管理栄養士の過去問
第38回
午後の部 問103

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問題

第38回 管理栄養士国家試験 午後の部 問103 (訂正依頼・報告はこちら)

K事業所の社員食堂を運営している給食受託会社の管理栄養士である。K事業所の男性社員はデスクワークが1日の大半を占めており、他の事業所より、特に肥満(1度:BMI 25以上30kg/m2未満)の者の割合が高い。これまで社員を対象に様々な栄養情報を提供してきたが、男性社員の健康への関心は薄い。そこで、食環境整備を行うこととした。初めに、K事業所の20~60歳台男性社員の利用率が高い社員食堂において、男性社員(1,100人)のメニューの選択状況を、売上食数から把握した(表)。

この取組を約6か月間継続したところ、定食の食数は着実に増加してきた。そこで、健康管理部門と連携して、会社の健康課題である肥満解消に向けた効果を調べることにした。職員健診の場を利用して、全男性社員を対象に、取組前後における食堂の利用状況に関するアンケート調査を行った。以前は定食をほとんど利用していなかった者に限定して、データ分析を行った。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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この過去問の解説 (2件)

01

定食の利用頻度と肥満解消の因果関係を知るための分析です。

選択肢1. 新たに定食を利用するようになった者における、メニュー選択の変更に伴う摂取エネルギーの変化量を算出する。

不適です。

 

摂取エネルギー量の変化量だけでなく、BMIや体重の変化も比較すべきです。

選択肢2. BMIの低下が特に大きかった10名の調査票を抽出して、メニューの選択状況を詳細に調べる。

不適です。

 

男性社員100名から抽出された10名では偏りが生じる可能性が高いので不適切です。

選択肢3. 定食の利用頻度で2群に分け、取組前の健診時からの体重の変化量を比較する。

不適です。

 

もともと肥満ではない人も含まれる可能性があります。

選択肢4. 取組前の健診時の肥満の有無で層別化して、定食の利用頻度で2群に分け、BMIの分布の変化を比較する。

適切です。

 

定食の利用頻度と肥満解消の因果関係を分析する方法として最も適切です。

まとめ

取り組み前に肥満だった人が定食の利用頻度に応じて肥満解消につながったかの因果関係を分析するには、取り組み前の健診時の肥満の有無で層別化して、定食の利用頻度で2群に分け、BMIの分布の変化を比較することが適切です。

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02

本問では肥満解消に向けた効果を検討することが目的です。

実験を行いその変化を検討するときは対照実験を行うことが一般的です。対照実験を行うことは言い換えると、調査したい項目以外は同じ条件の対照群を作りそれと比較することです。

この問題では実験(調査したい項目)にあたるものが定食利用頻度の変化です。それ以外は同じ条件で利用頻度によるBMIの変化を比較検討することで結果を得ることができます。

選択肢1. 新たに定食を利用するようになった者における、メニュー選択の変更に伴う摂取エネルギーの変化量を算出する。

不適です。

肥満解消に向けた効果を判定するには、エネルギー摂取量のみならずBMIや体重変化量を検討する必要があります。

選択肢2. BMIの低下が特に大きかった10名の調査票を抽出して、メニューの選択状況を詳細に調べる。

不適です。

BMIの低下が特に大きかった10人を抽出した場合、肥満傾向になかった人も調査群に該当してしまう可能性があり、適切といえません。

選択肢3. 定食の利用頻度で2群に分け、取組前の健診時からの体重の変化量を比較する。

不適です。

肥満傾向にない人も抽出される選択方法のため、適切とは言えません。

選択肢4. 取組前の健診時の肥満の有無で層別化して、定食の利用頻度で2群に分け、BMIの分布の変化を比較する。

正しいです。

肥満の有無で階層化することで、肥満度合いが同じくらいの人たちで検討することができます。

さらにそこから定食利用頻度(多い群、少ない群)に分けてBMIを比較することで、定食利用頻度によるBMIの変化を検討することができます。

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