精神保健福祉士の過去問
第19回(平成28年度)
現代社会と福祉 問102
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問題
第19回(平成28年度) 精神保健福祉士国家試験 現代社会と福祉 問102 (訂正依頼・報告はこちら)
セン(Sen, A.)が提唱した「潜在能力(capabilities)」に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 潜在能力とは、個人の遺伝的素質のことをいう。
- 各人の資源の保有量が同じであれば、潜在能力は等しくなる。
- 困窮した生活を強いられていてもその人がその境遇に納得しているかどうかという心理的尺度が、最終的な潜在能力の評価の基準となる。
- 豊かな社会の中で貧しいことは、潜在能力の障害となる。
- 「恥をかかずに人前に出ることができる」といった社会的達成は、潜在能力の機能に含まれない。
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この過去問の解説 (3件)
01
1.潜在能力とは、個人の意思からくるものであり、遺伝的素質のことではありません。
2.資源の保有量が同じであっても、各人の潜在能力は異なります。
3.境遇に納得しているかが最終的な評価の基準になるのではなく、納得できていない点に着目して追及していくことに重きが置かれます。
4.豊かな社会の中で貧しいことは、潜在能力の障害となります。
5.社会的な達成も潜在能力の機能に含まれます。
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02
「潜在能力(capabilities)」とは、人が出来るさまざまな機能を組み合わせることで、財(資源)が持つ特性を活用された状態に変換する能力とのことです。
×1 . 潜在能力とは、個人の遺伝的素質のみならず、さまざまな機能や組み合わせを指します。
×2 . 各人の資源の保有量が同じであっても、その人の能力や置かれている状況が異なるため、潜在能力は等しくなりません。
×3 . 困窮した生活を強いられていてもその人がその境遇に納得しているかどうかという心理的尺度は、最終的な潜在能力の評価の基準にはなりません。低い達成で満足している人もいれば、高い望みを持って不満足な人もいるのです。
〇4 . 豊かな社会の中で貧しいことは、潜在能力の障害となります。たとえば、貧しいために、充実した医療があるにもかかわらず、治療を受けて就労の機会が持てないという場合がそれです。
×5 . センによれば、「受け入れ可能な最低水準に達するのに必要な、基本的な潜在能力が欠如した状態」を貧困と呼びました。「恥をかかずに人前に出ることができる」といった社会的達成は、潜在能力の機能に含まれます。
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03
1.誤り。潜在能力とは『人が善い生活や善い人生を生きるためにどのような状態にありたいのか、そしてどのような行動を取りたいのかを結びつけることから生じる機能の集合』としています。
人が選択出来る様々な機能の組み合わせであり個人の遺伝的素質のことではありません。
2.誤り。各人の資源の保有量と潜在能力は一致しません。
3.誤り。センは潜在能力の学説の他にも貧困や飢饉についても分析しています。
心理的尺度が潜在能力の評価の基準にはなりません。
4.正しい。アマルティア・センは『潜在能力の欠如としての貧困』という著書もあります。貧しいことも潜在能力の障害であると言えます。
5.誤り『恥をかかず人前に出ることが出来る』は潜在能力の機能に含まれます。
『十分栄養を摂れている』 『社会参加する』など
が具体例です。
以上により選択肢4が正解となります。
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