精神保健福祉士の過去問
第18回(平成27年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問46
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問題
第18回(平成27年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問46 (訂正依頼・報告はこちら)
統合失調症の息子(30歳)のいるKさんは、1年前から保健所のL精神保健福祉相談員の紹介で地域の家族会に参加するようになった。ある日、KさんはL精神保健福祉相談員に家族会での印象的な出来事を以下のように語った。「私は息子のできなくなったことばかりが気になって、いつもイライラして厳しく当たっていました。主治医から病気の症状によるものだと聞いても受け入れられませんでした。ところがあるご家族が『病気になって一番つらいのは本人です。親にできることはそのつらさに寄り添い、本人をそのまま認めてあげること』と話していたのを聞いて、息子の苦労や大変さが感じ取れるようになってきたのです。私も親として、病気を抱えながら頑張っている息子の一番の理解者になってあげたいと思いました」。
次のうち、セルフヘルプグループの特性の中で、Kさんの語りが示すものとして、適切なものを1つ選びなさい。
次のうち、セルフヘルプグループの特性の中で、Kさんの語りが示すものとして、適切なものを1つ選びなさい。
- ヘルパーセラピー原則
- わかちあい
- 体験的知識の活用
- レジリエンス(resilience)
- 役割モデルの獲得
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この過去問の解説 (3件)
01
1:ヘルパーセラピー原則は、「他者を援助する者が最も援助を受ける」ことを指します。つまり、セルフヘルプグループに参加し、他のメンバーを援助することで、援助している者が自らの問題に向き合えるようになったり、人の役に立っているという自信を持つことで、自尊心を回復できるようになったりすることをいいます。事例の中のKさんは、他のメンバーを援助してはいませんので、誤りです。
2:セルフヘルプグループでは、同じ悩みや不安を持ち、同じ辛さを抱えた者同士で、気持ちや情報や考え方のわかちあいを行います。わかちあいを通して、問題解決のヒントを得たり、考え方を改めたりしていきます。事例のKさんは、家族会のある家族の話しを聞くことで、家族の気持ち、情報および考え方を受け入れることができました。Kさんにとって、ある家族との出会いは、モデルとなる家族との出会いです。これは役割モデルの獲得となりますので、誤りです。
3:事例のKさんは、ある家族の体験的知識(体験を通じて得た情報やものの見方や考え方)を聞くことで、今後は統合失調症の息子の一番の理解者となりたいという思いを得ましたが、具体的な活用をする前段階だと思われますので誤りです。
4:レジリエンスは、精神科領域では、精神疾患を発病させない防御力や抵抗力、精神疾患を治す回復力を意味します。この事例では、Kさんは、ある家族の話を聞いて力を得ています。直接的なレジリエンスの作用ではありませんので、誤りです。
5:事例のKさんは、セルフヘルプグループへの参加を通して、モデルとなるある家族と出会い、これからの方向性を見出すことができました。Kさんが役割モデルを獲得したと言えますので、正解です。
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02
1.ヘルパーセラピー原則は、「援助をする側が最も援助を受ける」ことを言います。事例では、まだ母親が援助をする様子はありませんので、適切な回答とはいえません。
2.わかちあいとは、自身の苦労や大変さを他の同じような境遇にある人と共有することです。事例において、Kさんの家族としての心情を分かち合ったという内容は読み取れませんので適切とはいえません。
3.体験的知識の活用とは、セルフヘルプグループで体験した知識を活用することです。事例では、Kさんはまだ得た知識を活用していないため、適切な回答とはいえません。
4.レジリエンスとは、精神的な回復能力のことです。事例とは関係ありません。
5.「私も親として、病気を抱えながら頑張っている息子の一番の理解者になってあげたいと思いました」という箇所が、そういう役割を担いたいという、役割モデルの獲得にあたります。正解は5です。
1.ヘルパーセラピー原則は、「援助をする側が最も援助を受ける」ことを言います。事例では、まだ母親が援助をする様子はありませんので、適切な回答とはいえません。
2.わかちあいとは、自身の苦労や大変さを他の同じような境遇にある人と共有することです。事例において、Kさんの家族としての心情を分かち合ったという内容は読み取れませんので適切とはいえません。
3.体験的知識の活用とは、セルフヘルプグループで体験した知識を活用することです。事例では、Kさんはまだ得た知識を活用していないため、適切な回答とはいえません。
4.レジリエンスとは、精神的な回復能力のことです。事例とは関係ありません。
5.「私も親として、病気を抱えながら頑張っている息子の一番の理解者になってあげたいと思いました」という箇所が、そういう役割を担いたいという、役割モデルの獲得にあたります。
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03
1.ヘルパーセラピー原則は、ガートナーとリースマンが「援助をする側が最も多くの援助を受ける」と提唱しました。Kさんの体験が他者に伝わることで他者を支え、そのやりとりでKさん自身を支えることにまでつながっていません。文面からセルフヘルプグループの特性とは読み取れません。
2.わかちあいとは、自身の思いや苦労など、同じ悩みや不安を持つ者同士で共有します。文面からは読み取れません。
3.体験的知識は、ボーグマン博士によると、セルフヘルプグループでは「共通の困難な状況の多様な場面を経てきた多くの人の体験の蓄積と交流が行われている」と主張しています。ここでいう知識とは、「問題を抱えて日常生活をどう生きるか」という意味での専門家の知識を指し、レビーらによると「取り扱う問題に関する一定の知恵を求めてメンバーが回復の秘伝を教える体型を持つ」としています。文面からは知識の伝達機能は読み取れず、体験的知識の活用には至っていいません。
4.レジリエンスとは、逆境、心的外傷体験など重大なストレスに適応する過程のことです。困難な体験からの「回復」を意味します。セルフヘルプグループの特性ではありません。
5.セルフヘルプグループで新しい参加者は、モデルになる人を見つけることによって、そのモデルの考えや行動を模倣し、役割モデルを獲得します。モデルから、自分と同じような問題を抱えながらその問題に対処している態度や方法を吸収することができます。
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