精神保健福祉士の過去問
第19回(平成28年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問50
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問題
第19回(平成28年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問50 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、問いに答えなさい。
〔事 例〕
P市の保健福祉センターに勤務するJ精神保健福祉相談員(精神保健福祉士)の下に、Kさん(18歳、男性)の母親が相談に訪れた。一人息子のKさんが大学に入学したものの、「大学に行く気になれない」と言って自室にひきこもるようになったという。母親が大学に行くように言っても、Kさんは、「構わないでほしい」と言うばかりで、何度も言うとイライラして声を荒げるため、らちが明かない。父親は、「お前が甘やかして育てたから、弱い性格になってしまった。放っておけばよい」と言うので、夫婦で言い合いが繰り返された。母親は相談できる相手もいなく途方に暮れていたところ、たまたまP市の広報で精神保健相談について知ったという。母親によると、Kさんは元々人との交流が苦手で友達は少なく、家で読書をして過ごすことが多かった。中学生の頃には同級生にいじめられたと言って登校できない時期があった。今回は大学を休み始めた直後、「初日のガイダンスの時、どの教職員も自分の方だけを見て話をした。教職員と学生が話し合っている内容や素振りから、みんなが共謀して自分のことを監視していることが分かる」と話した。こうしたことから、母親はKさんがこのまま大学に行けなくなるのではないかと、とても心配し、最近は夜もよく眠れないほどであるという。
(※1)
J精神保健福祉相談員は母親からさらに詳しく事情を聞いた上で、今後の対応について提案を行った。
(※2)
その翌日の午後、母親からJ精神保健福祉相談員に電話があった。「私が昨日保健福祉センターに相談に行ったことを息子が知り、『自分のことを相談するなんて聞いていなかった。どんな相談をしたのか』と強く聞いてくるのです。私はうまく答えられなくて困ってしまったので電話しました。今、息子が私のそばにいるので直接話してほしい」と依頼された。
(※3)
次の記述のうち、J精神保健福祉相談員が行った提案(※2)として、適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
P市の保健福祉センターに勤務するJ精神保健福祉相談員(精神保健福祉士)の下に、Kさん(18歳、男性)の母親が相談に訪れた。一人息子のKさんが大学に入学したものの、「大学に行く気になれない」と言って自室にひきこもるようになったという。母親が大学に行くように言っても、Kさんは、「構わないでほしい」と言うばかりで、何度も言うとイライラして声を荒げるため、らちが明かない。父親は、「お前が甘やかして育てたから、弱い性格になってしまった。放っておけばよい」と言うので、夫婦で言い合いが繰り返された。母親は相談できる相手もいなく途方に暮れていたところ、たまたまP市の広報で精神保健相談について知ったという。母親によると、Kさんは元々人との交流が苦手で友達は少なく、家で読書をして過ごすことが多かった。中学生の頃には同級生にいじめられたと言って登校できない時期があった。今回は大学を休み始めた直後、「初日のガイダンスの時、どの教職員も自分の方だけを見て話をした。教職員と学生が話し合っている内容や素振りから、みんなが共謀して自分のことを監視していることが分かる」と話した。こうしたことから、母親はKさんがこのまま大学に行けなくなるのではないかと、とても心配し、最近は夜もよく眠れないほどであるという。
(※1)
J精神保健福祉相談員は母親からさらに詳しく事情を聞いた上で、今後の対応について提案を行った。
(※2)
その翌日の午後、母親からJ精神保健福祉相談員に電話があった。「私が昨日保健福祉センターに相談に行ったことを息子が知り、『自分のことを相談するなんて聞いていなかった。どんな相談をしたのか』と強く聞いてくるのです。私はうまく答えられなくて困ってしまったので電話しました。今、息子が私のそばにいるので直接話してほしい」と依頼された。
(※3)
次の記述のうち、J精神保健福祉相談員が行った提案(※2)として、適切なものを1つ選びなさい。
- 「ご両親そろって一緒に相談したいと、お父様にお伝えください」
- 「保健所から移送制度の説明を受けてください」
- 「民間の相談機関が主催する、親子のコミュニケーションの在り方を勉強する研修に参加してください」
- 「大学の担当者に、必要な環境調整を依頼してください」
- 「精神保健福祉センターに、ひきこもりの人の家族会を紹介してもらってください」
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この過去問の解説 (3件)
01
×2 . 移送制度とは、医療保護入院の際に規定される制度です。Kさんは、まだ入院が必要な段階とは判断できず、適切ではないです。
×3 . 母子のコミュニケーションについての問題はあるかも知れないが、現在複合的に表れている問題であり、母親にこのような研修参加を勧めるのは適切とは言えません。
×4 . 大学との環境調整も必要になるかも知れないが、現在、母親だけにそれを依頼することは負担が大きいし、それ以前に家族と本人とのかかわりを調整したり、必要があれば医療機関へつなぐなど、するべきことがありそうです。
×5 .家族会は良い資源ですが、現在まだ母親が相談に訪問に来られたばかりの状態であるので、母の不安な気持ちを受け止め、「ひきこもり」として援助する以前に、本人も含めた全体のかかわりの中でケースを捉えていくことが望ましいです。流れによっては、今後紹介することはありそうですが。
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02
この時点では、母親からの情報しかないため、父親の思いを確認し、さらに情報を入手することが望ましいといえます。
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03
本事例に関する解説は以下の通りです。
適切です。
現在は母親のみが相談に来ており、父親の言動に関しても母親からしか情報を得る事が出来ていません。父親がKさんの問題についてどのように感じているかを確認する事で、今後の支援体制が強化できる可能性があるため、父母で来所を促す行為は適切と言えます。
不適切です。
移送制度は精神障がいと医師から診断を受け、直ちに入院して医療が必要である患者を病院に運ぶための制度となります。現時点でKさんは医師からの診断を受けておらず、早急な入院の必要があるかどうかはわからない状態です。現時点で移送制度の説明を受けるよう促す事は適切な支援とは言えません。
不適切です。
Kさんと母親はうまくコミュ二ケーションが取れていない部分も見受けられますが、それが主の原因となって問題が発生している訳ではありません。親子のコミュニケーションの部分のみに視点を当てたような支援は適切とは言えません。
不適切です。
環境調整が必要となるかどうかは現時点では不明です。また、環境調整が必要であったとしても、大学の担当者に全て任せてしまうのではなく、J精神保健福祉相談員も関わり、連携を取れるよう調整していく必要があります。
不適切です。
現時点では母親から同じ立場にある仲間を見つけたいという希望は聞かれておらず、母親自身Kさんの問題をどのように受け止めたら良いか困惑している状態です。現在起こっている問題に対して母親が向き合えるよう支援する事が先決であり、家族会の紹介を受けるよう促す事は現時点では適切な支援とは言えません。
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