精神保健福祉士の過去問
第19回(平成28年度)
精神保健福祉に関する制度とサービス 問70
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問題
第19回(平成28年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉に関する制度とサービス 問70 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、問いに答えなさい。
〔事 例〕
Hさん(46歳、男性)は25歳の時に統合失調症を発症し、数回入院した。その後、通院を続けてきたが、服薬を怠ることがあり、ときに症状の増悪が認められた。Hさんは高齢の母親を頼って二人暮らしをしていた。時折万引き行為をしたが、今までは服役したことはなかった。43歳の時の窃盗により、実刑判決を受けて服役することとなった。
受刑開始後、保護観察所による生活環境の調整が行われたところ、Hさんの引受人は母親とされていたが、その後しばらくして、母親は他界してしまった。母親の他に身寄りはなく、また、Hさんの状態から、刑事施設から出た後に直ちに就労することは困難と考えられ、住込み就労を目指すことはできないと思われた。そこで、刑事施設は、Hさんを特別調整の候補者に選定し、その刑事施設の所在する都道府県にあるU保護観察所に連絡をした。U保護観察所の長は、保護観察官にHさんの状況を確認させた結果、特別調整の対象とする必要があると考え、V組織に協力を依頼した。
(※1)
V組織の担当者は、刑事施設でHさんと面談を重ねて、刑事施設から出た後の希望を丁寧に聞き取った。そして、U保護観察所に依頼して必要な書面を取り寄せるなどしつつ、希望に沿った生活ができるよう、相談支援事業者や市町村の担当窓口に、必要な対応をするよう求めた。そして、関係者が連携して調整をした結果、Hさんは刑事施設から出た後に、生活保護を受けながらアパートで単身生活をすることができるめどが立った。
その後しばらくして、地方更生保護委員会は、Hさんに対して、刑期満了を待たずして、地域で一定の制約の下、生活をすることを認めた。
(※2)
刑事施設から出た後のHさんは、通院をしながら、精神科デイケアにも通い、対人関係がスムーズになった。その後、Hさんは、犯歴を承知で雇用する旨を保護観察所に登録しているJさんの経営する会社に雇用され、配送準備の仕事に就き、現在も継続して就労している。
(※3)
(※1)次のうち、V組織として、正しいものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Hさん(46歳、男性)は25歳の時に統合失調症を発症し、数回入院した。その後、通院を続けてきたが、服薬を怠ることがあり、ときに症状の増悪が認められた。Hさんは高齢の母親を頼って二人暮らしをしていた。時折万引き行為をしたが、今までは服役したことはなかった。43歳の時の窃盗により、実刑判決を受けて服役することとなった。
受刑開始後、保護観察所による生活環境の調整が行われたところ、Hさんの引受人は母親とされていたが、その後しばらくして、母親は他界してしまった。母親の他に身寄りはなく、また、Hさんの状態から、刑事施設から出た後に直ちに就労することは困難と考えられ、住込み就労を目指すことはできないと思われた。そこで、刑事施設は、Hさんを特別調整の候補者に選定し、その刑事施設の所在する都道府県にあるU保護観察所に連絡をした。U保護観察所の長は、保護観察官にHさんの状況を確認させた結果、特別調整の対象とする必要があると考え、V組織に協力を依頼した。
(※1)
V組織の担当者は、刑事施設でHさんと面談を重ねて、刑事施設から出た後の希望を丁寧に聞き取った。そして、U保護観察所に依頼して必要な書面を取り寄せるなどしつつ、希望に沿った生活ができるよう、相談支援事業者や市町村の担当窓口に、必要な対応をするよう求めた。そして、関係者が連携して調整をした結果、Hさんは刑事施設から出た後に、生活保護を受けながらアパートで単身生活をすることができるめどが立った。
その後しばらくして、地方更生保護委員会は、Hさんに対して、刑期満了を待たずして、地域で一定の制約の下、生活をすることを認めた。
(※2)
刑事施設から出た後のHさんは、通院をしながら、精神科デイケアにも通い、対人関係がスムーズになった。その後、Hさんは、犯歴を承知で雇用する旨を保護観察所に登録しているJさんの経営する会社に雇用され、配送準備の仕事に就き、現在も継続して就労している。
(※3)
(※1)次のうち、V組織として、正しいものを1つ選びなさい。
- 障害者権利擁護センター
- 精神保健福祉センター
- 基幹相談支援センター
- 地域包括支援センター
- 地域生活定着支援センター
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この過去問の解説 (3件)
01
×2 . 精神保健福祉センターは、さまざまな相談を行いますが、このように矯正施設と外部団体の橋渡しの機関としては適切ではありません。
×3 . 基幹相談支援センターは、障害者総合支援法に基づき、障害者の専門相談に応じています。地域における相談窓口であるので、刑務所にまだ入所していたHさんに面談、調整する機能はほかの機関であると思われます。
×4 . 地域包括支援センター は、介護保険法に基づく相談・調整機関です。46歳で要介護ではないHさんの支援としては適当ではありません。
〇5 . 地域生活定着支援センターは、高齢、疾病障害等で福祉的支援を必要とする人に対して、矯正施設を出る段階での支援のために作られました。V組織は、地域生活定着支援センターと思われます。
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02
矯正施設の退所者について、身寄りがない場合に、保護観察所と協働して福祉サービス等につなげる「特別調整」を地域生活定着支援センターが行います。
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03
本設問においては公的な社会資源が選択肢として挙げられているため、それぞれの公的機関の役割について正しく理解する事で正しい答えにたどり着く事が出来ます。
不適切です。障害者権利擁護センターとは、障害者虐待に関する相談や、それを相談できる機関の紹介など、障害者虐待を防止する目的で作られた機関です。Hさんが虐待を受けていたり、その疑いがあるなどの記載は本事例では見受けられません。
不適切です。精神保健福祉センターは心の病気についての相談を本人またはその家族から広く受ける事を目的として設置されています。相談を受け付けた上で、必要な社会資源に繋げる等の活動を行っていますが、保護観察所から直接依頼を受けて調整を行う事は実施していません。
不適切です。刑務所が行う特別調整は、帰住先が決まっていない人などを対象に行われます。Hさんも母親を亡くし、頼る人がいないため特別調整の必要があると判断されたと推測されます。基幹相談支援センターは、そのセンターが所在する地域で生活できるよう、地域の福祉サービスの利用支援を行ったり、専門機関の情報提供を行う等の業務を担っていますので、居住地域が決まっていないHさんに対しての特別調整の協力を依頼する機関としては適切とは言えません。
不適切です。地域包括支援センターは介護保険法に基づき、介護保険の被保険者やその家族を対象に介護保険サービスの利用支援等を行っています。Hさんは46歳であり、第二号被保険者となれる可能性がありますが、16疾病に該当しているという記載はありません。よって地域包括支援センターへ支援を依頼する事は適切とは言えません。
適切な内容です。地域生活定着支援センターが担う役割である、コーディネート業務に矯正施設を退所する予定の人の帰住地調整支援があり、Hさんの特別調整はこの業務に含まれると考えられます。
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