2級建築施工管理技士の過去問
令和3年(2021年)後期
5 問39

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問題

2級 建築施工管理技術検定試験 令和3年(2021年)後期 5 問39 (訂正依頼・報告はこちら)

鉄筋の加工及び組立てに関する記述として、不適当なものを2つ選べ。
  • 鉄筋の折曲げ加工は、常温で行う。
  • 壁筋は、鉄筋相互の交点の半数以上を結束する。
  • 鉄筋相互のあきの最小寸法は、鉄筋の強度によって決まる。
  • 鉄筋末端部のフックの余長の最小寸法は、折曲げ角度が大きいほど長くなる。

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この過去問の解説 (3件)

01

鉄筋の加工寸法の許容差あき寸法の数値などはおさえておきましょう。

選択肢1. 鉄筋の折曲げ加工は、常温で行う。

設問の通りです。

鉄筋の切断・曲げなどの加工作業は、常温で行います。

選択肢2. 壁筋は、鉄筋相互の交点の半数以上を結束する。

設問の通りです。

帯筋・あばら筋は、四隅の交点で全数、その他の交点で半数以上

結束します。スラブ筋・壁筋は、交点の半数以上を結束します。

選択肢3. 鉄筋相互のあきの最小寸法は、鉄筋の強度によって決まる。

誤りです。

鉄筋のあき・間隔の最小寸法は、鉄筋の径粗骨材の最大寸法によって決まります。

選択肢4. 鉄筋末端部のフックの余長の最小寸法は、折曲げ角度が大きいほど長くなる。

誤りです。

鉄筋末端部のフックの余長は、折り曲げ角度が

180°で4d以上、135°で6d以上、90°で8d以上となり、

折り曲げ角度が大きいほど短くなります

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02

鉄筋工事に関わらず、数値が出てくると暗記しなけらばならないと思う人もいるかもしれませんが、中には一般的な知識や経験、イメージで回答できるものもあります。

全てが該当するわけではありませんので、一通り勉強した中で、自分の経験やイメージで解けそうな問題を見つけたら覚える手間も減ると思います。

選択肢1. 鉄筋の折曲げ加工は、常温で行う。

正しい記述です。

金属のような硬いものを加工するのに加熱するイメージがあるかもしれませんが、建築現場で使われる鉄筋材は加熱すると性質が変わってしまいます。

塑性と呼ばれる、力を加えて変形させると元に戻らずその形を維持する性質が、一定以上熱を加えると鉄筋の引張強さ等を低下させてしまいます。

その為、バーベンダー等の曲げ加工用機械を用いて、常温で曲げ加工を行います。

選択肢2. 壁筋は、鉄筋相互の交点の半数以上を結束する。

正しい記述です。

建築工事標準仕様書JASS5(鉄筋コンクリート工事)の書籍で「壁の交差する鉄筋相互の結束は、交点の半数以上又は400mm以下」と定められています。

柱・壁において交点の全数を結束しなければいけないのは、基本的に基礎梁の隅部、巾止め筋、帯筋の四隅、あばら筋の上端端部です。

理論的に考えれば、全ての交点を結束した方が良いものになると思いますが、実際の現場では作業効率・手間・コスト・工程なども考えなればなりません。

かと言って、色々削減しすぎて「手抜き工事」になってはいけません。

そのライン・基準になるように、国や協会が構造計算や研究を重ね、発行した標準仕様書・JASS・その他書籍が品質の指標となります。

「この数値以上は必ず確保してください」「この数値を基準として、許容値はこれだけです」と基本になる数値を指し示してくれていて、本設問文も「全て結束せずとも、半数以上又は400mm以下のピッチで結束したら問題ありません」と明記してくれています。

選択肢3. 鉄筋相互のあきの最小寸法は、鉄筋の強度によって決まる。

間違った記述です。

鉄筋相互のあきの最小寸法は、①鉄筋の呼び名の数値d×1.5、②粗骨材最大寸法×1.25、③25mm、の3つのうち、最大の数値が最小寸法となります。

鉄筋相互のあきとは、鉄筋と型枠の間の「かぶり」ではなく、鉄筋同士の隙間の寸法を指します。

鉄筋の呼び名の数値dは、D13→13、D22→22の数値を指します。

つまり鉄筋の外径じゃないの?と思うかもしれませんが、建築現場で使われる鉄筋材は異形棒鋼が一般的で、鉄筋材の表面にリブがあります。

その為、呼び名+リブの凸部分=外径になります。

粗骨材が出てくる理由ですが、コンクリートを打設する際、粗骨材が梁や柱の中、底面などに入ってくれないと規定の強度が出ないからです。

粗骨材が片寄ってしまうと強度も出ませんし、ジャンカ発生の原因にもなります。

粗骨材の最大寸法が20mmで、D13同士のあきを例に計算すると、

①(D)13×1.5=19.5mm、②20×1.25=25mm、③25mm、となるので、最小寸法は③の25mmになります。

選択肢4. 鉄筋末端部のフックの余長の最小寸法は、折曲げ角度が大きいほど長くなる。

間違った記述です。

フックの余長の最小寸法は折曲げ角度が大きいほど、フックの余長の最小寸法が短くなります。

フックの折曲げ角度は一般的に90°、135°、180°があり、この中では折曲げ角度が大きいのは180°になります。

フックの余長は90°で8d以上、135°で6d以上、180°で4d以上必要なので、角度が大きくなるほど余長が短くなっていますね。

元々、鉄筋のフックは定着を目的としています。

2本の真っ直ぐな棒があるとします。

2本を直線上に並べて、端部を少しだけ重ねて輪ゴム留めして、1本の棒にします。

この棒の両端を持って引っ張ると、いくら輪ゴムで留めていても、いつかはスポッと抜けて外れてしまいますね。

2本の真っ直ぐな棒の端部を曲げて、輪ゴム留めの代わりにフック同士をひっかけて見たらどうでしょうか。

フック部分に力がかかって、曲げた部分が伸びて元の真っ直ぐな棒に戻らなければ、先ほどの輪ゴム留めよりは長時間抜けたり外れたりしないと思います。

鉄筋の定着はそれと同じような意味があり、鉄筋の引張強さを鉄筋コンクリート造に、より活かせるように工夫されています。

例に挙げた、2本の棒のフックを90°曲げた時と、180°曲げた時を想像してみてください。

90°の方が180°に比べて、早く外れてしまいそうですね。

ですが、折り曲げた余長を長くしてみたらどうでしょうか。

L字に曲げた先が長ければ長いほど、棒同士がひかかっている時間も長いので、90°でも長時間引張に耐えれそうですね。

逆に180°曲げですと、余長を長くしすぎても意味がないですよね。

フック部分と少しの余長で引張に耐えれそうですね。

そういったイメージを持っておくと、覚えやすいかもしれませんね。

まとめ

本解説では具体例を挙げて説明しています。

設問に対してイメージできなかった人の参考になれば幸いです。

また、本設問だけでなく、たくさんの問題の基に標準仕様書・監理指針等の書籍が使われています。

現場で勤務されている人は職場に保管されていたり、学生さんは大型書籍などで取り扱われていたりすると思うので、機会があればパラパラッと目を通してみてください。

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03

鉄筋の加工及び組み立てに関する用語について知りましょう。

選択肢1. 鉄筋の折曲げ加工は、常温で行う。

その通りです。

原則、常温加工(冷間加工)です。

選択肢2. 壁筋は、鉄筋相互の交点の半数以上を結束する。

その通りです。

交点の半数以上結束です。

選択肢3. 鉄筋相互のあきの最小寸法は、鉄筋の強度によって決まる。

間違いです。

鉄筋のあきとは、平行に配置された鉄筋相互の間隔ををいいます。

呼び名の数値の1.5倍、粗骨材最大寸法の1.25倍、25㎜のうち大きい方の数値

によって決まります。

選択肢4. 鉄筋末端部のフックの余長の最小寸法は、折曲げ角度が大きいほど長くなる。

間違いです。

折り曲げ角度が大きいほど、余長は短くなります。

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