精神保健福祉士の過去問
第18回(平成27年度)
現代社会と福祉 問103
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問題
第18回(平成27年度) 精神保健福祉士国家試験 現代社会と福祉 問103 (訂正依頼・報告はこちら)
ロールズ(Rawls、 J.)が『正義論』で主張した格差原理に関する記述として、適切なものを1つ選びなさい。
- 機会の平等が保障されれば、自由市場経済による資源配分は、正義にかなう。
- 個人の満足の総和を社会全体で最大化させるような資源配分は、正義にかなう。
- 消費税は資源配分を歪めないため、正義にかなう。
- 最も恵まれない人が有利となるような資源配分は、正義にかなう。
- 公共財の提供に政府が介入することは、正義にかなう。
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この過去問の解説 (4件)
01
ロールズの正義論では、資源配分の在り方がどのようであれば正義にかなうかを論じています。まず第1原理である言論の自由や政治的自由などの「自由が保障されている事」その上で第2原理である「機会均等原理と格差原理」が満たされれば正義にかなうと主張しています。「機会均等原理」とは社会的または経済的な不平等を機会の平等を図りながら、最も恵まれない状況にある人々の利益を最大化する事です。「格差原理」とは最も恵まれない人々の利益の最大化のために生じる不平等は正当であるとする原理です。
1:自由市場経済では、競争に勝った者は富み、負けた者は貧しいという格差が生まれます。最も恵まれない人々への利益の最大化を図る事は必ずしも行われませんので、誤りです。
2:個人の満足の総和を社会全体で最大化させるような資源配分は、最も恵まれない貧困な人々があろうとも、非常に恵まれた富裕な人々との総和で、社会全体の富を最大化させる事が可能です。個人の状況は考慮されず、最も恵まれない人々の利益も考慮されませんので誤りです。
3:消費税は、富裕者、貧困者にかかわらず、消費者すべてに一律の税の負担を求めます。最も恵まれない人々への考慮がありませんので誤りです。
4:最も恵まれない人々が有利となるような資源配分は、ロールズの第2原理に合致しますので正解です。
5:最も恵まれない人々の利益の最大化を実現していなければ、公共財の提供に政府が介入しても正義にかないませんので誤りです。
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02
ロールズが主張した格差原理は、最も不遇な人々の期待を最大限に高めることを目的としています。平等に扱うことではありません。
1.機会の平等は目的とされていないので、適切とはいえません。
2.個人の満足の総和は、最も不遇な人々の期待が反映されているとは限らないので、適切とはいえません。
3.消費税は消費者から平等に税を取るという考え方ですので、適切とはいえません。
4.最も恵まれない人が有利となるような資源配分は、最も不遇な人々の期待を最大限に高めるといえますので、適切といえます。
5.最も不遇な人々が利用しづらい公共財も存在するため、公共財の提供に政府が介入するという表現だけでは適切とはいえません。
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03
ロールズ(Rawls,J.)が『正義論』で主張した格差原理とは、弱者に対しての利益を最大化する方法を指します。
今回は「格差原理」と「効率性原理」を区別して考えるといいでしょう。
1× 自由市場経済による資源配分は「効率性原理」に当たります。
2× 個人の満足の総和を社会全体で最大化させるような資源配分は「効率性原理」です。
3× 消費税は社会的な弱者にも課される税であるため、格差原理には当てはまりません。
4〇 正しいです。
5× 公共財に政府が介入すると、対価を支払えない弱者を排除することになるので、間違いです。
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04
ロールズは、「最も不遇な人々の期待を最大限に高める」ことを目的とする原理を提案しました。
1→「機会の平等」ではなく、最も不遇な人々を指標とするのがロールズの考え方です。
2→「個人の満足の総和」ではなく、最も不遇な人とされる人たちの期待を高めることを重視しています。
3→消費税は資源配分を歪めるものと考えられます。
4→ 「最も恵まれない人が有利となるような資源配分は、正義にかなう」これはロールズの考え方として適切です。
5→政府が介入することは、最も不遇な人々の期待を最大限に高めることに結び付きません。
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