精神保健福祉士の過去問
第19回(平成28年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問49
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問題
第19回(平成28年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問49 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、問いに答えなさい。
〔事 例〕
P市の保健福祉センターに勤務するJ精神保健福祉相談員(精神保健福祉士)の下に、Kさん(18歳、男性)の母親が相談に訪れた。一人息子のKさんが大学に入学したものの、「大学に行く気になれない」と言って自室にひきこもるようになったという。母親が大学に行くように言っても、Kさんは、「構わないでほしい」と言うばかりで、何度も言うとイライラして声を荒げるため、らちが明かない。父親は、「お前が甘やかして育てたから、弱い性格になってしまった。放っておけばよい」と言うので、夫婦で言い合いが繰り返された。母親は相談できる相手もいなく途方に暮れていたところ、たまたまP市の広報で精神保健相談について知ったという。母親によると、Kさんは元々人との交流が苦手で友達は少なく、家で読書をして過ごすことが多かった。中学生の頃には同級生にいじめられたと言って登校できない時期があった。今回は大学を休み始めた直後、「初日のガイダンスの時、どの教職員も自分の方だけを見て話をした。教職員と学生が話し合っている内容や素振りから、みんなが共謀して自分のことを監視していることが分かる」と話した。こうしたことから、母親はKさんがこのまま大学に行けなくなるのではないかと、とても心配し、最近は夜もよく眠れないほどであるという。
(※1)
J精神保健福祉相談員は母親からさらに詳しく事情を聞いた上で、今後の対応について提案を行った。
(※2)
その翌日の午後、母親からJ精神保健福祉相談員に電話があった。「私が昨日保健福祉センターに相談に行ったことを息子が知り、『自分のことを相談するなんて聞いていなかった。どんな相談をしたのか』と強く聞いてくるのです。私はうまく答えられなくて困ってしまったので電話しました。今、息子が私のそばにいるので直接話してほしい」と依頼された。
(※3)
(※1)の時点で、J精神保健福祉相談員が最も留意すべきこととして、適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
P市の保健福祉センターに勤務するJ精神保健福祉相談員(精神保健福祉士)の下に、Kさん(18歳、男性)の母親が相談に訪れた。一人息子のKさんが大学に入学したものの、「大学に行く気になれない」と言って自室にひきこもるようになったという。母親が大学に行くように言っても、Kさんは、「構わないでほしい」と言うばかりで、何度も言うとイライラして声を荒げるため、らちが明かない。父親は、「お前が甘やかして育てたから、弱い性格になってしまった。放っておけばよい」と言うので、夫婦で言い合いが繰り返された。母親は相談できる相手もいなく途方に暮れていたところ、たまたまP市の広報で精神保健相談について知ったという。母親によると、Kさんは元々人との交流が苦手で友達は少なく、家で読書をして過ごすことが多かった。中学生の頃には同級生にいじめられたと言って登校できない時期があった。今回は大学を休み始めた直後、「初日のガイダンスの時、どの教職員も自分の方だけを見て話をした。教職員と学生が話し合っている内容や素振りから、みんなが共謀して自分のことを監視していることが分かる」と話した。こうしたことから、母親はKさんがこのまま大学に行けなくなるのではないかと、とても心配し、最近は夜もよく眠れないほどであるという。
(※1)
J精神保健福祉相談員は母親からさらに詳しく事情を聞いた上で、今後の対応について提案を行った。
(※2)
その翌日の午後、母親からJ精神保健福祉相談員に電話があった。「私が昨日保健福祉センターに相談に行ったことを息子が知り、『自分のことを相談するなんて聞いていなかった。どんな相談をしたのか』と強く聞いてくるのです。私はうまく答えられなくて困ってしまったので電話しました。今、息子が私のそばにいるので直接話してほしい」と依頼された。
(※3)
(※1)の時点で、J精神保健福祉相談員が最も留意すべきこととして、適切なものを1つ選びなさい。
- Kさんが対人関係のストレスから不登校を繰り返す人であること。
- Kさんが精神疾患に罹患している可能性があること。
- 母親の過保護がもたらした親子関係の問題があること。
- Kさんが大学に通学しないことで顕在化した夫婦の問題があること。
- Kさんが大学に通学しないことに対し、母親が過剰に反応していること。
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この過去問の解説 (3件)
01
最初の相談の段階で、最も留意すべきことは、Kさんが現時点で精神疾患に罹患している可能性があることです。過去の経緯や家庭環境に留意することも大切ですが、本人の状態把握が最優先といえます。
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02
〇2 . Kさんが大学を休み始めた直後の話しなど、注察妄想などの被害妄想が推察され、統合失調症などの可能性があります。精神疾患の場合は、医療につなげていく必要があり、特に気を付けるべきです。
×3 . 引きこもりや不登校などは、親子関係の問題がある場合もあります。しかし、このケースでは断定的に考えられるものではなく、本人の資質や、精神疾患の発症の可能性など、多角的に考え、援助していくことが望まれます。
×4 . Kさんが大学に通学しないことで、夫婦の言い合いがあるとあります。ただし、だからと言って夫婦の問題が顕在化したとはいいがたいです。精神保健福祉相談員としては、むしろ夫婦それぞれがKさんをめぐって悩んでいる気持ちに共感し、問題をなんとかしようとしている姿勢を評価し、徐々に母親とのラポールを構築していくことが望ましいです。
×5 . 母親が精神的にまいっているようですが、過剰に反応しているかどうかは判断できません。Kさんの妄想的な発言もあり、不安はあるでしょう。
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03
本設問は初回相談において留意すべき事項について問われている問題となります。初回相談(インテーク)の段階では相談者がどのような悩みを持っているか、その悩みを発生させている原因は何なのかなどを丁寧に聞き取る事が重要となります。
不適切です。Kさんの母親からは、中学生の時に不登校の時期があった事や大学を休み始めた直後の話は出ていますが、その話からだけで対人関係のストレスから不登校を繰り返しているとは断定できません。
適切な内容です。母親はKさんから「教職員と学生が共謀して自分の事を監視している」という言葉を聞き取っており、精神疾患からの「妄想」の可能性もあります。Kさんが精神疾患に罹患している可能性があると推察して良いと考えられます。
不適切です。Kさんに対して「過保護」という言葉を使っているのは父親だけであり、母親のKさんに対する対応を確認していないまま、母親の過保護と決めつける事は適切ではありません。
不適切です。Kさんが大学に通学しない事をKさんの父親に話したことで言い合いにはなっていますが、それによって夫婦の問題が顕在化したとまでは言えません。
不適切です。Kさんが大学に通学しない事に対して母親は心配しており、相談に来ています。Kさんからは妄想のような発言も聞かれている事から、母親の状態が過剰反応であるとは言えません。
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