精神保健福祉士の過去問
第16回(平成25年度)
現代社会と福祉 問103

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問題

第16回(平成25年度) 精神保健福祉士国家試験 現代社会と福祉 問103 (訂正依頼・報告はこちら)

福祉国家に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
  • マーシャルのシチズンシップの分類に従えば、福祉国家は、市民的権利や政治的権利と並び、社会的権利を重視する国家ということになる。
  • 福祉国家に関する様々な学説は、欧米でも日本でも19世紀末に社会保障の基本的な体制が成立したという点では一致している。
  • 福祉国家は、その目的を実現するに当たり、人々の行為を法律で禁止又は奨励する「規制的な手段」はとらない。
  • エスピンーアンデルセンの福祉国家の類型化によれば、社会民主主義レジームでは、市場の役割が大きいとされる。
  • 現在の福祉国家は、労働人口の比重がサービス業から製造業に移る工業化への対応を迫られている。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は1です。

1.T.H.マーシャルは市民権(シティズンシップ)を定義し、その構成要素として、市民的権利、政治的権利、社会的権利をあげました。

2.欧米や日本の社会保障は、20世紀初頭から後半にかけて整ってきたといえるため、19世紀末に社会保障の基本的な体制が成立したとする記述は正しくありません。

3.福祉国家の目的の実現に当たり、人々の行為を法律で禁止又は奨励する「規制的な手段」をとる方法もあります。労働基準法や虐待防止法、障害者雇用納付金制度などがそれに当たります。

4.エスピン-アンデルセンの福祉国家の類型化によれば、社会民主主義レジームでは、国家の役割が大きいとされます。市場の役割が大きいとされるのは、自由主義レジームです。

5.現在の福祉国家は、製造業から情報、知識、サービスなどの産業に映る脱工業社会を経て、グローバル化などへの対応を迫られています。

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02

正解は1です。

マーシャルは市民権論を発表しています。その中で近代社会では市民的基本権(人身の自由、言論の自由、思想・良心の自由、財産の自由、裁判に訴える自由)、政治的基本権(参政権)、社会的基本権(生存権、社会権)が段階的に成立していくということを述べています。

その他の選択肢は以下のとおりです。

2→「欧米でも日本でも19世紀末」というのが誤りです。「福祉国家」という言葉は1928年スウェーデンの社会大臣グスタフ・メッレルが選挙のチラシで使っているという記録があります。1941年イギリスのウィリアム・テンプルが著書『市民と聖職者』の中で使っています。日本で福祉国家といえるような具体的政策が出てきたのは1973年田中首相のときの福祉元年といわれたときからです。

3→「福祉国家」を実現するには、年金や保健、医療などの「給付的な手段」と労働基準や権利擁護などの「規制的な手段」の2つがなければなりません。よって、誤りです。

4→「社会民主主義レジーム」という部分が誤りで、「自由主義的福祉レジーム」です。

5→現代の福祉国家で求められている対応は「脱工業化社会(消費社会)」への対応です。

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03

正答【1】

1.正答
マーシャルのシチズンシップの三要素です。
市民的権利(自由権・平等権・財産権)、政治的権利(選挙権・被選挙権)、社会的権利(教育を受ける権利・最低限の生活を送る権利)

2.誤答
福祉国家における社会保障の基本的な体制は、18世紀~20世紀の間の社会変化に伴って徐々に形成されています。日本においても社会保障の基本的な体制は20世紀に入ってからです。

3.誤答
福祉国家においても労働基準法や擁護権利など人々の行為の禁止や障害者の雇用を奨励するなど規則的手段は取っています。

4.誤答
福祉が生産され、それが国家、市場、家族の間に配分される総合的なあり方としての「福祉レジーム」の違いで福祉国家の類型を決定するとしています。

福祉ジレームは 3 つに分類されます。「自由主義レジーム(市場の役割が大きい)」「社会民主主義レジーム(国家の役割が大きい)」「保守主義レジーム(家族や職域の役割が大きい)」

https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/12/dl/1-04.pdf

5.誤答
現在では、工業化からサービス業へ「脱工業化」に変化しつつあります。

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