精神保健福祉士の過去問
第18回(平成27年度)
現代社会と福祉 問104
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問題
第18回(平成27年度) 精神保健福祉士国家試験 現代社会と福祉 問104 (訂正依頼・報告はこちら)
イギリスにおける貧困対策の歴史に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 新救貧法(1834年制定)は、劣等処遇の原則を否定した。
- 慈善組織協会(COS、1869年設立)は、救済に値する貧民に対する立法による救済を主張した。
- ブース(Booth、 C.)は、ロンドン貧困調査から「貧困線」という概念を示した。
- 老齢年金法(1908年成立)は、貧困高齢者に、資力調査なしで年金を支給した。
- ウェッブ夫妻(Webb、 S. & B.)は、「社会保障計画」を提唱した。
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この過去問の解説 (4件)
01
1:「劣等処遇の原則」は、救済されている貧民の生活レベルは、救済を受けることなく自活している勤労者よりも低いレベルでなければならないという原則です。新救貧法では劣等処遇の原則を徹底しました。よって誤りです。
2:慈善組織協会は、救済に値する貧民に対して、立法による救済を主張したのではなく、訪問や面接などの慈善活動による救済を行いました。よって誤りです。
3:ブースは、ロンドン市民の貧困調査を実施し、ロンドン市民を八つの階級に分け、下の4階級を貧困線より下の貧困層であるとしました。ブースは、ロンドン貧困調査より貧困線という概念を示していますので正解です。
4:老齢年金法は、70歳以上の老人へ資力調査を行った上で年金の支給をしました。よって誤りです。
5:ウェッブ夫妻は、国家が国民に対して保障するべき必要最低限度の生活(ナショナルミニマム)を主張しました。「社会保障計画」は、ベバリッジ報告において示された第二次世界大戦後のイギリスにおける社会保障の計画です。よって誤りです。
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02
1.新救貧法は、劣等処遇の原則を採用しました。
2.慈善組織協会は、立法による救済ではなく、個別の訪問指導活動による救済を行いました。
3.ブースは、ロンドン貧困調査から「貧困線」という概念を示しました。
4.老齢年金法では、70歳以上の低所得者に年金を支給していたため、資力調査は行われていました。
5.ウェッブ夫妻が提唱したのはナショナル・ミニマムです。社会保障計画はベヴァリッジが報告しました。ナショナル・ミニマムの考え方は社会保障計画に反映されていますが、ウェッブ夫妻が提唱したものではありません。
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03
1→新救貧法(1834年制定)は、劣等処遇の原則を適用しました。
2→ 慈善組織協会(COS、1869年設立)は、立法による救済ではなく民間慈善事業により救済を主張しました。
3→ブース(Booth、 C.)は、ロンドン貧困調査から「貧困線」という概念を示しました。
4→老齢年金法(1908年成立)は、道徳的欠陥のない70歳以上の低所得者に税方式で年金を支給しました。
5→ウェッブ夫妻(Webb、 S. & B.)は、「ナショナル・ミニマム」を提唱しました。社会保障計画は、「ベバリッジ報告」の中で提唱されたものです。
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04
イギリスにおける貧困対策の歴史は1601年のエリザベス救貧法から始まっています。
この系統の問題は頻出なので、歴史の流れを理解しましょう。
1× 1601年からのエリザベス救貧法にあった「劣等処遇の原則」を全国的に徹底することで、救済者を制限しようとしました。
2× 立法が間違いです。COSは民間の組織であり、市民を活用した救済を行っていました。
3〇 正しいです。
同時期に行われたラウントリー調査では、ブースの貧困線を用いて第1次・第2次貧困線を明確にした事もおさえておきましょう。
4× 資力調査なしで支給はしていません。
所得が低いと認められた高齢者に受給資格があります。
5× 社会保障計画ではなく、正しくは「ナショナルミニマム」です。
ウェッブ夫妻はエリザベス救貧法を否定する立場を取り、国民に対して保障する生活の最低限度(ナショナルミニマム)を提唱しました。
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