精神保健福祉士の過去問
第18回(平成27年度)
精神保健福祉に関する制度とサービス 問70
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
第18回(平成27年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉に関する制度とサービス 問70 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事 例〕
当時20歳代のAさん(男性)は、統合失調症の診断で精神科のX病院に市長の同意による入院となった。Aさんが入院する前年、高度経済成長の最中、東京オリンピックが開催され、その数か月前には駐日アメリカ大使ライシャワー氏が精神障害のある少年に刺されるという事件があり、精神科医療が大きく揺れた年でもあった。(※1)
Aさんは、身寄りもなく、生活保護を受けながら入院生活を送ることになった。その後Aさんは院内作業をするなどしていたが、外出は一度もすることがなかった。Aさんは元々真面目な性格でおとなしく、病棟スタッフからも信頼を得て、病棟患者会での役割を受け持つなどして過ごした。そしてAさんは、閉鎖病棟で地域社会とは関わりのないまま20年余りの歳月が流れた。このような中で宇都宮病院事件が起きたことを契機に法改正が行われた。そこで40歳代になったAさんは、新しい入院形態について説明を受けた。Aさんが入院に同意をすると、入院に関する告知とともに新しい入院形態に変更された。(※2)
その後、退院する気持ちが強くなったAさんは、他人の手を借りるのは申し訳ないと、入院形態を変更した1年後には自らアパートを探して退院した。退院後、Aさんは、生活が次第に乱れ外来通院も滞りがちとなり、半年後には再入院となった。Aさんはすっかり自信を失っていた。Aさんの担当となったBソーシャルワーカーは、4年がかりで再びAさんのアパート暮らしに対する希望を引き出した。Bソーシャルワーカーは、50歳代になったAさんの状況について一人暮らしは難しいが見守りがあれば地域での生活は可能であると判断した。Bソーシャルワーカーは、保健所のC相談員に相談したところ、これまで予算措置として実施されていた制度がこの時点で法定化したこともあり、それを活用しようという話になった。(※3)
現在、Aさんは70歳代になったが、地域での生活が継続している。
(※1)次のうち、Aさんが入院するに当たり適用された法律として、正しいものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
当時20歳代のAさん(男性)は、統合失調症の診断で精神科のX病院に市長の同意による入院となった。Aさんが入院する前年、高度経済成長の最中、東京オリンピックが開催され、その数か月前には駐日アメリカ大使ライシャワー氏が精神障害のある少年に刺されるという事件があり、精神科医療が大きく揺れた年でもあった。(※1)
Aさんは、身寄りもなく、生活保護を受けながら入院生活を送ることになった。その後Aさんは院内作業をするなどしていたが、外出は一度もすることがなかった。Aさんは元々真面目な性格でおとなしく、病棟スタッフからも信頼を得て、病棟患者会での役割を受け持つなどして過ごした。そしてAさんは、閉鎖病棟で地域社会とは関わりのないまま20年余りの歳月が流れた。このような中で宇都宮病院事件が起きたことを契機に法改正が行われた。そこで40歳代になったAさんは、新しい入院形態について説明を受けた。Aさんが入院に同意をすると、入院に関する告知とともに新しい入院形態に変更された。(※2)
その後、退院する気持ちが強くなったAさんは、他人の手を借りるのは申し訳ないと、入院形態を変更した1年後には自らアパートを探して退院した。退院後、Aさんは、生活が次第に乱れ外来通院も滞りがちとなり、半年後には再入院となった。Aさんはすっかり自信を失っていた。Aさんの担当となったBソーシャルワーカーは、4年がかりで再びAさんのアパート暮らしに対する希望を引き出した。Bソーシャルワーカーは、50歳代になったAさんの状況について一人暮らしは難しいが見守りがあれば地域での生活は可能であると判断した。Bソーシャルワーカーは、保健所のC相談員に相談したところ、これまで予算措置として実施されていた制度がこの時点で法定化したこともあり、それを活用しようという話になった。(※3)
現在、Aさんは70歳代になったが、地域での生活が継続している。
(※1)次のうち、Aさんが入院するに当たり適用された法律として、正しいものを1つ選びなさい。
- 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
- 精神病者監護法
- 精神保健法
- 精神衛生法
- 精神病院法
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (4件)
01
「Aさんが入院する前年、高度経済成長の最中、東京オリンピックが開催され」の問題文の記述よりAさんの入院となった年が1965年であるとわかります。(東京オリンピックは1964年開催です。)
1:精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)は、1995年の制定です。Aさんの入院時にはまだ制定されていませんので誤りです。
精神保健福祉法では、医療の枠組みに置かれていた精神障害者が福祉の対象として位置付けられました。
2:精神病者監護法は、1900年に制定された法律で、1950年の精神衛生法の制定時に廃止されました。Aさんの入院時以前に廃止されていますので誤りです。
精神病者監護法では、精神病者の監護義務者を定め精神病者の私宅や精神病院への監置を認めました。
3:精神保健法は、1987年に制定されました。Aさんの入院時にはまだ制定されていませんので誤りです。
精神保健法では、宇都宮病院事件(1984年 宇都宮病院職員による入院中の精神病患者への傷害致死事件)の反省を活かし、精神病患者への権利擁護や適正な精神科医療の確保を目指しました。
4:精神衛生法は、1950年に制定され1987年の精神保健法制定時に廃止されました。Aさんの入院は1965年です。この法律の施行時ですので正解です。
精神衛生法は、1964年に起きたライシャワー駐日米国大使刺傷事件により1965年に改正がありました。社会防衛・治安維持的な要素が強くなりましたが、通院医療費公費負担制度や緊急措置入院制度の創設などもあり精神障害者にとっての利点もありました。
5:精神病院法は、1919年に制定され1950年に廃止されました。Aさんの入院時以前に廃止されていますので誤りです。
精神病院法では、公共の責任で都道府県が精神病院を設置することが明示されました。
参考になった数45
この解説の修正を提案する
02
Aさんが入院する前年に、東京オリンピックが開催され、ライシャワー事件が起こったということですので、Aさんが入院したのは、1965年の翌年の1966年といえます。各法律の経過は次の通りであるため、Aさんが入院するに当たって適用された法律は4の精神衛生法となります。
1900(明治33年)精神病者監護法の制定
1919(大正8年) 精神病院法の制定
1950(昭和25年)精神衛生法の制定
1987(昭和62年)精神保健法に改称
1995(平成7年) 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)に改称
参考になった数26
この解説の修正を提案する
03
1:精神保健及び精神障害者福祉に関する法律は、1995年に制定されています。
2:精神病者監護法は、1900年に施行された法律で、わが国初の精神障害者に関する法律です。
3:精神保健法は、1987年に制定された法律で、この法律により、任意入院制度や精神保健指定医制度、人権擁護や不服申立制度の創設など、精神衛生法から大幅に改正された法律です。
4:精神衛生法は、1950年に制定され、それまで存続していた、精神病者監護法や精神病院法は廃止され、同意入院制度を新たに設けた法律です。
5:精神病院法は、1919年に施行された法律で、精神科病院の設置を促進し、社会的な治安対策を進めることを意図した法律です。
以上のことから、正解は4です。
参考になった数10
この解説の修正を提案する
04
これは1964年のライシャワー事件を指しており、その翌年に精神衛生法の一部改正が行われました。
内容としては保健所の精神衛生業務の明確化、精神衛生センターの設置、通院医療費公費負担制度の制定があります。
参考になった数10
この解説の修正を提案する
前の問題(問69)へ
第18回(平成27年度)問題一覧
次の問題(問71)へ