管理栄養士の過去問
第37回
午後の部 問89

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問題

第37回 管理栄養士国家試験 午後の部 問89 (訂正依頼・報告はこちら)

K保育園に勤務する管理栄養士である。園内で食事を作り提供している。3~5歳児の昼食で、野菜の残菜が目立った。そこで、園として食育を実施することにした。

この設問は、<前問>の続きの設問となります。

保護者向けの食育だよりを発行することにした。子どもの野菜を食べるセルフ・エフィカシーを高める方法として、保護者に行ってほしい内容である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • 野菜が入っているか分からないようにして、料理を提供すること
  • 野菜の常備菜をいつも冷蔵庫に置いておくこと
  • 野菜を食べることによる健康のメリットを伝えること
  • 野菜を残すと作ってくれた農家の人が悲しむと伝えること
  • 子どもの前で保護者がおいしそうに野菜を食べること

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この過去問の解説 (3件)

01

行動を起こす要因にはセルフ・エフィカシー結果期待という2つの要素が関わっています。

この2つが組み合わさることで人間の行動は決定づけられます。

セルフ・エフィカシーとは自己効力感のことで、「自分がこれをやろうとすることを、どの程度“実行できる”と思っているか」という自信のことを指します。

結果期待とは、「この行動が望ましい効果をもたらす」という本人の判断のことを指します。

つまり、自分で実行しようと思っていることが自分にもできることだと認識し(=セルフ・エフィカシー)、望ましい効果が得られると判断した(=結果期待)ときに行動に移しやすくなります。

本問ではセルフ・エフィカシーを高める手段を問われています。

セルフ・エフィカシーがどのように高められるかを考えながら選択肢を検討していきましょう。

選択肢1. 野菜が入っているか分からないようにして、料理を提供すること

不適です。

分からないように料理に入っているときは野菜を意識して自分から食べておらず、食べられるという自信が生まれないため、セルフ・エフィカシーを高めることができません。

選択肢2. 野菜の常備菜をいつも冷蔵庫に置いておくこと

不適です。

常備菜を置いておくのみでは食べられるという自信がおこりにくく、セルフ・エフィカシーを高めることはできません。

選択肢3. 野菜を食べることによる健康のメリットを伝えること

不適です。

健康のメリットを理解することで望ましい結果をもたらすという結果期待は高めることができますが、セルフ・エフィカシーを高めることはできません。

選択肢4. 野菜を残すと作ってくれた農家の人が悲しむと伝えること

不適です。

農家の人が悲しむと認識することは、自分で実行できると思うことには繋がらず、セルフ・エフィカシーを高めることはできません。

選択肢5. 子どもの前で保護者がおいしそうに野菜を食べること

正しいです。

保護者が見本を見せることで真似をすることができ、セルフ・エフィカシーを高めることができます。

まとめ

セルフ・エフィカシーを高める方法について、対象が3〜5歳の園児であることを考慮して判断していきましょう。

参考になった数6

02

セルフ・エフィカシーとは自己効力感ともいい、自分がこれからやろうとすることを、どの程度実行できると思っているか、という自信のことです。

できそうだという自信があるほど、実行に移す確率は高くなり、行動変容の鍵となります。

自己の成功体験を段階的に積み重ねていくことは、自己効力感を高めるのに有効です。

選択肢1. 野菜が入っているか分からないようにして、料理を提供すること

野菜が入っているかわからないようにすると、本人にはそもそも野菜が入っていることがわからないため、実行できるという自信にはつながりません。

選択肢2. 野菜の常備菜をいつも冷蔵庫に置いておくこと

野菜の常備菜をいつも冷蔵庫に置いてあるだけでは、行動に移すとは考えにくいため、セルフ・エフィカシーを高める方法とはいえません。

選択肢3. 野菜を食べることによる健康のメリットを伝えること

野菜を食べることによる健康のメリットを伝えることは、結果期待をを高める方法であり、セルフ・エフィカシーを高める方法とはいえません。

選択肢4. 野菜を残すと作ってくれた農家の人が悲しむと伝えること

野菜を残すと作ってくれた農家の人が悲しむと伝えても、そのことによって実行できるという自信にはつながらないため、セルフ・エフィカシーを高める方法とはいえません。

選択肢5. 子どもの前で保護者がおいしそうに野菜を食べること

他人の行動をまねるだけで自分に取り入れようとするとき、自分にもその行動ならできると確信します。

参考になった数1

03

セルフ・エフィカシーとは、ある行動をうまく行うことができるという自身のことを言います。

人がある行動へのセルフ・エフィカシーを強く感じていると、その行動を行う可能性が高まると考えられています。

セルフ・エフィカシーを高めるポイントとしては、成功経験と代理経験が挙げられます。

選択肢1. 野菜が入っているか分からないようにして、料理を提供すること

不適です。

 

野菜が入っていることを分からないようにしてしまうことは、野菜を食べるセルフ・エフィカシーを高めることができません。

選択肢2. 野菜の常備菜をいつも冷蔵庫に置いておくこと

不適です。

 

野菜を置いていくことは、子供の野菜を食べるセルフ・エフィカシーを高めることにつながりません。

選択肢3. 野菜を食べることによる健康のメリットを伝えること

不適です。

 

健康のメリットを伝えるだけでは、野菜を食べるセルフ・エフィカシーを高めることになりません。

選択肢4. 野菜を残すと作ってくれた農家の人が悲しむと伝えること

不適です。

 

野菜を残すと作ってくれた農家の人が悲しむと伝えるだけではセルフ・エフィカシーを高めることにつながりません。

選択肢5. 子どもの前で保護者がおいしそうに野菜を食べること

適切です。

 

保護者の代理経験によって子供のセルフ・エフィカシーを高めることができます。

まとめ

セルフエフィカシーを高めるポイントとして挙げられる「成功経験」と「代理経験」

 

成功経験

実際に自分が行ってみて、うまくできたという経験のことです。

 

代理経験

自分と似ていると思われるモデルとなる人が、ある行動をうまく行なっているのを見たり聞いたりすることで、自分にもうまくできそうだと思うことです。

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