精神保健福祉士の過去問
第16回(平成25年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問58

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問題

第16回(平成25年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問58 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事例〕
Cさん(23歳、女性)は、高校3年生の春ごろから、「周りから悪口をいわれる」「死にたい気分になる」と話すようになり、精神科初診時に統合失調症と診断された。卒業後は予備校へ通学したが、幻聴が強く、自殺企図があり、3か月間入院した。入院を契機に予備校を退学し、退院後は自宅学習を続けながら、メロン・梨・トマトなどを栽培する実家の農業を手伝っていた。両親、祖母と同居し、きょうだいはいない。
集中力の低下、幻聴体験が継続し、 Cさんは大学進学を断念。20歳の春からは実家の農業でトマト栽培を担当し、給料をもらうようになった。月2回の外来受診を継続し、ときに幻聴体験、対人緊張が高まる場面でのめまいや動悸、自傷行為があるものの、入院するまでには至らなかった。家事を母親と分担し、仕事の合間には、中国語講座に参加したり、好きなミュージカルの公演やコンサートを楽しんでいた。
21歳のとき、 Cさんは「毎年主治医が変わっている。いろいろゆっくり話ができる相手がほしい」と希望し、主治医からD精神保健福祉士に継続面接の依頼があった。
初回面接で、 Cさんは「時々、ふっと死にたくなるときがある」「農業には自信ができてきた」「家族に心配かけたくない、病気のこともいろいろ話せない」「同級生に会うと、やはり進学したかったと思う」「人と一緒の場は緊張して疲れる」「仕事や生活も、このままでいいのかと考えてしまう」と語った。

次の記述のうち、この時点で、 D精神保健福祉士が行うCさんへの支援として、適切なものを1つ選びなさい。
  • 自殺の話には触れないようにする。
  • 農業以外の就労可能性を検討する。
  • 進学に再チャレンジするよう励ます。
  • 家族からの独立を目指し、単身生活の訓練を始める。
  • 安心して思いを語ってもらえる関係をつくる。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は5です。

継続面接の初回面接にふさわしい支援を選ぶ問題です。

1.話の仕方や触れ方には細心の注意を払う必要がありますが、自殺の話について触れてはいけないわけではありません。

2.本人は「農業には自信ができてきた」と語っていることから、この段階で農業以外の就労可能性を検討することは適切ではありません。

3.「同級生に会うと、やはり進学したかったと思う」と語っていますが、初回面接のこの段階で進学に再チャレンジするよう励ますことは適切ではありません。

4.「家族に心配かけたくない」という話はありますが、単身生活を希望しているとまでは読み取れず、また初回面接のこの段階で単身生活の訓練を始めることは適切ではありません。

5.初回面接であることや、「いろいろゆっくり話ができる相手がほしい」という本人の希望から「安心して思いを語ってもらえる関係をつくる」ことはこの時点で適切な支援内容といえます。

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02

1.誤答。自殺についての話を無理にしないようにすることはありません。自殺の話題になったら無理に切らずに本人の思いを聞きだしていったほうが良い。

2.誤答。本人のニーズを無視することは考えられない。

3.誤答。進学への明確なニーズが聞かれていない。

4.誤答。本人のニーズと合っていない。

5.正答。その通り。

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03

5 .「 安心して思いを語ってもらえる関係をつくる。」が適切です。
(説明)Cさんは「色々ゆっくり 話ができる相手が欲しい」と言う希望で、主治医も継続面接の依頼をしてきています。なので、ここでは、関係作りに重きを置く支援が適切です。

※ Cさんが主治医に「毎年主治医が変わっている。いろいろゆっくり話ができる相手がほしい」と相談し、D精神保健福祉士と面接した場面での、適切な支援を選ぶ問題です。以下に適切ではないものの説明をします。

1 . 適切ではありません。
「自殺の話には触れないようにする。」
(説明)Cさんは「時々、ふっと死にたくなるときがある」と話してくれています。そこに触れずにいる方が不自然です。話の聞き方には工夫が必要ですが、本人の思いを聞く必要はあります。

2 . 適切ではありません。
「農業以外の就労可能性を検討する。」
(説明) Cさんは「仕事や生活も、このままでいいのかと考えてしまう」と話していますが、一方で「農業には自信ができてきた」とも口にしています。なので、農業以外の就労の可能性を検討するのは早すぎますし、まずは信頼関係を作る段階だと思われます。

3 . 適切ではありません。
「進学に再チャレンジするよう励ます。」
(説明)Cさんは「同級生に会うと、やはり進学したかったと思う」とは話していますが、「人と一緒の場は緊張して疲れる」など不安も口にしています。なので、この場面で再チャレンジを促すことや励ますことは適切ではありません。

4 . 適切であありません。
「家族からの独立を目指し、単身生活の訓練を始める。 」
(説明)Cさんは「家族に心配かけたくない、病気のこともいろいろ話せない」と話していますが、家族から独立したいとは言っていません。なので適していません。

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