精神保健福祉士の過去問
第19回(平成28年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問54
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問題
第19回(平成28年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問54 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、問いに答えなさい。
〔事 例〕
Lさん(62歳、男性)は幼い頃に両親を亡くし、20歳代前半で統合失調症を発症した。精神科病院の入院を何度か経てQ市のY救護施設に入所してから、既に20年が経過している。Lさんは目立った症状もなく、施設の日課に沿って生活し、料理プログラムでは手際の良さを見せた。一方、プログラムとして食材の購入に出かけた際に、購入リストにある食材が見つからなくても店員に尋ねることができないことが目立った。また、プログラム以外では自室で好きな音楽を聴いて過ごすことが多く、他の利用者との交流はほとんどなかった。Y救護施設のM生活指導員(精神保健福祉士)は、Lさんには地域で暮らす力があると思い、面接を重ねた。そして、Lさんが面接に慣れてきた時点で、今後の希望や地域で暮らすことについて投げかけてみた。しかし、Lさんは、「施設を出て生活するなんて考えたこともない」「外の人はみんな冷たい」「特にしたいこともない」と言うばかりだった。
(※1)
ある日、M生活指導員は、長期入院を経てアパートで暮らすピアサポーターを施設に招き入所者との懇談会を開催した。懇談会に参加したLさんは、ピアサポーターの話を真剣な面持ちで聞き入っていた。
(※2)
その後、Lさんは漠然と地域で暮らしたいと思うようになり、面接でその思いを表現するようになった。そこで、M生活指導員はLさんの思いを実現するために、Y救護施設が確保したアパートの空き室での宿泊体験を提案した。宿泊体験の結果、Lさんは買物やゴミ出しがうまくできないこと、お金を計画的に使うのが難しいこと、日常の小さな困りごとを相談できる人がそばにいないと不安を感じることが分かった。M生活指導員は、Lさんが施設を退所し、地域での生活に必要な支援体制を整えるべく、関係者に呼びかけてケア会議を開催した。
(※3)
次の記述のうち、M生活指導員がケア会議で出席者に提案した(※3)の時点での支援計画として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Lさん(62歳、男性)は幼い頃に両親を亡くし、20歳代前半で統合失調症を発症した。精神科病院の入院を何度か経てQ市のY救護施設に入所してから、既に20年が経過している。Lさんは目立った症状もなく、施設の日課に沿って生活し、料理プログラムでは手際の良さを見せた。一方、プログラムとして食材の購入に出かけた際に、購入リストにある食材が見つからなくても店員に尋ねることができないことが目立った。また、プログラム以外では自室で好きな音楽を聴いて過ごすことが多く、他の利用者との交流はほとんどなかった。Y救護施設のM生活指導員(精神保健福祉士)は、Lさんには地域で暮らす力があると思い、面接を重ねた。そして、Lさんが面接に慣れてきた時点で、今後の希望や地域で暮らすことについて投げかけてみた。しかし、Lさんは、「施設を出て生活するなんて考えたこともない」「外の人はみんな冷たい」「特にしたいこともない」と言うばかりだった。
(※1)
ある日、M生活指導員は、長期入院を経てアパートで暮らすピアサポーターを施設に招き入所者との懇談会を開催した。懇談会に参加したLさんは、ピアサポーターの話を真剣な面持ちで聞き入っていた。
(※2)
その後、Lさんは漠然と地域で暮らしたいと思うようになり、面接でその思いを表現するようになった。そこで、M生活指導員はLさんの思いを実現するために、Y救護施設が確保したアパートの空き室での宿泊体験を提案した。宿泊体験の結果、Lさんは買物やゴミ出しがうまくできないこと、お金を計画的に使うのが難しいこと、日常の小さな困りごとを相談できる人がそばにいないと不安を感じることが分かった。M生活指導員は、Lさんが施設を退所し、地域での生活に必要な支援体制を整えるべく、関係者に呼びかけてケア会議を開催した。
(※3)
次の記述のうち、M生活指導員がケア会議で出席者に提案した(※3)の時点での支援計画として、適切なものを2つ選びなさい。
- 居宅介護事業者が、家事に関わる援助を行う。
- 基幹相談支援センターが、成年後見制度利用支援事業を開始する。
- 相談支援事業者が、身近な日常生活の相談を担う。
- 就労移行支援事業者が、就労に向けた訓練を行う。
- 生活保護の担当者が、住宅入居等支援事業を開始する。
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この過去問の解説 (3件)
01
1.Lさんは買物やゴミ出しがうまくできないことから、居宅介護事業者が家事に関わる援助を行うことは支援計画として適切です。
2.成年後見制度利用支援事業を開始するのは、基幹相談支援センターではなく市町村です。
3.Lさんは日常の小さな困りごとを相談できる人がそばにいないと不安を感じることから、相談支援事業者が、身近な日常生活の相談を担うように支援計画を提案することは適切です。
4.統合失調症で20年入所しているLさんが、いきなり就労移行支援事業者を通じて就労に向けた訓練を行うことは現実的ではありません。まずは就労継続支援B型などの利用から就労に向けた訓練をしていくことが望ましいといえます。
5.住宅入居等支援事業を開始するのは市町村で、住宅入居等支援事業は生活保護の制度ではないため、生活保護の担当者が担当することはありません。
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02
×2 .Lさんの金銭感覚等について成年後見を依頼するほど判断力が低下しているとも思われないので、基幹相談支援センターが、成年後見制度利用支援事業を開始するほどの必要性は考えづらいです。
○3 .相談支援事業者は、地域移行支援及び地域定着支援を行います。Lさんのようなケースでは、身近な日常生活の相談体制を確保することが、地域生活に定着するためには有益です。
×4 .これから地域生活に移行する段階で、就労ニーズは見られず、就労支援を行うには時期尚早と思われます。
× 5 .Lさんは救護施設入所中のため生活保護を受けています。しかしながら、住宅入居等支援事業は、市町村または委託を受けた指定特定相談支援事業者、指定一般相談支援事業者です。生活保護の担当者ではありません。
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03
本設問は、様々な社会資源が持つ役割を正確に理解する事で、正答にたどりつく事が可能となります。
適切な内容です。Lさんは宿泊体験をした結果、買い物やゴミ出しが上手くできないという事が判明しました。居宅介護事業者による家事援助により、自力で行う事が困難な部分を補ってもらう事が出来るため、地域での一人暮らし継続に役立つと考えられます。
不適切です。成年後見制度利用支援事業の実施主体は市町村が担っており、基幹相談支援センターが担当しているものではありません。
適切な内容です。Lさんは日常生活のちょっとした困りごとについて相談できる人がそばにいない事に対して不安を感じています。相談支援事業者がその役割を担う事で、Lさんの不安軽減に繋がると考えられます。
不適切です。就労移行支援は、一般就労に向けて必要なスキル取得等の支援を行うサービスになります。Lさんは20歳代前半から統合失調症を発症しており、救護施設に入所してから20年程経過しています。一般就労への支援はハードルが高いと考えられ、また本人から就労の希望も聞かれていない事からも、就労移行支援事業者へ繋ぐ事は適切な支援とは言えません。
不適切です。住宅入居等支援事業は、保証人等がいない事で一般住宅の賃貸契約を結ぶ事が困難な障がい者に対して入居に必要な調整等を行うものです。実施主体は市町村(委託された指定相談支援事業者も実施可能)であり、生活保護担当者の行う役割ではありません。
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