精神保健福祉士の過去問
第17回(平成26年度)
心理学理論と心理的支援 問90

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問題

第17回(平成26年度) 精神保健福祉士国家試験 心理学理論と心理的支援 問90 (訂正依頼・報告はこちら)

防衛機制に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
  • あるつらい体験をした。その後、その体験に関する記憶があいまいになった。これを退行という。
  • 飛行機事故をいつも心配していた。しかし、事故の確率は極めて低いと考え、不安な気持ちを静めた。これを取り入れという。
  • 自分の欲しかったものが手に入らず悔しかった。それで、あんなものは大した価値がないと思い気持ちを落ち着けた。これを抑圧という。
  • 競争心が高まりライバルを攻撃したくなった。しかし、それは不適切だと感じ、ボクシングの練習で気持ちを解消した。これを昇華という。
  • ある友人に批判的な気持ちになった。しかし、そんな気持ちは不適切だと思い、逆に優しい言葉をかけた。これを合理化という。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は「競争心が高まりライバルを攻撃したくなった。しかし、それは不適切だと感じ、ボクシングの練習で気持ちを解消した。これを昇華という。」です。

選択肢1. あるつらい体験をした。その後、その体験に関する記憶があいまいになった。これを退行という。

退行とは、おしゃぶりや甘えなど、逆行する発達段階の行動をとることをいいます。つらい体験の後、その記憶があいまいになるのは、抑圧です。

選択肢2. 飛行機事故をいつも心配していた。しかし、事故の確率は極めて低いと考え、不安な気持ちを静めた。これを取り入れという。

取り入れとは、他者の振る舞いを自分の中に取り入れることです。同一化、同一視も取り入れに含まれます。選択肢の内容は知性化です。

選択肢3. 自分の欲しかったものが手に入らず悔しかった。それで、あんなものは大した価値がないと思い気持ちを落ち着けた。これを抑圧という。

抑圧とは、容認しがたい感情や欲求を意識下に抑えつけ、無意識の状態に近づけることです。選択肢の内容は合理化です。

選択肢4. 競争心が高まりライバルを攻撃したくなった。しかし、それは不適切だと感じ、ボクシングの練習で気持ちを解消した。これを昇華という。

昇華とは、高まる欲求を他の形で発散することです。ボクシングの練習で攻撃したくなる気持ちを解消することは昇華です。

選択肢5. ある友人に批判的な気持ちになった。しかし、そんな気持ちは不適切だと思い、逆に優しい言葉をかけた。これを合理化という。

合理化は、もっともらしい理由づけを行うことです。選択肢の内容は反動形成です。

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02

正解は「競争心が高まりライバルを攻撃したくなった。しかし、それは不適切だと感じ、ボクシングの練習で気持ちを解消した。これを昇華という。」です。

選択肢1. あるつらい体験をした。その後、その体験に関する記憶があいまいになった。これを退行という。

誤答
受け入れがたい体験や認められない感情や欲求などを意識に現れないように抑えるとそれらの記憶が曖昧になり心の安定が得られる、という心のメカニズムは抑圧です。
退行とは、許容できない衝動を適切な対応で処理するのではなく、自我を初期の発達段階に戻してしまうことです。

選択肢2. 飛行機事故をいつも心配していた。しかし、事故の確率は極めて低いと考え、不安な気持ちを静めた。これを取り入れという。

誤答
飛行機事故の確率は極めて低いという知識に置き換えることで心の安定を図るのは知性化です。
取り入れは、自分の感情や思考を認められなかったり抵抗があるときに、自分の中に自分の以外の人を取り入れることで心の安定を図ることです。

選択肢3. 自分の欲しかったものが手に入らず悔しかった。それで、あんなものは大した価値がないと思い気持ちを落ち着けた。これを抑圧という。

誤答
自分の欲しかったものが手に入らず悔しいという思いを抑えるために、欲しかったものが価値がないものと思うことで心の安定を図るのは、自分にとって都合の良い言い訳をして正当化しようとする合理化です。

選択肢4. 競争心が高まりライバルを攻撃したくなった。しかし、それは不適切だと感じ、ボクシングの練習で気持ちを解消した。これを昇華という。

正答
ライバルを攻撃したいという社会的に制約される感情をボクシングに打ち込むという社会的に承認される行動に置き換えることを昇華といいます。

選択肢5. ある友人に批判的な気持ちになった。しかし、そんな気持ちは不適切だと思い、逆に優しい言葉をかけた。これを合理化という。

誤答
自分の思いと反対の行動をとるのは反動形成です。

参考になった数10

03

正解は「競争心が高まりライバルを攻撃したくなった。しかし、それは不適切だと感じ、ボクシングの練習で気持ちを解消した。これを昇華という。」です。

選択肢1. あるつらい体験をした。その後、その体験に関する記憶があいまいになった。これを退行という。

×これは、抑圧です。抑圧は、苦痛な感情や衝動、記憶を無意識に押さえ込むことです。退行は、以前の未熟な段階の行動に戻ることです。

選択肢2. 飛行機事故をいつも心配していた。しかし、事故の確率は極めて低いと考え、不安な気持ちを静めた。これを取り入れという。

×これは、取り入れではありません。
取り入れとは、他者の中にある感情や観念、価値観などを自分のもののように感じたり、受け入れたりすることを意味します。

選択肢3. 自分の欲しかったものが手に入らず悔しかった。それで、あんなものは大した価値がないと思い気持ちを落ち着けた。これを抑圧という。

×これは、合理化です。合理化は、社会的に認めがたい理由を隠して、自分の気持ちを正当化するような理由づけをすることです。

選択肢4. 競争心が高まりライバルを攻撃したくなった。しかし、それは不適切だと感じ、ボクシングの練習で気持ちを解消した。これを昇華という。

○性的な欲求や攻撃欲求など社会的に認めがたい欲求を、社会に受け入れられるような表現に置き換えて行動することを、昇華といいます。

選択肢5. ある友人に批判的な気持ちになった。しかし、そんな気持ちは不適切だと思い、逆に優しい言葉をかけた。これを合理化という。

×合理化は、社会的に認めがたい理由を隠して、自分の気持ちを正当化するような理由づけをすることです。
反動形成は、衝動や感情と正反対の態度や行動をとることを言います。ある友人に批判的な気持ちになったときに、「無意識的に」逆に優しい言葉を掛けることをしたり、過度に強迫的に優しい言葉を掛ける不自然さが出てきたら反動形成と言えるでしょう。
 

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