精神保健福祉士の過去問
第18回(平成27年度)
現代社会と福祉 問106

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問題

第18回(平成27年度) 精神保健福祉士国家試験 現代社会と福祉 問106 (訂正依頼・報告はこちら)

貧困・所得格差に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
  • OECDにおける相対的貧困率は、等価可処分所得の平均値の50%未満の所得層が全人口に占める比率を指す。
  • ジニ係数の値が1に近いほど、所得格差は小さい。
  • 平均所得の実質額が低下し、ジニ係数の値が上昇すれば、社会の構成員の満足の総和は上がる。
  • 「平成25年国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると、「子どもがいる現役世帯」のうち、「大人が一人」の世帯員では、相対的貧困率は50%を超える。
  • 「平成25年国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると、1997年(平成9年)以降、相対的貧困線の実質値は一貫して上昇している。

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この過去問の解説 (4件)

01

正解は「「平成25年国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると、「子どもがいる現役世帯」のうち、「大人が一人」の世帯員では、相対的貧困率は50%を超える。」です。

選択肢1. OECDにおける相対的貧困率は、等価可処分所得の平均値の50%未満の所得層が全人口に占める比率を指す。

OECD(経済協力開発機構)における相対的貧困率

は、等価可処分所得が全人口の中央値の50%未満の世帯員を相対的貧困者としています。平均値ではなく中央値の半分を下回っている人の割合です。よって誤りです。

等価可処分所得とは、世帯の可処分所得(収入の総額から税金や社会保険料を差し引いた手取り収入)を世帯人数の平方根で割って算出します。

選択肢2. ジニ係数の値が1に近いほど、所得格差は小さい。

ジニ係数とは、所得や資産の格差をはかる尺度の一つです。0から1までの値をとり、平等であれば0に近づき不平等であれば1に近づきます。所得格差が小さいと0に近づきますので誤りです。

選択肢3. 平均所得の実質額が低下し、ジニ係数の値が上昇すれば、社会の構成員の満足の総和は上がる。

平均所得の実質額の低下は、社会全体で使える所得の減少を意味します。そのため社会全体の満足度は低下します。またジニ係数の上昇は、格差の広がりを示し、貧困層の満足度のさらなる低下が起こります。よって誤りです。

選択肢4. 「平成25年国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると、「子どもがいる現役世帯」のうち、「大人が一人」の世帯員では、相対的貧困率は50%を超える。

「平成25年国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると、「子どもがいる現役世帯」のうち、「大人が一人」の世帯員での相対的貧困率は、平成24年で54.6%です。昭和60年から平成24年まで貧困率の年次推移のデータ(3年おきの実施)をみても、すべて50%を超えています。よって正解です。

※2018年(平成30年)以降は50%を下回っています。

2018年:48.3%、2021年:44.5%

参考:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A7%E5%9B%B0%E7%B7%9A

選択肢5. 「平成25年国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると、1997年(平成9年)以降、相対的貧困線の実質値は一貫して上昇している。

「平成25年国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると、1997年(平成9年)の相対的貧困線の実質値は130万円で、その後はずっと低下しており2012年(平成24年)は111万円です。よって誤りです。

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02

正解は「「平成25年国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると、「子どもがいる現役世帯」のうち、「大人が一人」の世帯員では、相対的貧困率は50%を超える。」です。

選択肢1. OECDにおける相対的貧困率は、等価可処分所得の平均値の50%未満の所得層が全人口に占める比率を指す。

相対的貧困率は、等価可処分所得の平均値ではなく、中央値で測られます。

選択肢2. ジニ係数の値が1に近いほど、所得格差は小さい。

ジニ係数の値は、1に近いほど所得格差が大きく、0に近いほど小さくなります。

選択肢3. 平均所得の実質額が低下し、ジニ係数の値が上昇すれば、社会の構成員の満足の総和は上がる。

ジニ係数の値が上昇すれば、所得格差が広がります。平均所得の実質額が低下している状況では、格差に不満を持つ人が増えると予想されますので、社会の構成員の満足の総和は下がるといえます。

選択肢4. 「平成25年国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると、「子どもがいる現役世帯」のうち、「大人が一人」の世帯員では、相対的貧困率は50%を超える。

「平成25年国民生活基礎調査」によると、「子どもがいる現役世帯」のうち、「大人が一人」の世帯員では、相対的貧困率は平成24年で54.6%と50%を超えています。なお「平成28年国民生活基礎調査」の平成27年の値においても50.8%と50%を超えています。

※2018年(平成30年)以降は50%を下回っています。

2018年:48.3%、2021年:44.5%

参考:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A7%E5%9B%B0%E7%B7%9A

選択肢5. 「平成25年国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると、1997年(平成9年)以降、相対的貧困線の実質値は一貫して上昇している。

「平成25年国民生活基礎調査」によると、1997年(平成9年)以降、相対的貧困線の実質値は一貫して減少しています。なお「平成28年国民生活基礎調査」では、平成27年の実質値は確認できませんが、名目値は平成24年と同じ値になっており、減少傾向に変化が見られます。

参考になった数6

03

相対的貧困率に関する問題です。ジニ係数はよく出題されるワードです。

選択肢1. OECDにおける相対的貧困率は、等価可処分所得の平均値の50%未満の所得層が全人口に占める比率を指す。

× 等価可処分所得(実収入から非消費支出を引いた値)の平均値ではなく、正しくは「中央値」です。

選択肢2. ジニ係数の値が1に近いほど、所得格差は小さい。

× ジニ係数は0~1の値で示され、1に近いほど、所得格差は大きくなります。

選択肢3. 平均所得の実質額が低下し、ジニ係数の値が上昇すれば、社会の構成員の満足の総和は上がる。

× ジニ係数の値が上昇すれば格差が広がり、人々は信用しなくなるため、社会の構成員の満足の総和は下がります。

選択肢4. 「平成25年国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると、「子どもがいる現役世帯」のうち、「大人が一人」の世帯員では、相対的貧困率は50%を超える。

〇 正しいです。

母子・父子世帯などの「子どもがいる現役世帯」における「大人が一人」の世帯員は貧困率は54.6%となっています。

※2018年(平成30年)以降は50%を下回っています。

2018年:48.3%、2021年:44.5%

参考:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A7%E5%9B%B0%E7%B7%9A

選択肢5. 「平成25年国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると、1997年(平成9年)以降、相対的貧困線の実質値は一貫して上昇している。

× 相対的貧困線の実質値は上昇傾向にありますが、2000年(15.3%)から2003年(14.9%)の時に減少しています。

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04

正解は「「平成25年国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると、「子どもがいる現役世帯」のうち、「大人が一人」の世帯員では、相対的貧困率は50%を超える。」です。

選択肢1. OECDにおける相対的貧困率は、等価可処分所得の平均値の50%未満の所得層が全人口に占める比率を指す。

相対的貧困率とは、等価可処分所得の中央値の50%未満の所得層が全人口に占める比率のことをいいます。

選択肢2. ジニ係数の値が1に近いほど、所得格差は小さい。

ジニ係数は、社会における所得分配の不平等さを測る指標のことです。1に近づくほど所得格差が拡大していることを示します。

選択肢3. 平均所得の実質額が低下し、ジニ係数の値が上昇すれば、社会の構成員の満足の総和は上がる。

ジニ係数の値が上昇することで、社会の構成員の満足の総和が上がることに結び付くとは限りません。

選択肢4. 「平成25年国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると、「子どもがいる現役世帯」のうち、「大人が一人」の世帯員では、相対的貧困率は50%を超える。

「平成25年国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると、「子どもがいる現役世帯」のうち、「大人が一人」の世帯員では、相対的貧困率は50%を超えています。

※2018年(平成30年)以降は50%を下回っています。

2018年:48.3%、2021年:44.5%

参考:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A7%E5%9B%B0%E7%B7%9A

選択肢5. 「平成25年国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると、1997年(平成9年)以降、相対的貧困線の実質値は一貫して上昇している。

「平成25年国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると、1997年(平成9年)以降、相対的貧困線の実質値は減少していっています。

参考になった数4