担などが記載された作業指示書などが該当します。

〇適合品質〇

実際に提供した食事が設計品質に一致しているかを評価することです。

料理の仕上がり重量、出来上がり塩分濃度などが該当します。

〇総合品質〇

利用者の満足度にあたります。

設計品質と適合品質が総合品質を決定します。

選択肢1. 設計品質は、ABC分析で評価する。

ABC分析では総合品質を評価することができます。

ABC分析は、メニューを売上の高い順に3つのグループに分けて(A、B、C)評価を行うものです。

売上貢献度が高いAグループは内容の充実など重点的に管理し、反対にCグループは売り上げ不振であるため内容の変更や削除を検討する段階に入ります。

メニューの売り上げは利用者の満足度を反映させていることから、総合品質を評価できることが分かります。

選択肢2. 適合(製造)品質は、期末在庫量で評価する。

期末在庫量からは設計品質を評価することができます。

期末在庫量とは期末の最終日に保有している在庫量のことで、食材料費の管理に使用されます。

食材料管理は設計品質に該当します。

選択肢3. 適合(製造)品質は、検食で評価する。

正しいです。

検食は、提供する料理の味や状態を評価するために、給食責任者が試食することです。

検食で、予定された献立通りに提供できているか確認しているため、適合品質を評価できていることが分かります。

選択肢4. 総合品質は、ISO 14001で評価する。

総合品質はISO 9001などから評価されます。

ISO 14001は、環境マネジメントに関する国際規格です。

選択肢5. 総合品質は、給与栄養目標量で評価する。

給与栄養目標量からは設計品質が評価できます。

給与栄養目標量をもとに給食が作られ、提供されます。

まとめ

品質管理におけるISOの種類、それぞれ何が該当するのかを理解しておきましょう。

ISOシリーズとは工業製品の国際的な品質管理規格です。

ISO 9001(品質)

サービスの品質保証を通じて、顧客満足の向上と製品マネジメントシステムの継続的な改善を実現する規格

ISO 14001(環境)

環境へのリスク低減・貢献の両立を目指す環境マネジメントの国際規格

ISO 22000(食品安全)

HACCPとISO 9000シリーズをもとに生まれた、消費者への安全な食品提供を可能にする食品安全マネジメントシステムに関する規格

給食の総合品質には9001や22000が該当します。

確認しておきましょう。

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02

品質管理とは、製品の品質が規格に合うように、あるいは一定の水準を保つように、製造工程を管理することです。

食事サービスにおける品質には、「設計品質」「適合(製造)品質」「総合品質」があります。

それぞれの品質の特徴を理解しておきましょう。

設計品質とは、製品(食事)の目標とする品質をいいます。

栄養・食事計画等で決定した、栄養的な価値や量、見た目、おいしさ、衛生的安全性、原価など、喫食者のニーズや感覚に合わせたものです。献立やレシピ(作業指示書)に示されます。

設計品質は、給与栄養目標量で評価します。

適合(製造)品質とは、献立やレシピ通りの栄養量や外観、味に生産されたかを示すものです。

適合(製造)品質は、検食で評価します。

総合品質とは、喫食者からみた総合的な品質(満足度)であり、設計品質適合品質からなります。

総合品質は、ABC分析IOS 9001で評価します。

選択肢1. 設計品質は、ABC分析で評価する。

ABC分析で評価されるのは、総合品質です。

ABC分析とは、商品を売り上げの高い順にABCのランクに分類し、Aランクの商品を重点的に管理する方法です。

例として、Aランクのメニューに売り切れが起こらないように管理する、Cランクのメニューの廃止・内容の変更の検討を行うといったことがあります。

また、食材費の管理にも用いられます。

選択肢2. 適合(製造)品質は、期末在庫量で評価する。

期末在庫量で評価されるのは、設計品質です。

期末在庫量とは、決算時点でかかえている在庫量のことです。

選択肢3. 適合(製造)品質は、検食で評価する。

正しいです。

検食で評価されるのは、適合(製造)品質です。

検食とは、給食責任者が給食の質、量、味などを点検することです。

選択肢4. 総合品質は、ISO 14001で評価する。

総合品質は、ISO 14001では評価されません。

ISOとは、工業・農業製品の規格の国際標準化を推進するために設立された組織です。

組織が一定水準の製品・サービスをつくる能力があるかを審査する品質保証に関するISO 9000シリーズと、

環境に配慮した活動を行っているかを審査するISO 14000シリーズがあります。

選択肢5. 総合品質は、給与栄養目標量で評価する。

給与栄養目標量で評価されるのは、設計品質です。

給与栄養目標量とは、個人や集団に対して食事を提供する際の給与する栄養素量の目標量のことです。

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03

品質管理の目的は品質の向上です

【1】設計品質献立計画・作成で調理や提供の目標とする品質です。

(例)献立表、レシピ、作業指示書、栄養価計算など

【2】適合(製造)品質設計品質に一致するように作られた実際に提供される食事の品質です。検食担当者によって評価されます。また適合品質を保つことで異物混入の発生件数は下がります。

(例)(出来上がり後の)量・塩分濃度・盛り付け、検食など

【3】総合品質設計品質と適合品質を合わせた品質です。例:喫食者の満足度など

選択肢1. 設計品質は、ABC分析で評価する。

誤りです。ABC分析はメニューの満足度につながるため、総合品質の評価に用いられます。

ABC分析:食材料の購入金額が高い順にA・B・Cに分け、購入金額が高いAを重点的に管理する方法です。

選択肢2. 適合(製造)品質は、期末在庫量で評価する。

誤りです。期末在庫量は食材料管理にあたり、設計品質の評価に用いられます。

期末在庫量期末日に所有している在庫量です。

選択肢3. 適合(製造)品質は、検食で評価する。

正しいです。設計品質に一致しているか、検食は医師、管理栄養士、栄養士によって毎食行い、検食記録簿に記録されます。

選択肢4. 総合品質は、ISO 14001で評価する。

誤りです。総合品質ISO9001で評価されます。

ISO9001品質マネジメントシステムの構築を評価します。

ISO14000環境マネジメントシステムの構築を評価します。

選択肢5. 総合品質は、給与栄養目標量で評価する。

誤りです。給与栄養目標量設計品質評価に用いられます。

まとめ

設計品質、適合品質、総合品質の違いについて理解していきましょう。

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