精神保健福祉士の過去問
第18回(平成27年度)
権利擁護と成年後見制度 問156
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問題
第18回(平成27年度) 精神保健福祉士国家試験 権利擁護と成年後見制度 問156 (訂正依頼・報告はこちら)
Kさんは生活に困窮したため、2015年(平成27年)10月1日に福祉事務所で生活保護申請を行ったところ、同月14日に保護の要件を満たさないとして不支給決定がなされた。Kさんはこれを不服として審査請求を行ったが、同年12月1日にこれも棄却されたため、速やかに訴訟を提起することにした。
次のうち、訴訟に当たって選択すべき行政法上の訴訟類型として、適切なものを1つ選びなさい。
次のうち、訴訟に当たって選択すべき行政法上の訴訟類型として、適切なものを1つ選びなさい。
- 当事者訴訟
- 民衆訴訟
- 機関訴訟
- 取消訴訟
- 無効等確認訴訟
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この過去問の解説 (3件)
01
1:当事者訴訟とは、行政と一般の人が対等の立場の当事者として争う訴訟ですが、行政処分(の違法性)に対しての訴訟ではなく、権利そのものに対して訴訟を起こします。事例を見ると、Kさんが提起している訴訟は生活保護制度の内容など生活保護制度そのものに対するものではなく、生活保護の不支給決定と審査請求の棄却という行政処分に対してです。よって誤りです。
2:民衆訴訟とは、国や公共団体の機関の法規に適合しない行為を正すことを求める訴訟です。国民が選挙人である資格やその他の自己の法律上の利益に関わらない資格で提起する訴訟です。例として、選挙の当選訴訟や公金の不正な支出に対する訴訟があります。Kさんの訴訟は、個人の利益や権利を守るための訴訟ですので誤りです。
3:機関訴訟とは、国や公共団体の機関同士の権限の行使に関する紛争などについての訴訟です。事例では機関に対してKさん個人が提起した訴訟ですので誤りです。
4:取消訴訟とは、行政の処分や裁決に不服がある場合にその取消しを求める訴訟です。事例は、生活保護の不支給決定と審査請求の棄却という行政処分への不服による訴訟ですので正解です。
5:無効等確認訴訟とは、行政の処分や裁決の有効・無効等の確認を求める訴訟です。事例では、生活保護の不支給決定と審査請求の棄却に対する取消しを求める訴訟であり、行政処分の有効か無効かの確認を求める訴訟ではありませんので誤りです。
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02
1.行政庁の公権力の行使に対して不服を申し立てる訴訟を抗告訴訟といい、行政と対等の立場で法律や権利そのものについて起こす訴訟を当事者訴訟といいます。事例から読み取れる不服は、生活保護の仕組みそのものについての不服ではなく、生活保護の不支給決定と審査請求の棄却という公権力の行使に対する不服ですので、当事者訴訟は適切とはいえません。
2.民衆訴訟とは、自らが法律上の利益にかかわらなくとも、一般民衆や選挙人として客観的に訴えを起こすものです。事例からは、Kさんの個人的な権利利益の保護を目的とすることが読み取れるため、民衆訴訟は適切とはいえません。
3.機関訴訟とは、国や公共団体の機関どうしの訴訟です。事例では機関と個人の関係にあたるため、機関訴訟は適切とはいえません。
4.取消訴訟とは、行政庁の処分または裁決に不服がある場合に、その取消しを求める訴訟です。事例における不支給決定や審査請求の棄却という行政庁の処分への不服に対して取消訴訟は適切です。
5.無効等確認訴訟とは、処分や裁決について、存否や効力の有無の確認を求める訴訟です。事例で求められていることは、不支給決定や審査請求の有無や効力を確認することではなく取消しであるため、無効等確認訴訟は適切ではありません。
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03
主観訴訟とは、個人の権利利益を守ることを争う訴訟です。主観訴訟には、抗告訴訟と当事者訴訟があります。
客観訴訟とは、客観的な法秩序の適正維持を目的とするもので、個人の権利利益の保護を目的とするのではありません。客観訴訟には民衆訴訟と機関訴訟があります。
抗告訴訟には5つの種類がありますが、取消訴訟や無効等確認の訴えなどがあります。
取消訴訟は、決定された裁決を取り消しを求めて起こす訴訟です。裁決自体は有効の場合に行われます。
無効等確認の訴えは、決定された裁決に瑕疵があり、裁決自体がもともと無効であることを確認するための訴訟です。もともと無効である裁決のため、取消すという概念が存在しません。
1、当事者訴訟は、個人の利益保護を目的とますが、
対等な当事者間の訴訟ではないため、適切ではありません。
2、民衆訴訟は個人の利益保護を目的としないため適切ではありません。
3、機関訴訟は、個人の利益保護を目的としないため適切ではありません。
4、取消訴訟は、個人の利益保護を目的としており、本問での裁決は有効であるため、公権力である行政庁と個人間の訴訟のため、取消訴訟を起こすことが可能です。
5、無効等確認訴訟は、不支給決定に瑕疵がない場合には起こせないため、適切ではありません。
以上から、正解は4です。
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