精神保健福祉士の過去問
第16回(平成25年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問57

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問題

第16回(平成25年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問57 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事例〕
地域活動支援センター 1型のWセンターは、人口13万人の地方都市の商店街の一角にある。 2年前の開設に際しては、商店街の人たちから施設設立に反対する意見があがり、市や市議会議員らの尽力で何とか開設にこぎつけたという経緯がある。同じ商店街には、 Wセンターが運営しているX喫茶店があるが、地域住民の利用はほとんどない。 WセンターのA精神保健福祉士は、 X喫茶店やWセンターの活動をもっと地域に根づいたものにしたいと考え、この地区を担当する民生委員のBさんと話し合い、まずは住民の二ーズを把握してみようということになった。そこでA精神保健福祉士は、様々な立場の地域住民に一堂に集まってもらい意見を聞く機会をもつことにし、利用者やBさんの協力を得ながら準備を重ねた。当日は、 A精神保健福祉士がファシリテーターの役割を担い、参加者に互いの考えを尊重し合いながら、自分の暮らす町についての意見を自由に出し合ってもらった。
参加した地域住民からは、交流の機会となっていた商店街の祭りが数年前から開催されなくなったことや、住民同士が知り合い、つながる場が少なく残念だという意見が多く出された。そして最後には、地域の子どもや大人が一緒に楽しめ、障害者との交流の機会にもなるようなイベントを開催したいという意見でまとまった。そのとき、参加者の1人から、 X喫茶店を会場にした絵画教室の開催と、その作品を商店街に展示するまちかどギャラリーの提案があり、参加者から賛同の声があがった。そこでA精神保健福祉士は、参加者を中心に実行委員会を組織化した。数回の話合いと準備を重ね、約3か月後に絵画教室と商店街でのギャラリーが開催されたが、多くの人が商店街に足を運び盛況だった。このイベントは、その後も継続し定期的に開催され、地域住民同士や、住民と障害者との自然な交流が生まれる場となった。
この地域では、絵画教室とまちかどギャラリーが継続的に開催されるにしたがって、住民同士の付き合いや交流の機会が増えていった。そして、徐々に住民同士の信頼感や結束力が高まり、様々な活動が生まれた。

次のうち、この活動を通して地域に形成されたものとして、適切なものを1つ選びなさい。
  • ソーシャルキャピタル
  • ソーシャルファーム
  • ソーシャルプランニング
  • ソーシャルポリシー
  • ソーシャルアクション

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この過去問の解説 (3件)

01

正解はソーシャルキャピタルです。

選択肢1. ソーシャルキャピタル

ソーシャルキャピタル(socail capital:社会関係資本)とは、人々の協調行動を活発にすることによって、社会の効率性を高めることのできる「信頼」「規範」「ネットワーク」といった社会組織の特徴をいいます。この事例における活動を通じて地域に形成されたものとして、適切な解答といえます。

選択肢2. ソーシャルファーム

ソーシャルファーム(socail firm)とは、障害者など労働市場で不利な立場にある人が安定した雇用と賃金を得られるように、一般就労でも福祉的就労でもない形で、健常者と対等の立場でともに働くことに焦点をおいたビジネスのことをいいます。この事例では、就労に関する内容は読み取れないため適切な解答とはいえません。

選択肢3. ソーシャルプランニング

ソーシャルプランニング(socail planning)とは、多様化する社会福祉のニーズや課題に対して、社会計画を予め立てることでその変動に対応しようとする理論と技法をいいます。事例の活動を通じて地域に形成されたものではありません。

選択肢4. ソーシャルポリシー

ソーシャルポリシー(social policy)とは、社会福祉政策のことをいいます。事例の活動を通じて地域に形成されたものではありません。

選択肢5. ソーシャルアクション

ソーシャルアクション(social action)とは、社会福祉制度やサービスの向上を目指して、立法や行政機関に働きかける組織的な行動のことをいいます。事例の活動は住民同士の活動であるため、適切な解答とはいえません。

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02

正解はソーシャルキャピタルです。

選択肢1. ソーシャルキャピタル

正答。ソーシャルキャピタルという概念は。人々の信頼関係や結びつきを表すことなので一番適しています。

選択肢2. ソーシャルファーム

誤答。ソーシャルファームとは障害者や労働市場で不利な立場にある人たちのために安定した雇用と賃金を確保する目的を持つ企業や組織のことです。

選択肢3. ソーシャルプランニング

誤答。ソーシャルプランニングとは社会福祉援助技術における間接援助技術の1つです。将来の展望を持った社会計画を事前に立てることで、変動に対応しようとする理論で技法です。

選択肢4. ソーシャルポリシー

誤答。ソーシャルポリシーとは福祉政策のことです。

選択肢5. ソーシャルアクション

誤答。ソーシャルアクションは社会福祉制度やサービスの新設・改善を目指し、行政機関に対応を求める行動です。

参考になった数26

03

「ソーシャルキャピタル 」が適切です。

(説明)厚生労働省の資料によると、ソーシャルキャピタルは、「人々の協調行動を活発にすることによって、社会の効率性を高めることのできる、「信頼」「規範」「ネットワーク」といった社会組織の特徴」とあります。この活動を通じて、住民同士の信頼感や結束力が高まり新たな活動が生まれていく社会組織ができたので、適切です。

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000011w0l-att/2r98520000011w95.pdf

※絵画教室とまちかどギャラリーが継続的に開催され、徐々に住民同士の信頼感や結束力が高まり、様々な活動が生まれました。このことによって地域に形成されたものとして、適切なものを選ぶ問題です。以下に適切ではなかったものの説明をします。

選択肢2. ソーシャルファーム

適切ではありません。

(説明)「ソーシャルファーム 」は障がいのある人等の就労の問題に取り組むビジネスモデルのことで、今回の状況には当てはまりません。

選択肢3. ソーシャルプランニング

適切ではありません。

(説明)「ソーシャルプランニング 」は、社会福祉の多様なニーズに対して課題を明確にして社会計画を立て対応しようとするものなので、今回の状況には適していません。

選択肢4. ソーシャルポリシー

適切ではありません。

(説明)「ソーシャルポリシー」とは、福祉政策をさします。

選択肢5. ソーシャルアクション

適切ではありません。

(説明)「ソーシャルアクション」は行政機関などに働きかけ、社会福祉制度の改善を目指すことです。今回の状況には適切ではありません。

参考になった数12