精神保健福祉士の過去問
第18回(平成27年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問58

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問題

第18回(平成27年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問58 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで、問題について答えなさい。

〔事 例〕
Gさん(30歳、女性)は18歳で統合失調症を発症し、入院を経験しながらも、25歳で農業大学校を卒業して、父親が代表を務める農業法人でいちご加工部門を担当している。受診は継続し、時には周りのことや対人関係が気になることもあるが、自分で対処できるようになってきた。
受診先のH精神保健福祉士はGさんの初診時から何かと相談に乗っていた。3年前に「仕事そのものには自信がついてきたけれど、商談や仕事関係の会合はやはり疲れる。どこか引け目を感じ、病気のせいかなとか思ってしまう」と相談された際は、交流を目的に発足したばかりの当事者活動グループを紹介した。(※1)

Gさんは当事者活動の中で、精神保健ボランティア講座の企画・実施に加わり、自分の体験談を話す機会を得てから、次第にグループの中心メンバーになっていった。
「メンバーが増えない。活動への参加者が減ってきて、いつも同じメンバーしか参加しない」などグループ活動の悩みを相談されたH精神保健福祉士は、社会福祉専門職団体の連絡会でも当事者活動の支援が課題となっていたこともあり、Gさんと話合いを重ねた。その中から、様々な当事者活動の交流会を開催したらどうかというアイデアが生まれ、昨年春にはいくつかの当事者活動グループに社会福祉専門職団体が協力して当事者活動交流会を開催した。(※2)

交流会の実行委員を務めたGさんは、そこで難病家族会のメンバーJさんと知り合った。Jさんは農学部出身ということもあって話が合い、交際が始まり、最近婚約した。Jさんの横で「また調子を崩すんじゃないかと不安はある。自分を大切にして、これからもチャレンジしていきたい。もうひとりじゃないし」とH精神保健福祉士に語るGさん。その場でGさんとJさんから、障害者が中心となって障害者だけでなく地域にも貢献できる新しい活動を始めたいという夢がH精神保健福祉士に語られた。そこでH精神保健福祉士は、各地の情報や経験を集めながら何が自分たちの暮らしや地域に役立つのか、ゆっくりと一緒に考えていこうと提案し、二人も頷いた。(※3)


次の記述のうち、この(※1)時点でH精神保健福祉士が行ったGさんへの支援の目的として、適切なものを1つ選びなさい。
  • コミュニケーションスキルを身につける。
  • 対人緊張への対処法を学ぶ。
  • 別の働きやすい職場を創り出す。
  • 自信を取り戻す機会を提供する。
  • グループをまとめる力を獲得する。

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この過去問の解説 (4件)

01

選択肢の内容と、Gさんの様子を比較していきます。

選択肢1と2は、コミュニケーションについては、冒頭に対人関係が気になることもあるが、対処してきたと記載されており、不安要素は少ないと思われます。交流会で中心となって活動したり、体験談を話すことができたりとその部分をピックアップしたアプローチの必要性は低いです。

選択肢3は、文章から、職場事態に不満があるわけではありません。

選択肢4は、やはり病気のコントロールに不安があり、調子を崩すかもしれないと思っていることから、夢に向かって動き出せる力として自信を取り戻す機会を与えるのは効果的です。

選択肢5は、交流会の中心的存在であったことから、ある程度まとめる力はあったと推測されます。

以上により、選択肢4が適切です。

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02

正解は4です。

1.「周りのことや対人関係が気になることもあるが、自分で対処できるようになってきた。」と事例にあることから、コミュニケーションスキルは身につけていると判断できます。

2.「周りのことや対人関係が気になることもあるが、自分で対処できるようになってきた。」と事例にあることから、対人緊張への対処法はできていると判断できます。

3.「仕事そのものには自信がついてきた」と事例にあることや、当事者活動グループは職場を創り出す場ではないことから、支援目的として適切とはいえません。

4.「仕事そのものには自信がついてきた」とあるものの、「どこか引け目を感じ」とコミュニケーション面での自信のなさが読み取れることから、自信を取り戻す機会を提供することは、支援目的として適切です。

5.「商談や仕事関係の会合はやはり疲れる」とあるものの、グループをまとめる力が不足しているという情報を事例から読み取れないため、適切な支援目的とはいえません。

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03

正解は4です。

1:Gさんの現状は、「時には周りのことや対人関係が気になることもあるが、自分で対処できるようになってきた。」とあります。このことよりGさんはコミュニケーションスキルを身につけており、コミュニケーションスキルについての困り感は見られません。よって、コミュニケーションスキルを身につける。は不適切です。

2:対人緊張への対処についても、「時には周りのことや対人関係が気になることもあるが、自分で対処できるようになってきた。」の表記よりGさん自身で
対処できると考えられますので、対人緊張への対処法を学ぶ。は不適切です。

3:「仕事そのものには自信がついてきた」というGさんの現状の表記もあり、別の職場で働きたいというニーズは見られません。よって別の働きやすい職場を創り出す。は不適切です。

4:「商談や仕事関係の会合はやはり疲れる。どこか引け目を感じ、病気のせいかなとか思ってしまう。」というGさんの発言より、Gさんの病気による不安や自信喪失が読み取れます。同じような悩みや不安を抱えた当事者との交流を通して、Gさんの不安の解消や自信の回復が期待できます。よって自信を取り戻す機会を提供する。は適切です。

5:事例より、Gさんのグループをまとめる力の不足やグループをまとめる力をつけなければならないというニーズは読み取れません。よってグループをまとめる力を獲得する。は不適切です。

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04

Gさんの状況を確認していくと、周りの状況や対人関係が気になることもあるが、自分で対処できるようなってきたといいます。
今回の主訴は「仕事には自信がついてきた」、「会合はつかれる」、「どこか引け目を感じてしまい、病気のせいかなと思ってしまうこと」です。

このことを踏まえて選択肢を検討します。

1:自分で対処できるようになっていることから、支援の目的としては適当ではありません。

2:対人緊張はするものの、自分で対処できるようになってきた、ということから、こちらも適切とは言えません。

3:働きやすい場が変わっても、引け目を感じることは否定できません。これも適切ではありません。

4:仕事そのものへの自信もつき始め、対人関係についても自分で対処できるようになってきており、さらなる自信を強化する機会を作り出すことは、支援として適切といえるでしょう。

5:グループをまとめるということは、ここまでの主訴とは関係がないことから、支援として適切ではありません。

よって、正解は4です。

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