ケアマネジャー(介護支援専門員) 過去問
令和5年度(第26回)
問25 (介護支援分野 問25)

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問題

ケアマネジャー試験 令和5年度(第26回) 問25(介護支援分野 問25) (訂正依頼・報告はこちら)

特別養護老人ホームに入所しているAさん(80歳、女性、要介護4)は、がんの末期で余命1か月程度と医師から告げられている。
Aさんは自宅で最期を迎えたいと希望している。
自宅で一人暮らしをしている夫は、Aさんの希望に沿いたいと考えているが、自宅での介護や看取りに不安を抱いている。
Aさんの居宅介護支援の依頼を受けた介護支援専門員がAさんや夫との面談を進めるに当たっての対応として、より適切なものはどれか。3つ選べ。
  • 夫が何を不安に感じているのかを聴き取る。
  • 施設の嘱託医に居宅療養管理指導を依頼する。
  • 夫の負担を考慮し、施設での看取りを依頼する。
  • Aさんが自宅でどのように過ごしたいのかを聴き取る。
  • Aさんの自宅がある地域で看取りに対応している診療所の情報を収集する。

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この過去問の解説 (3件)

01

入所中のAさん(80歳、女性、要介護4)は、自宅での看取りを希望されています。

 

自宅で一人暮らしをしている夫は、Aさんの希望に沿いたいと考えていますが、

自宅での介護や看取りに不安を抱いている状況です。

選択肢1. 夫が何を不安に感じているのかを聴き取る。

自宅での介護と看取りに関して、夫が何を不安に感じているのかを聴き取ることは、今後の支援を考えていくにあたり必要ですので、

これは適切であると考えられます。

選択肢2. 施設の嘱託医に居宅療養管理指導を依頼する。

施設の嘱託医は、入所者の健康管理を行いますので、

これは適切ではないと考えられます。

選択肢3. 夫の負担を考慮し、施設での看取りを依頼する。

夫はAさんの希望に沿いたいとの意向ですので、

施設での看取りを依頼することは適切ではないと考えられます。

選択肢4. Aさんが自宅でどのように過ごしたいのかを聴き取る。

Aさんが自宅でどのように過ごしたいのかを聴き取ることは、今後の支援を考えていくにあたり必要ですので、

これは適切であると考えられます。

選択肢5. Aさんの自宅がある地域で看取りに対応している診療所の情報を収集する。

自宅での看取りにあたり、体調や症状の変化などに対応可能な訪問医の協力が必要ですので、

Aさんの自宅がある地域で看取りに対応している診療所の情報を収集することは適切であると考えられます。

まとめ

厚生労働省は、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」を策定しています。

参考になった数31

02

施設に入所していた方が自宅で最期を迎えたいと希望しているため、さまざまな機関との連携が必要になってきます。Aさん、夫の希望の思いを具体的に伺い、適切な支援を考えていく必要があります。

選択肢1. 夫が何を不安に感じているのかを聴き取る。

適切です。夫の不安について具体化し、それに対してどのような支援が必要か考えていきます。

選択肢2. 施設の嘱託医に居宅療養管理指導を依頼する。

不適切です。自宅に帰る場合は、施設の嘱託医ではなく、在宅療養の際の主治医に依頼することが適切です。

選択肢3. 夫の負担を考慮し、施設での看取りを依頼する。

不適切です。Aさんは、自宅で最期を迎えたいと希望しており、夫もAさんの希望に沿いたいと考えています。介護支援専門員の判断だけではなく、まずはAさん、夫の思いを確認しましょう。

選択肢4. Aさんが自宅でどのように過ごしたいのかを聴き取る。

適切です。なぜ自宅で最期を迎えたいのか、Aさんの思いを具体化していくことは適切な支援のために必要です。

選択肢5. Aさんの自宅がある地域で看取りに対応している診療所の情報を収集する。

適切です。自宅で最期を迎えるためには、往診医の協力が不可欠です。その他、訪問看護ステーションなど看取りに対応する機関の情報収集を行います。

参考になった数5

03

Aさん(80歳、女性・要介護4)は施設入所中でありながら、「自宅での看取り」を希望されています。一方で、自宅で一人暮らしの夫はその希望に応えたい気持ちはあるものの、「介護・看取りに対する不安」があるという状況です。このような場面では、「本人の意向を尊重しつつ、家族支援と地域資源の活用をどう組み合わせるか」が支援の要点となります。

選択肢1. 夫が何を不安に感じているのかを聴き取る。

介護者となる夫の不安や懸念を具体的に把握することは支援計画の前提です。不安の内容によっては、医療的支援なのか、介護技術なのか、経済的・心理的なものなのかが異なり、適切なサービスや支援者の配置が必要となります。

選択肢2. 施設の嘱託医に居宅療養管理指導を依頼する。

居宅療養管理指導(居宅医療)は、在宅で療養する利用者に対する訪問診療や服薬指導などに関わるものです。施設の嘱託医は原則として施設内の利用者に対する管理・診療が業務範囲であり、在宅での看取り支援の主体とはなりません。地域の訪問診療医を新たに調整する必要があります。

選択肢3. 夫の負担を考慮し、施設での看取りを依頼する。

現時点では本人の意向は「自宅での看取り」であり、それに沿う形でどう支援体制を整えるかが重要です。夫の不安は傾聴すべきですが、「負担があるから本人の希望は実現困難」と早期に判断してしまうのは適切ではありません。支援者としては「どうすれば希望を実現できるか」という視点が求められます。

選択肢4. Aさんが自宅でどのように過ごしたいのかを聴き取る。

「看取り」といっても、その前段階でどのように過ごしたいのか、何を望んでいるのか(QOLの視点)は個人差が大きく、支援計画に直結します。たとえば「家の庭を眺めたい」「夫と一緒に食事をしたい」など、具体的な生活像を聴き取ることは支援者の基本姿勢です。

選択肢5. Aさんの自宅がある地域で看取りに対応している診療所の情報を収集する。

在宅看取りには、訪問診療(在宅医療)体制の確保が不可欠です。特に24時間対応可能な診療所の選定は重要であり、事前の情報収集と調整はケアマネジャーの役割として極めて重要です。あわせて、訪問看護・訪問介護・福祉用具貸与などの支援体制も段階的に整えることになります。

まとめ

本人の意思を尊重する看取り支援では、次の視点が重要です。

・本人の意思の再確認(アドバンス・ケア・プランニング:ACP)
・家族(介護者)の意向と不安の把握
・地域資源を活用した支援体制の構築
なお、厚生労働省が示す「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」では、ACP(Advance Care Planning)の推進が明記されています。

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